U-NEXTで配信が始まった『デューン』世界の新シリーズ、『デューン 預言』を第2話まで見た感想。
アメリカ人は『デューン』がかなり好きらしい。映画化が三度(過去の二度は未完や短縮版)もされ、テレビドラマシリーズが展開されたりした。最近作であるドゥニ・ヴィルヌーヴ監督のデューンは高い評価をされている。
原作小説は映画「スターウォーズ」に影響を与えたとされているが、人類が銀河帝国として星間宇宙に版図を広げている世界になっている。
技術的には高度に進んでいるが、文化的には中世的な後退をしている世界。
本作は、 ポール・アトレイデス誕生の1万年前が舞台だ。
ブライアン・ハーバート(フランク・ハーバートの息子)とケヴィン・J・アンダーソンが執筆した小説『SISTERHOOD OF DUNE』がベースになっているという。
「デューン」はSF大河ドラマともいわれるが、政治的・宗教的な権謀術数がストーリーの柱だ。派手なアクションはなく、帝国、反乱勢力、ベネ・ゲセリットが権力を巡って暗闘する。
渋い……渋すぎる(^_^)b
だが、緊張感のある展開で見入ってしまった。
特撮は控え目のSFだが、ストーリーは緻密。こういうドラマを作れるのが、アメリカなんだなーと思う。
それにしても、銀河帝国という星間文明を築くのに、皇帝を頂点とした帝政であったり、魔女的な能力を持つ修道会(宗教)が強い影響力を持ったりと、封建的な社会が未来なのだろうか?……と思ってしまう。
民主主義は星間文明を築けないのか?
たぶん、そうなのだろう。
現実の世界で、民主主義といいつつも、選挙で選ばれるたったひとりの人間に、絶大な権力を与えるという矛盾したことをやっている。頂点のひとりを選ぶ手段が違っているだけで、血統による王、権力闘争の末の皇帝、選挙で選ばれる大統領や首相、それぞれの国家や社会は構造としてはほぼ同じだ。強いボスに従う猿の群れから、人類はさほど進化していないともいえる。
アメリカの大統領選や兵庫県の知事選で見られたように、民主主義のシステムのひとつである選挙で、民衆は必ずしも最善の選択をするわけではない。多数決が民意というのは、民主主義の欠陥でもある。
1万年前の時代を描くドラマだが、1万年も続く文明とはどんなものなのだろう?
ポール・アトレイデスの時代と、それほど違わない光景なのが不思議。文明としての進歩は止まり、停滞した社会が持続しているようだ。
ある意味、おとぎ話の世界だが、中世的な世界観はスピリチュアルな願望なのかもしれない。
絶賛するほどの作品ではないにしても、ドロドロの政治劇として興味深い作品にはなっている。SFというよりファンタジーとして見た方がいいと思う。