フォローしている加藤直之さんがリポストしていて、流れてきた話題なのだが……。
以下のポストは勘違いしているので、指摘しておく。
ウイルスを直径1.1cmのパチンコ玉に例えるのなら。
マスクの厚みは 33m あります。
マスクの向こうは透けて見えるわけではありません。
光の線も、繊維にぶつかってます。— NCCCM (@Ecccm2Ecccm) July 28, 2025
マスクはウイルスが素通りするので意味がない……というポストに対する反論なのだが、この反論は間違い。
そもそも物が見えるというのは、光を反射しているからなのだが、反射する光はごく一部にすぎない。物の色は、反射する光の波長の違いだ。透けて見えないからといって、すべての光を反射しているわけではない。
すべての光を反射していれば、その物体の裏側は真っ暗になる。
試しに、マスクで目隠しして、太陽を見るなどをやってみてほしい。
真っ暗にはならないよね。
つまり、光は透過しているということだ。
光を例えにして、密であることの説明にはなっていない。
科学的な説明をしているようで、まったく説明になっていない典型だね。
追記(2025年8月9日)
前述のXに背景情報がつけられていた。
マスクによる防御効果は2020年に東京大学医科学研究所で実際にコロナウイルスを使った実験で実証されています。
これによると高性能マスクを適切に使用した場合 吸い込む方はウイルスの吸い込みを10-20%まで抑えられること
また、感染者がマスクをした場合、出限界未満に抑えられることが分かっています。
これまた、誤解を生む情報だ。
出典元の情報が対象としているマスクは、N95マスクであって、一般的なサージカルマスクではない。N95マスクは密閉度の高いマスクだが、呼吸がしずらくなるマスクでもあるため、医療現場を除いて、一般的な使用には向いていない。
さらに、ここで触れているのは「ウイルスの吸い込みを10〜20%に抑えられる」といっているのであって、感染率が下がるとはいっていない。
記事の最後の方には、以下の記述がある。
一方で、ウイルスの遺伝子はどのマスク着用時においても検出されました。実際の感染者から吐き出された感染性ウイルスがマスクを通過して、感染を引き起こすのかどうかについては今後の更なる解析が必要ですが、マスクのみでは浮遊するSARS-CoV-2の吸い込みを完全に防ぐことができないことを示唆しています。
下線部を強調したい。
過去記事にも書いたが、感染者から吐き出されたウイルスが周囲に100万個単位で浮遊している場合、90%をマスクで防御しても10%を吸い込むとすれば、10万個のウイルスが体内に侵入することになる。
このくらいのウイルス量であれば、ほぼ感染は成功する。そうなれば、感染防御率は0%ということになる。
どのマスクメーカーであれ、飛沫防御率が70〜80%と謳っていても、感染防御率が何%とは明言していないのだ。防げるのは飛沫の量であって、感染の防御ではないんだ。多くの人は、そこを勘違いしている。
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