AmazonオリジナルのSF(っぽい)ドラマ。
シーズン1が2019年9月、シーズン2が2022年4月に配信された。各8話ずつの全16話。
時間を超える能力を持つ女性が主人公。
主人公の女性の前に、事故で死んだはずの父が時を超えて現れ、死んだ原因を解き明かして過去を変えてくれと頼むことから物語は始まる。
そして、時間を移動できるシャーマンの能力に目覚めた主人公は、過去を変えるために試行錯誤していく。
タイムトラベルものともいえるが、時間移動の方法は精神的であり、霊的でもある。なので、SFというよりはファンタジー。
タイトルの「アンダン(Undone)」の意味は……
- 【形】なされていない、未完成の
- 【他動】undoの過去分詞形
- 【形】破滅した、がくぜんとした
解いた、ほどいた、ほどけた
……ということ。
紹介記事やレビュー記事で、「ロトスコープ」と書いているものがあったが、本作の手法は厳密にはロトスコープではないだろう。
ロトスコープとは……
ロトスコープとは|3DCGデザイナー専攻|デジタルハリウッドの専門スクール(学校)
実際に撮影した映像をトレースしてアニメーションを制作する手法。実写の動きをトレースしているために大変精巧な動きを見せることが出来る。 しかし、1コマ1コマを手作業で追いかけるため、非常に時間のかかる作業でもある。
つまり、デジタル以前のアナログ時代の実写トレースがロトスコープだといえる。
本作の場合は、実写映像をアニメ的な表現効果にするフィルターをかけていると思われる。その手のフィルターは、市販品にもいろいろとあるので、比較的簡単な手法だ。
ただし、本作において、そういうアニメ効果が必要だったかどうかは疑問だ。
そのまま実写ドラマでも問題なかったように思う。
使うにしても、タイムトラベルシーンだけに使って、リアルとは違う違和感を演出するなどの、メリハリをつけた方が効果的だったのではないか。
主人公たちは、過去に戻って分岐点となった選択を変えることで、未来を変える。
それが可能になると、改変される以前の未来が存在しなくなるので、過去に戻る必然性がなくなるというパラドックスが生じる。
そこがタイムトラベルものの、ややこしいところ。
しかも、過去改変の動機は家族の問題に限られ、世界を変えるような大きな話ではない。
一度の過去改変では済まず、不都合が発生するたびに過去を変える。
見ようによっては、自分勝手でもある。
まぁ、それでもそこそこ面白かった。
シーズン2のラストでは、主人公は改変される前の過去に戻るのだが、シーズン3への伏線のようだ。