新型コロナに対するマスクの効果について、過信する人は多い。
無駄だとまではいわないが、効果は限定的だ。
欧米ではマスク着用を義務化している国や地域があるが、それでも感染拡大は抑えられずにいる。それはつまり、マスクでは限界があるという状況証拠でもある。しかしながら、そのことを指摘する専門家はほとんどいない。
マスクへの過信は、まるで宗教のようだ。
かのビル・ゲイツも、マスク教信者になったようだ。
「あれはヌーディストみたいなもの?」ビル・ゲイツ、マスク着用に抵抗する人々を理解できず | Business Insider Japan
マスクは新型コロナウイルスの感染拡大を食い止めるのに役立つ。そのエビデンスはたくさんある。
マスク着用が義務付けられた場所では感染率が下がり、最新のあるモデルは全てのアメリカ人がマスクを着用すれば、3月までに6万3000人が命を落とすのを防ぐ可能性があると示している。
だが、全てのアメリカ人が同意見ではない。科学に反対し、独立に賛成する政治的ステートメントとしてマスク着用を拒否する人々もいる。
ビル・ゲイツはこうした人々が分からないという。
「誰かがマスク着用に抵抗しているというのは、わたしにとってはものすごく不思議なことだ」とゲイツは11月16日(現地時間)にリリースされた女優でコメディアンのラシダ・ジョーンズとの新しいポッドキャスト・シリーズ『Bill Gates and Rashida Jones Ask Big Questions』の第1話で語った。
「あれはヌーディスト(裸体主義者)みたいなもの? パンツを履けと言われて、アメリカ人は誰も —— またはごくわずかな人しか —— それがひどいことだとは言わないだろう」
(中略)
ゲイツは、パンデミックの初期、専門家たちは一般的な風邪やインフルエンザといった他の呼吸器系ウイルスについて分かっていることに基づいてアドバイスをしていたと説明。こうしたケースでは、咳をした時に感染が広がる恐れはあるものの、単に会話をしただけでも感染が広がりかねないCOVID-19に比べるとウイルスの広がりやすさが全く違うと語った。
「新型コロナウイルスに見られる信じられないほどのウイルス量が、その他の呼吸器系ウイルスの大半では生じない」とゲイツは言う。
例えば、風邪をひいた人がマスクなしで1時間、他の人たちと同じ部屋で過ごしても、大半の人は健康なままだ。だが、新型コロナウイルスに感染した人がマスクなしで1時間、他の人たちと同じ部屋で過ごすと、「かなりの割合の人」が感染してしまう。「はしかのようだ」とゲイツは言う。
「インフルエンザの咳のモデルは、間違いだったと分かった」
……と、「はしかのようだ」と述べていながら、なぜ「新型コロナは“はしか”と同じように空気感染だ」と断言しないのだろう?
ここがもっとも重要なポイントなのだ。
空気感染しているのなら、もはや一般的なマスクでは防御できないのだから。
N95マスクなら、多少の防御はできるかもしれないが、0.1〜0.3㎛の粒子でウイルスが感染可能であれば、咳をしなくても呼気にウイルスが含まれることになり、一般的なマスクでは素通りである。こうなると、予防策としては「息をするな」という無茶な話になってしまう。
じつは、この空気感染モデルは、インフルエンザでも報告されていた。ただし、あまり注目を集めていなかっただけである。
ゲイツ氏のインフルエンザの認識は、古い認識なのだ。
関連記事→ 新型コロナは”空気感染”との報告
「新型コロナウイルスの空気伝播に対するマスクの防御効果」のレポート中では、
布マスクを着用することでウイルスの吸い込み量がマスクなしと比べて60-80%に抑えられ、N95マスクを密着して使用することで10-20%まで抑えられることがわかりました。
ということで、防御効果があると結論づけている。
これについては、「やっぱりマスクに感染予防効果はない?」で書いたように、20〜40%のウイルスはマスクを透過しているわけで、これで防御していることになるのか?……という問題。20〜40%のウイルスで発症するのなら、防御にはならない。それについての言及がないんだよね。
別の最近の報告では、
マスクの新型コロナ感染予防効果、期待より限定的=研究 / ロイター
[コペンハーゲン 18日 ロイター] – デンマークのコペンハーゲン大学病院は18日、マスク着用による新型コロナウイルス感染予防効果は限定的、とする研究結果を発表した。ただ、感染拡大抑制策としてマスクの広範囲な使用に対する反論材料に利用すべきではないとの見解も示した。
研究は、デンマーク政府がマスク着用を推奨していなかった4─5月に、成人6024人を対象にマスク着用と非着用のグループに分けて調査を実施。
その結果、1カ月後に着用グループで新型コロナに感染した人の割合は1.8%、比較対象グループではこの割合が2.1%となった。
研究は、「この調査では期待された感染リスクの半減は確認されず、予防率は15─20%である可能性が示唆された」と分析。一方、「この研究では、マスクが保護の機能を果たさない可能性も排除できなかった」としている。
専門家らは長らく、マスク着用による予防効果は限定的だが他者に感染させるリスクは劇的に下げられるとの見解を示しており、今回の結果はこれに一致する内容となった。
ただ研究は、「調査では感染源を取り除く『ソースコントロール』については検証しておらず、今回の結果を、市中でのマスク着用推奨は感染抑制に効果なしといった結論の根拠とすべきではない」とも指摘している。
「反論材料に利用すべきではない」といいつつ、「マスクが保護の機能を果たさない可能性も排除できなかった」ともいっている。
効果がある・なしのどちらかに加担するのではなく、真摯に効果を検証し、可能性を排除していない姿勢が科学者だと思う。
マスクの効果が100%完璧に防御する……といっている人はいない。
問題は、マスク効果はどの程度なのか?……という効果の度合いだ。
吸引するウイルス量が減っても、感染が成立するのなら、量の多少は関係なくなる。その場合は、マスクに防御効果はないという結論になる。
冒頭に書いたように、マスクを義務化している国でも感染拡大が抑えられていないし、日本のようにマスク着用率99.9%でも感染拡大は起こっている。
結果的に見ると、マスクは感染拡大の抑制にはなっていないといえる。
もっといえば、感染した人が着用していたマスクの種類を特定して、傾向を探ることだ。実験的には、布マスクやウレタンマスクは、サージカルマスクに比べると防御率が低いことはわかっている。感染者の着用していたマスクの種類に偏りがあると判明するならば、使用マスクを限定する対策が必要になる。
そういう調査や対策はやっていないよね。
感染対策の徹底……と、政府や都知事はいう。
しかし、その対策の前提の中に空気感染が入っていないのでは、徹底にはならない。
穴の開いたバケツで水を汲めといっているようなもの。ダダ漏れなのだ。
最近の傾向として、家庭内感染が増えているという。
勘違いしそうなのは、家庭の中に突如としてウイルスが湧いたわけではない。誰かが家庭内に持ちこんでいる。
それを仮に勤め人のお父さんだとしよう。
では、お父さんはどこで感染したのか?
そこの追跡ができていない。
毎日、満員電車に乗っているお父さんであれば、もっとも疑われるのは電車だ。
しかし、電車の密を問題にすることはないし、満員電車は放置である。
それ、おかしいだろう。
夜の街はさんざん叩いておいて、電車はおとがめなしなのか?
それはどこかからの圧力や利権絡みなのか?……と疑ってしまう。
感染対策の徹底というパフォーマンスだけが目立っていて、本質から目をそらしてはいないか?
まず、空気感染を認めて、それを前提に対策を練り直すことだ。
ひとつだけはっきりしているのは、マスクで感染拡大は防止できない。
それだけは明白。