ファクターXを突きとめろ!

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ファクターXを突きとめろ!

山中教授がいうところの「ファクターX」がなんなのか?
それを突きとめることが、新型コロナに対抗する有効な手段になるはず。
BCG有効仮説もそのひとつだが、ほかの候補になるかもしれない、いくつかの説が出てきた。

まず、BCG有効仮説の検証についてのその後。

ドイツで、BCGワクチンの新型コロナウイルスへの効果を検証する臨床試験はじまる | ワールド | 最新記事 | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト

VPM1002は、既存のBCGワクチンに比べて安全で、効果が高いとされている。マウスを使った実験では、VPM1002が、結核だけでなく、気道のウイルス感染を予防した。インフルエンザに罹患したマウスのうち、VPM1002を接種したマウスは既存のBCGワクチンを接種したマウスよりもインフルエンザA型のウイルス量が少なく、肺への損傷は軽微であった。

これは、VPM1002がマウスの免疫系を活性化したことによるものとみられる。それゆえ、研究チームでは、「VPM1002によって、新型コロナウイルスのようなウイルス感染を減衰できるのではないか」と考えている。

独ハノーバー医科大学(MHH)の研究チームでは、ドイツ北部のハノーバー、北端のボルステル、ドイツ中部のエアフルト、ドイツ南部のミュンヘンの4カ所で新型コロナウイルス感染症患者の治療にあたる医療従事者1000名を対象に、VPM1002の臨床試験を実施。2020年4月下旬から5月上旬にかけて被験者にVPM1002を接種している。

この臨床試験を主導するハノーバー医科大学のクリストフ・シンドラー教授は「理論上、ワクチン接種によって、新型コロナウイルス感染症を発症する確率は下がるはずだ」と説く。VPM1002を接種した被験者は、新型コロナウイルスへの免疫を獲得するわけではないが、ウイルス感染に対して強化された免疫細胞のおかげで、新型コロナウイルスの感染から予防しやすくなる可能性がある。

また、ワクチン接種によって非特異的免疫反応が改善され、新型コロナウイルスに感染したとしても、新型コロナウイルス感染症の症状は悪化しづらくなると考えられている。研究チームは、60歳以上の高齢者1800名を対象に、同様の臨床実験を行う計画だ。

BCG有効仮説は、ファクターXの最有力候補のひとつだろう。

次は、「普通の風邪」によるもの。

「普通の風邪」による免疫が新型コロナウイルスを撃退する? 新たな研究結果が意味すること|WIRED.jp

「普通の風邪」によって獲得された免疫が、新型コロナウイルスにも効果を発揮するかもしれない──。そんな研究結果が、このほど公表された。ある病原体に対して起きる免疫反応が、別の似た病原体でも起こりうる「交差反応」と呼ばれる現象だ。

(中略)

コロナウイルスには、ヒトに日常的に感染する4種類(HCoV-229E、HCoV-OC43、HCoV-NL63、HCoV-HKU1)があることが知られている。これらは、一般的な風邪の10〜15パーセント(流行期は35パーセント)を占めるとされるが、ほとんどの場合は症状が軽く、重症化する患者はまれである。

『Cell』に掲載された米国の論文発表では、風邪のコロナウイルスに感染した経験をT細胞が記憶しており、新型コロナウイルスに対しても反応することが報告されている。ある病原体に対して起きる免疫反応が、別の似た病原体でも起こりうる「交差反応」と呼ばれる現象だ。

ラホヤ免疫研究所のグループは、SARS-CoV-2のパンデミックが始まる前の、2015年から18年の間に採取された過去の保存血液サンプルを新型コロナウイルスに晒し、T細胞反応を調べた。すると、SARS-CoV-2に感染したことのない血液サンプルのなんと約50パーセントから、この交差反応性が検出されたのだ。

普通の風邪免疫仮説」としておくが、仮に新型コロナが国内に侵入する以前に、普通の風邪で多くの人が免疫を獲得していたとするなら、昨年(2019年)の暮れに風邪が流行っていたかどうかの追跡調査が必要だね。

様々な情報から、新型コロナは昨年の12月〜今年の1月には、日本に侵入していたと思われる。感染が発覚するのはそのあとだが、爆発的に感染が広がらなかったのは、それ以前に普通の風邪による免疫ができていたことになる。

ただ、インフルエンザは流行の推移を追跡しているものの、普通の風邪は対象になっていない。風邪をひいても市販の風邪薬を飲むのがせいぜいで、多くの場合、自力で治すと思う。だから、風邪の罹患者がどのくらいいたのか調べるのは難しそう。

次に気になった記事は、ぜんそくについて。

ぜんそく患者はコロナ感染しにくい?…成育医療研、アレルギー物質影響の可能性 : 医療・健康 : 読売新聞オンライン

気管支ぜんそくの患者は新型コロナウイルスに感染しにくい可能性があるとの研究結果を、国立成育医療研究センター(東京)のグループが、発表した。アレルギーに関わる物質の影響で、新型ウイルスが体内に侵入しにくくなり、感染者が少なかったのではないかとみている。

(中略)

海外でも最近、ぜんそくを引き起こすアレルギーに関わる物質が、新型ウイルスが体内に侵入する際に必要なたんぱく質の量を減らすとする複数の研究が相次いで報告されている。

これを「アレルギー物質影響仮説」としよう。

この記事を読んで思ったのだが、アレルギー物質ということでは「花粉症」も該当するのではないか?
花粉症も鼻腔、喉、気管の炎症だったりするので、コロナウイルスが好む場所と共通している。

日本は花粉症の人が多い。
花粉症の時期は、花粉の種類によって違うが、代表的なスギ花粉では、1月〜6月だ。ピークは2月〜4月となっているので、これは新型コロナの流行した時期と重なっている。

もしかすると、花粉症が新型コロナの拡散を抑制したのかも……?

花粉症は世界的に有病者がいるのだが、元凶となる花粉の種類は異なる。
参考資料が以下。

世界三大花粉症と世界の花粉飛散カレンダー

スギ花粉は日本特有なのが特徴。
また、花粉症のピーク時期も異なる。
日本では、新型コロナの感染拡大時期と花粉症のピークが重なったことで、同時進行していたと思われる。

上記の図では日本の花粉症の有病率が26.5%となっているが、より新しいデータではもっと多くなっている。

2人に1人が花粉症!? 最も発症率の低い県とは – ウェザーニュース

都道府県ごとに見てみると、花粉症と自覚がある人の割合が最も高いのは山梨で77%。2位に8ポイントの差をつけてダントツ首位となりました。 山梨に次いで高かったのが、群馬、静岡、埼玉、東京など関東・東海がランクインしています。

■花粉症の割合
(県別ランキング)
1位 山梨  77%
2位 群馬  69%
3位 静岡  67%
4位 埼玉  65%
5位 東京  64%

41位 富山  44%
42位 岩手  44%
43位 鳥取  36%
44位 鹿児島 35%
45位 青森  31%
※北海道と沖縄を除く

ヨーロッパやアメリカでは、花粉症有病率が低いことと、花粉症の原因花粉が違っていること、ピーク時期がずれていることが関係しているのか?

北海道と沖縄が除外されているのは、花粉の飛散が少ないため。
国内で、北海道がいち早く新型コロナの感染が広がったのは、花粉症有病者が少なかったこととも関係している可能性があるかも?

相関関係がありそうにも思えるが、新型コロナの死者数の少ない東南アジアには花粉症はほとんどない。お隣の韓国も死者数は少ないが、花粉症はあまりなく、それよりも黄砂やPM2.5によるアレルギーが多いという。

ファクターXの共通項としては、BCG有効仮説の方が有望のようだ。
ただ、ファクターXはひとつではなく、複合要因の可能性もある。
あるいは、日本と他の死者数が少ない国とは、ファクターXが異なっていることも考えられる。

つまり、BCGの接種経験があり、新型コロナの前に普通の風邪をひいていて、花粉症の人は、新型コロナに対して鉄壁だった……というようなこと。
ちなみに、私は花粉症ではないが、ほかの2つは該当する。

ということで、現時点でのファクターX候補は3つ。

  1. BCG有効仮説
  2. 普通の風邪免疫仮説
  3. アレルギー物質影響仮説

ほかによくいわれるのが、日本人は衛生観念がいいとか、キスやハグなどのボティタッチをしないとか、マスクを付ける習慣が以前からあった……というのは、ファクターXとしては説得力が弱い。

飛沫感染やウイルスの付着した物に触る接触感染が、主たる感染原因だとするなら、どんな潔癖症でもボティタッチをしなくてもマスクを付けていても、ウイルスは体内に取り込まれてしまうからだ。

インフルエンザでも同様だが、毎日の満員電車に乗っていれば、否応なくウイルスにさらされているし、ベタベタとウイルスに触っているはずだ。目に見えていないだけ。
それでも発症する人と発症しない人がいる。それには、なんらかの理由があるはずなんだ。

ウイルスは体内に侵入しているが、発症しない、あるいは発症しても多くの人が軽症で済んでいるというのが、ここまでの状況だろう。
その原因がファクターXだ。

ファクターXを突きとめること。
これが新型コロナと共生していくために、重要なことだといえる。

ファクターXを突きとめろ!(その2)」に続く。

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