鳥インフルは未来の脅威かも

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鳥インフルは未来の脅威かも

人間世界では新型コロナだが、鳥の世界では鳥インフルエンザが流行している。
鳥インフルは、変異すると人間にも感染する可能性があるため、未来を暗示しているようにも思う。
1918年のスペイン風邪を起こしたH1N1亜型は、鳥由来だといわれている。

福岡で発生した鳥インフルは、強毒タイプらしい。

福岡の鳥インフルも高病原性 28日までに埋設完了へ|【西日本新聞ニュース】

福岡県は26日、宗像市の養鶏場で発生した鳥インフルエンザは遺伝子解析で、強毒な高病原性ウイルス「H5N8亜型」であることが確認されたと発表した。

国の研究機関が調査し、高病原性の遺伝子配列が確認された。香川県の8養鶏場や、北海道、鹿児島県の野鳥のふんからも検出されている。県は、渡り鳥を介してウイルスが福岡に広がった可能性があるとみて、養鶏場や周辺の山、ため池などを国と連携して調べている。

県職員や自衛隊員らが宗像市の養鶏場で飼育している鶏約9万3500羽の殺処分を24時間態勢で進めており、28日までに埋設を終える見通し。現時点では近くの養鶏場から異常は確認されていない。

鶏・豚・牛で、大規模な感染症が発生すると、「殺処分」だからね。
治療するという選択肢は、ほぼない。
というのも、食肉用であれば最終的には殺してしまうわけで、治療費をかけて生かしておくにはコストがかかりすぎるからだろう。

家畜は生きものというより「食料」であり、店頭に並ぶ商品にすぎない。
わかっちゃいるけど、感染した個体が出ると、未感染の鶏がいても同じ養鶏場は全部殺処分なのは、どこか理不尽さがある。
養鶏場の経営者には、大打撃だしね。

鳥インフルに感染した鶏は、ほぼ助からないという。
ウイルスは渡り鳥が運んでくるとされているが、その渡り鳥の致死率は低いらしい。というのも、生きてウイルスを運ぶ必要があるから、ウイルスにとっては死なれては困るわけだ。ある意味、共生。

高病原性鳥インフルエンザと野鳥の関わり – 日本ウイルス学会

インフルエンザウイルスの自然宿主の中で、カモ等の野生水禽類は自然界に存在するすべての亜型のウイルスを保有している。一方、その他の人や哺乳動物には限られた一部の血清亜型のウイルスが感染するに過ぎない。さらにインフルエンザウイルスに関するこれまでの生態調査と系統進化解析によって、人や動物のインフルエンザ A ウイルスの遺伝子はすべて野生水禽のウイルスに由来することが明らかとなった。すなわち、すべてのインフルエンザA ウイルスの起源はカモなどの野生水禽のウイルスにある。

カモは、夏季に北方圏の湖沼で営巣し、雛を育てる。アラスカおよびシベリアにおける調査の結果、カモはその営巣地でインフルエンザAウイルスを高率に保有しており、ウイルスが糞便中に排泄されることから、その湖沼水には多量のウイルスが含まれていることが明らかとなっている。さらに秋にカモが渡りのために南方へ飛び去った後でも湖沼水からウイルスが分離された4)。この事実は、ウイルスが冬の間、湖沼水中に凍結保存されることを示唆している。そして翌年春に、帰巣するカモは融解した湖沼水中のウイルスに経口感染してこれを増幅する。それを毎年、繰り返すことによってインフルエンザAウイルスは自然界に存続し続けて来たと考えられる。インフルエンザAウイルスと水鳥の関係はかなり安定していてウイルスは水鳥の腸管上皮細胞で増殖するが、宿主である水鳥は全く症状を示さず、まさに共生関係(この場合は片利共生)が成立していると考えられている。

今回検出された「H5N8亜型」が、人間に感染しやすいインフルになることだってありうる。
現状、人にとって脅威になっていないのは、感染しにくいからであって、感染しないわけではない。感染した鶏の羽や糞などを吸い込んだりして、人に感染した例はあるという。

今はCOVID-19が勢力を拡大しているが、これが収束すると生物的にはニッチが空くことになる。そこに、新たなウイルスがニッチを埋めようとするのだろう。

今年は例年のインフルエンザの流行が、ほぼなかったのだが、これは「ウイルス干渉」のためだともいわれている。
同じような呼吸器系に感染するウイルスなので、一方が感染するともう一方の生息域を干渉するわけだ。ウイルス同士で縄張り争いをしているのかどうかはわからないが、今年はCOVID-19が天下を取ったために、インフルエンザは流行しなかった。同時流行を心配する医者もいるようだが、たぶんそれは起こらない。

心配すべきは、COVID-19が収束したあとだ。
再び例年のインフルエンザが勢力を拡大するのか、新型インフルエンザが出現するのか。
2021年末〜2022年の初頭が、どうなるかだね。

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