4年経過したメタの「Horizon Worlds」

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 最近では、ほとんど話題にならなくなった「メタバース
 約3年前の熱狂は冷め、メタバースが広く普及することにはなっていない。過剰な期待に対して、実際のサービスの質が低すぎた。

 ちょっと古い記事だが、今年になってのメタバース関連の記事があった。

メタ「Horizon Worlds」の広告を見れば10.6兆円損失の理由もわかる | Forbes JAPAN 公式サイト(フォーブス ジャパン) 2025.02.18

メタバースの概念を主導し、その考えに基づいて社名まで変更した「Meta(メタ)」によれば、今年はメタバースにとって「転換点」となる年であるという。

しかし、同社の主力製品であるHorizon Worlds(ホラインゾンワールド)の現状をみれば、なぜこの部門が過去数年間で約700億ドル(約10兆6000億円)もの損失を出したのかが即座に理解できる。

以下に示すのはHorizon Worldsの新しい広告だ。以前のバージョンと比べてキャラクターに足が生えただけでも一歩前進なのかもしれないが、マーク・ザッカーバーグが以前約束していた大規模アップデートとはほど遠く、仮想世界というには極めて酷い仕上がりになっている。広告のテーマは「バレンタインデーに相手がいない人のサポートグループ」だ。

バレンタインデーに相手がいない人のサポートグループ

バレンタインデーに相手がいない人のサポートグループ

(中略)

実際、Horizon Worldsのページにある動画をいくつか見ても、どれも質が低いままだ。さらに悪いのは、サムネイルや事前にレンダリングされた動画では、実際のワールド内よりはるかに見栄えのいいアバターが登場し、誤解を招きかねない点である。本気で、同ページにあるワールド内映像を使用した動画を見てみてほしい。これが彼らの見せられる最高のコンテンツなのだと考えると、不思議でならない。

 4年経ってこれでは、いったい何年後にプロモーションビデオのような世界が実現するのだろうか?
 よりリアルな仮想世界は、技術的には可能だ。事前にレンダリングしたプロモーションビデオは、時間とリソースを費やした結果だ。ただ、それをリアルタイムで行うには、ユーザーにモーションキャプチャーのような装備が必要だし、アクセスする人数分(数十万〜数億人分)の膨大なデータ処理能力が必要になる。
 言い方を変えると、膨大な電力を必要とする。
 現在はAIブームで、電力消費の増加が問題になっているが、メタバースでも本格的にやろうとすれば同様の問題は起きる。

 第一次仮想世界ブームは、Second Lifeだった。
 今でも細々と続いてはいるが、開始当初の熱気はなくなっている。
 第二次仮想世界ブームとなったのがメタバース。
 これまた当初の熱気はすごかったが、現在は冷めている。結局、Second Lifeの二の舞だ。
 なにが原因かといえば、理想と現実のギャップが大きすぎることだ。プロモーションビデオで示された世界が実現していればいいが、現実はチープな世界でしかない。言い換えればインチキなんだ。最初から実際に稼働している現実を見せていれば、そこまでブームにならなかったかもしれない。

 SFで描かれてきたサイバースペースは、まだまだ遠い未来だ。
 技術的に未熟で、コストがかかりすぎる。
 小説でいえば『ニューロマンサー』、映画でいえば、『攻殻機動隊』『マトリックス』『レディ・プレイヤー1』『竜とそばかすの姫』などといった世界が実現するには、50年やそこらはかかりそうだ。

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