地球外知的生命体が存在するのかどうか……という命題に関して、興味深い研究の記事。ちょっと古い記事だが、保留してあった。
ただ、地球外知的生命体探査(SETI)で電波を観測するのは、ちょっと違う気がする。それについては過去記事でも書いたが、よほど強力な電波源でなければ観測は難しい。地球が発している電波を、数十光年〜数百光年先で検出できるかというと疑問符がつく。
統計研究は「地球外知的生命体は宇宙で希少な存在」だと示唆する | Forbes JAPAN 公式サイト(フォーブス ジャパン)
宇宙に地球外知的生命体が存在するかという、現代における最大の謎の1つは結局、多数存在するかほとんどいないかの「二者択一」の命題であることが判明するかもしれないとする研究結果が発表された。研究をまとめた論文は専門誌International Journal of Astrobiologyに掲載される予定だ。
地球に似た惑星では、生命の発生はほとんどの場合起きるか、滅多に起きないかのどちらかのはずだと、研究チームは論文の中で主張している。宇宙生物学的に言えば宇宙は非常に過密状態か、非常に過疎状態かのどちらかであり、これらの中間の状態にあるとするのは不自然で、確率的に低いと考えられると、研究チームは結論付けている。
これは、地球外知的生命体探査(SETI)の推進派にとっては驚くべき情報だろう。
(中略)
ルイスによると、観測可能な宇宙には約1兆個の銀河があり、このことがSETIの探索をさらに難しいものにしている。だが、これまでの不気味な沈黙は、高度な文明が極めて希少な存在であることを示唆しているという。
さらに研究チームは、超高度な地球外文明が銀河系の大部分を植民地化しているという別のシナリオも検討している。
おそらくこの種の植民地化が行われたのは銀河系の歴史のはるか昔で、その痕跡はすでにすべて崩壊してしまっているだろうと、ルイスは述べている。あるいは、植民地化は現在も続いているが、地球からすぐには気づかないところで行われているのだと、ルイスは続けた。
すばる望遠鏡や ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の観測から、酸素、炭素、鉄などの重元素は、宇宙誕生の7億年後には現在と同程度存在していたことがわかったきた。
つまり、131億年前から生命が誕生できる条件がそろっていたことになる。地球誕生から生命が出現して人類にまで進化するのに要した時間は約45億年なので、宇宙誕生から52億年後には地球レベルの文明が出現していたとも考えられる。
そう考えると、地球はかなり後発の知的生命体だともいえる。
地球の生命の歴史を見れば、爆発的に種が増えた時期が何度かあった。同様のことが、宇宙スケールでの知的生命の出現にもあったかもしれない。それが宇宙誕生から50億年〜100億年だったりすると、それらの文明はすでに滅びている可能性が高い。ブームに乗り遅れた地球文明は、宇宙では孤独なのは無理もない。
また、「植民地化は現在も続いているが、地球からすぐには気づかないところで行われている」とすれば、光年単位の距離の通信で電波を使うのは現実的ではない。亜空間通信とか量子通信とか、光年単位でも即時性のある通信手段がなければ、星間文明は成立しない。
それに対して、我々は亜空間通信を傍受する術を持っていない。人間が電波通信を始めたのは 1895年からなので、それ以前は電波を送受信する術がなかったのと同じ。亜空間を異星人の通信が飛び交っていても、地球人は聞く耳がないことになる。
地球文明が太陽系を飛び出して、星間文明へと進歩できるかというと……。可能性はゼロではないにしても、かなり悲観的だと思う。それを可能にするには、SF的アイデアのワープ航法などの超未来技術が必要になる。スタートレックは24世紀の時代設定だが、あと300年でそれが可能になるかどうか。
ワープ時代の未来が来るのなら、異星の宇宙文明とファーストコンタクトする可能性はある。
「宇宙人は、すでに地球に来ている」とするUFO研究家がいる。そうであるなら、彼らはワープ技術を持っていることになる。真偽はともかく、そういう異星人からの技術移転がなければ、地球人が星間宇宙に進出する可能性はかなり低いように思う。