久々にゾクゾクする科学ニュースだ。
まるで、アシモフやクラークが書きそうなハードSFみたいな話だが、宇宙の謎は解明されたものより未解明のものの方が多い。
物理学の教科書に書かれている物質の最小単位である素粒子に働く自然の4つの力は、「基本相互作用」と呼ばれている。ハンガリーの研究者チームは、科学誌「Nature」でベリリウム同位体の放射性崩壊における予想外の現象を観察し、それは第5の基本相互作用の存在を示唆している結果かもしれないという。
(中略)
考えられる説明としては、他の粒子や他のフォースキャリア(力を媒介する粒子)の存在が関係してくる。そのなかには、いわゆる「暗黒光子(ダークフォトン)」もある。電磁気相互作用を仲介する従来の光子の対照となる仮説上の物質である。
読んでいて、鳥肌が立った(^_^)b
宇宙ファン、科学ファンにとっては、好奇心をおおいにそそられるニュースだ。
この研究が、真正のものだと証明され、「暗黒光子(ダークフォトン)」あるいはそれに類するものが実証されれば、ノーベル賞はもちろんのこと、これまでの物理法則が書き換えられるような大発見になる。
これは、とてつもなくスゴイことだ!
宇宙における文明のレベルを想定した、「カルダシェフの定義」によれば……
カルダシェフの定義
1964年、ソ連の天文学者、ニコライ・S・カルダシェフは、宇宙に存在しうる技術文明のタイプを、文明の進展度によって以下の三種類に分類する「文明の三段階進化説」を提唱した[1]。これは、技術文明の水準を、一つの文明が使用するエネルギーレベルによって区分けした、いわば文明の量的分類である。エネルギー量の桁数によって、文明のレベルが分かれる。
タイプⅠ文明。
惑星規模のエネルギー(10^19エルグ/秒)タイプⅡ文明。
恒星規模のエネルギー(10^33エルグ/秒)タイプⅢ文明。
銀河規模のエネルギー(10^44エルグ/秒)Ⅰ型文明は、一つの惑星上で利用できる程度の規模のエネルギーを使いこなしている文明である。地球に文明を営んでいる人類は21世紀初頭現在、この段階にも達しておらず、0型文明と呼ばれることもある。
地球の人類が、今後も自滅することなく文明規模を発展させていけるとすれば、Ⅰ型文明に到達するには、既存の科学知識と技術で可能かもしれないが、Ⅱ型、Ⅲ型へと進化するには、宇宙の真理を解明しないと不可能な領域だろう。
ちなみに、アシモフの「銀河帝国の興亡」はⅢ型文明の世界を描いている。
▲旧版。私はこっちで読んだ。
▲こちらは新版。
ついでいえば、「Star Trek」の世界はⅡ型、「Star Wars」の世界はⅢ型になる。ただ、作品中の科学技術の描写に古めかしいものもあるが、0型文明である現在からの想像なので無理もない。Star Trekは24世紀を想定しているが、Ⅱ型にまで達したのは先人であるバルカン星人のお陰でもある。自力でⅡ型にまで達するのに、あと300年で可能かどうかは怪しい。
人類の進化の過程になぞらえるなら、現在の文明レベルはアウストラロピテクスみたいなもので、200万年後のホモ・サピエンスを想像できないのと同じ。
Ⅱ型を舞台とした作品としては、ラリー・ニーヴンの『リングワールドシリーズ』が名作だ。
もはや古典だが、ストーリーがどうこうよりも、そのスケールの大きさに圧倒されたものだ。
「ガンダム Gのレコンギスタ」も、いちおうリングワールド的な舞台を設定していた作品なのだが、小道具的な扱いで設定を生かし切れていなかった。
銀河系内にⅡ型文明が存在するとすれば、ダイソン球として恒星のエネルギーを最大限活用していると考えられている。SETI(地球外知的生命体探査)では、観測対象として赤外線放射をしているであろうダイソン球の存在も想定しているという。
SFでは当たり前の、光速の壁を超えるためのワープ航法などは、現在知り得ている科学知識ではほぼ不可能とされている。思考実験としての仮想理論はあるが、既知の物理法則では解くことができない問題にぶつかる。
第5の相互作用が存在し、「暗黒光子(ダークフォトン)」や「プロトフォビックXボソン」が発見され、さらに物理法則が書き換えられることになれば、宇宙の真理に近づくことができる。第5の相互作用だけでなく、未知の物理法則は存在するはずで、それらが解明されればワープ航法は現実的な未来になってくる。
「第5の力」の発見の兆しは、未来を大きく変える、ささやかな前進といえるかもしれない。