新型コロナは”空気感染”との報告

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新型コロナの「空気感染」について、興味深い報告が出ていた。
私は、早い段階から「空気感染の可能性が高い」と書いてきた。様々な感染事例から、空気感染を疑う事例がいくつもあったからだ。
しかし、名のある専門家諸氏は空気感染を否定し続けている。

以下のサイトは、会員登録しないと全文を見られないが、これは重要かつ説得力のある報告だ。

新型コロナは”空気感染”です|医療ニュース|Medical Tribune

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染様式として接触感染および飛沫感染が重視されている。そうした中、国立病院機構仙台医療センター臨床研究部ウイルス疾患研究室室長の西村秀一氏は、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)は空気媒介感染によって伝播されると、第61回日本臨床ウイルス学会(2020年10月2~31日、ウェブ開催)で指摘。その根拠を示した上で、厚生労働省のアドバイザリー・ボードが使用している「マイクロ飛沫感染」という造語は非科学的であると完全に否定した。

(中略)

SARS-CoV-2に関して空気・エアロゾル感染の可能性が考えられた例として、次のような事実が知られている。窓を閉め切った室内で高齢者ら30人が会議を行いSARS-CoV-2に感染し沖縄初のクラスターとして報じられた例、中国・湖南省の長距離バスで発生したクラスターをめぐる研究において、COVID-19患者から4.5m離れた座席にいた乗客が感染していた例。さらに中国・広州市のレストランでの感染例を調べると、空調の流れに沿ったテーブル席の客だったという報告(Emerg Infect Dis 2020; 26: 1628-1631)など枚挙に暇がない。

(中略)

しかし、日本の専門家らはSARS-CoV-2が空気感染すると認めることをかたくなに拒んでおり、西村氏は「前述のような実例を説明するために、3密の概念を提唱した」と指摘した。さらに、あくまで空気感染することを否定しようとする厚労省のアドバイザリー・ボードは、言葉を”マイクロ飛沫感染”に替えてCOVID-19の流行がマイクロ飛沫感染だということに終始した。それによると、マイクロ飛沫感染とは「微細な飛沫である5μm未満の粒子径が、換気の悪い密室等において空気中を漂い、少し離れた距離や長い時間において感染が起こる経路」であるという。またマイクロ飛沫感染は、長い距離でも感染が起こりうる結核菌や麻疹ウイルスで認められる空気感染とは異なるとわざわざ付記している。

これに対し、同氏は用語の誤りを指摘した。空気中に存在する全ての粒子を指す用語がエアロゾルで、飛沫、飛沫核のいずれもエアロゾルである()。あえて言えばマイクロ飛沫もエアロゾルであり、この新たな造語が科学用語の中に入り込む余地はないと同氏は言う。エアロゾルを吸い込んで感染することをエアロゾル感染、空気の流れに乗って浮遊するエアロゾルを吸い込んで感染することこそが空気感染である。

つまりエアロゾルに粒子径の定義はなく、大きさが問題ではないのだ。5μm未満または以上であっても空気の流れに乗って漂っていれば、その空気を吸って感染するリスクが生じる。

エアロゾルの定義

エアロゾルの定義

引用が長くなってしまったが、これが現在考えうるもっとも正解に近い感染のメカニズムだろうと思う。
これらのことは、私が取り上げてきたこととほぼ同じ。
やっと、まともな見解を出せる研究者が出てきた。

この報告をもっと重要視すべきだ。
ニュースでまったく取り上げられていないのは解せない。
いろいろと不都合な事情が発生することは明らかなので、おおっぴらにできないのだろう。
その理由が、なんらかの利権や、専門家諸氏のメンツのためだとするなら、なんと愚かなことか。

何度も書いていることの繰り返しになるが、空気感染を前提とすれば、これまで提唱されてきた対策では役に立たないことになる。

前エントリの「上から目線の医者の言い分にカチンッ」でも書いたが、マスクならなんでもいいという対策では無駄である。十分な性能を満たしていないマスクは、飾りでしかない。都知事の手作りマスクなどは最たるもので、模範を示すべき知事が役に立たないマスクをしているのは大問題。

自動車のシートベルトは、事故の際に身を守るために義務化されているが、その性能基準を満たさなければ役に立たない。
お手製のシートベルトで、身を守れると思うか?
そんなことをする人はいないだろう。
マスクでも同じことだ。ファッション性や呼吸のしやすいマスクとして、布マスクやウレタンマスクをしているのは、防御性を無視して「予防しているつもり」になっているだけだ。

フェイスシールドなども、空気感染に対してはまったくの無意味であり無駄。
ビニールシートやアクリル板の仕切りも無駄。
空気が流れるのであれば、空気感染は可能なのだ。

論点を整理すると以下の3点。

  1. 主たる感染経路は空気感染であり、手指の接触感染の可能性は低い。
  2. 空気感染であれば、マスクの予防効果は限定的。最低でもサージカルマスクでなければ、効果は期待できない。
  3. ソーシャルディスタンシングは3メートルでは不十分である。

冬の訪れにともない、湿度が下がり空気が乾燥する季節になった。
それはつまり、感染者が吐き出す飛沫の水分は蒸発しやすく、微細なマイクロ飛沫となり、空気感染しやすい状況になったということ。

ここ最近の、感染者やクラスターの発生件数の増加は、空気感染だとすれば当然の帰結だろう。手洗いをせっせとしても、種類を問わずマスクをしていても、ソーシャルディスタンシングを3メートルとっていても、空気感染対策としては無意味なのだ。

政府の分科会の面々が、空気感染を認めないと、役に立たない対策に奔走することになり、感染を抑制することはできない。
最悪の事態を想定するのなら、空気感染を肯定して、空気感染を前提とした対策を考案する必要がある。

はたして、空気感染対策へとシフトチェンジできるだろうか?

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