THE EXPANSE | Amazon Prime Video

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見ようとは思っていたものの、時間がなくて見ていなかった作品をようやく見た。
それが「THE EXPANSE」。
なにしろ6シーズン分があったので、全部を見るのに時間がかかるのが、躊躇していた理由でもあった。

The Expanse Season 6

本作は、2015年から公開されたが、当初は3シーズンで打ち切られた。
それに対して、ファンから再開の要望が出てきて、Amazonで再開されたという。

Amazonに救済されたSFドラマ『エクスパンス -巨獣めざめる-』がシーズン6で終了&アレックス役降板 – モデルプレス

『エクスパンス』は、ジェイムズ・S・A・コーリイのベストセラーSF小説「巨獣めざめる」のドラマ化。小惑星帯に人類が進出した200年後の未来を舞台に、対立していた地球と火星、小惑星帯の人々が団結し、外宇宙からやってきた宇宙生物の脅威に立ち向かうさまが壮大なスケールで描かれるシリーズ。

2018年に本シリーズがSyfyにキャンセルされた際、ファンが「#SAVE THE EXPANSE(エクスパンスを救え)」という救済キャンペーンを開始。その運動が功を奏し、小説のファンだというAmazonのCEOジェフ・ベゾスに救い出されてシーズン4へ更新された。

それほど期待せずに見始めたのだが、これはスゴイSFドラマだった。
本格宇宙SFドラマといっても過言ではない。

「THE EXPANSE」には「巨獣めざめる」との副題がついているが、これは小説の邦訳版に準じているようだ。原作小説の第1巻目のタイトルが「LEVIATHAN WAKES」なので、その直訳でもある。

しかし、この邦題は「THE EXPANSE」の邦題として適切とは思えない。
「巨獣めざめる」では、まるで怪獣映画のようだ。内容を表すタイトルとしては、イメージが合っていない。
ちなみに、EXPANSEの意味は「広がり」や「天空」だ。

あえて邦題をつけるとするなら……
「太陽系戦記」あるいは「太陽系叙事譚」あたりがいいように思う。

最終シーズンとなったシーズン6は全6話と少なく、2021年12月10日から始まり、2022年1月14日に終わった。
これで完結とのことだが、シーズン6で新たに出てきた謎は明らかにされずに終わっている。制作陣は続きを作るつもりだったのがうかがえる。

「THE EXPANSE」のなにがスゴイかというと、SF考証がしっかりしている点だ。
人類が木星圏や土星圏まで進出している時代の設定となっており、宇宙船の駆動方式は核融合エンジンだ。この宇宙船が無骨だけれども、なかなか格好良くて、よくデザインされている。

見せ場は宇宙船同士の戦闘だ。
兵器としては、ミサイル(通常弾頭と核弾頭)と弾丸を飛ばす機銃、そしてレールガンという、物理的な兵器のみ。光線銃やレーザー兵器は出てこない。レーザー通信機をレーザー兵器として転用するエピソードはあったが、エネルギー兵器は基本的に出てこない。

高速で飛ぶ宇宙船同士の戦闘での戦い方が、なかなかよくできている。
日本アニメの「ガンダム」や「銀河英雄伝説」での艦隊戦は、ぜんぜんリアルさがなくて、海の上での艦隊戦を宇宙に置き換えただけ。
いやいや、そうじゃないだろ……と常々思っていた(^_^)b

対して、「THE EXPANSE」の艦隊戦は、じつにリアリティがある。
宇宙は平面的ではなく、宇宙船のスピードはかなり高速であり、乗員にかかる負荷も大きい。それを踏まえた戦い方が必要になる。
そうそう、これだよ……と思ったね。

宇宙船がケツ(エンジンのノズル)を前にして進んでいるシーンが度々出てくる。
これにニヤリとしたね。作ってる人はよくわかっている。
加速シーケンスと減速シーケンスはほぼ半々なので、目的地に着く前はケツを向けて減速しつつ飛ぶことになる。その描写がちゃんとある。

また、携帯端末の描写もなかなかいい。
本体が透明な端末で、ディスプレイ部分がホログラムのようになっていた。操作方法は音声またはフリック操作だが、現在のスマホが進化するとこうなるのでは?……という未来を想像させる。こういうのは、スタートレックやスターウォーズには出てこない未来感なんだよね。

役者は透明なアクリル板を持ってるだけだと思うが、その端末の画面部分の合成は違和感なくフィットしていた。
さらに、3Dホログラムの描写もよかった。現在の3Dはゴーグル型端末などが必要だが、実空間に映像を投影する未来的な描写になっていた。その操作方法はフリックとジェスチャーで、これも可能性を感じる未来感になっている。

加えて、通信には遅延が生じるというのを、うまくストーリー展開に絡めていた。亜空間通信がない場合の、通信遅延を無視した宇宙ものSFが多いんだよね。地球と火星の間では、最接近時で6.5分、最遠時では44分のタイムラグが発生する。小惑星や木星であれば、遅延時間は増す。その遅延が、太陽系内での広がりというか距離感を表現していた。

異星人は出てこないが、異星人の残した超テクノロジーの遺産が出てくる。
最初はウイルスのように人々に感染し怪物に変態させるのだが、最終形態は別の恒星系への窓を開く巨大リング構造物になる……という驚きの展開。

シーズン6まででは、恒星間に進出した人類のことはあまり描かれていない。なので、物語の重心は太陽系に留まっている。
次の布石として、シーズン6で別の恒星系の謎が出ていたが、その伏線は回収されずじまい。

とまぁ、そんな感じで、久々に濃い本格宇宙SFを見て大満足(^_^)
1週間かけて全話を見たのだが、どっぷりとはまってしまった。もう続きがないのが残念だ。
再度のシリーズ復活があるかどうか。
見たいなー。

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