ヒット作ではある『天気の子』が、アメリカのアカデミー賞(ノミネートにも入らなかった)やアニー賞を受賞できなかったことは、私から見れば当然だと思うのだが……。
賞を取ることを期待していた人たちもいるようだ。
『天気の子』受賞ならず 米・アニー賞が示す日本アニメの更なる深化の必要性(まつもとあつし) – 個人 – Yahoo!ニュース
優れたアニメ作品や監督に贈られ、「アニメーション界のアカデミー賞」と称されるアニー賞の授賞式が1月25日、アメリカ・ロサンゼルスで開催された。日本からは昨年公開された『天気の子』『若おかみは小学生!』『プロメア』の3作品がノミネートされていた。日本国内でのヒット作・話題作であり、『天気の子』は海外でも興行が好調であったが、いずれも受賞はならなかった。その明暗を分けたのは、一体何だったのだろうか。
(中略)
『君の名は。』(2016)の世界的ヒットを受けて、数多くの企画が生まれる形となった年であったわけだが、『君の名は。』がやはりアニー賞ではノミネートにとどまったように、『千と千尋の神隠し』(2003)以来、海外のフルCGアニメーションの受賞が続いている。
『天気の子』のレビューでも書いたが、この作品は傑作にはほど遠く凡作だ。
『君の名は。』を、10点満点で評価すれば、私の採点は7点。興行的には大ヒットとなったが、アイデアは古くさく手垢のついたものだし、ストーリーはいろいろと破綻していて瓦解寸前だった(^^)。キャラクターもありふれていて、独創的とは言いがたい。
娯楽作品として楽しめる作品だからヒットしたわけだが、作品としての創造性や斬新性あるいは芸術性で評価すれば、それほど突出していたわけではない。
かの「スターウォーズ」もエンタメ作品としては大ヒット作品だが、作品賞は受賞していない。部門賞はいろいろと取ってるけどね。
興行的なヒット作と芸術的高評価は、なかなか両立しにくい。
『千と千尋の神隠し』は数少ない両立した作品だ。ジブリ作品でも、宮崎監督作品は興行的に成功するものの、故高畑監督作品は芸術的評価は高いものの興行的にはいまいちの作品が多かった。
で、『天気の子』は私の採点では6点。
『君の名は。』より評価は低いのだから、賞を取れるわけがない。
評論家諸氏は、もうちょっと冷静に作品を評価しようよ。
逆説的に、『千と千尋の神隠し』がなぜ評価され受賞できたのか?
『千と千尋の神隠し』を凌駕する作品でなければ賞は取れないと考えるべきで、『天気の子』に超えるような要素があったかどうか。
残念ながら、ないよね。
なければ賞は取れない。当然の帰結だ。
日本のアニメが独自の発展をしてきたという指摘は、そのとおりなのだが、いわばアニメのガラパゴス化だ。
しかし、この方向性が間違っているとも思わない。
ガラパゴスなら、とことんガラパゴス化して独自の進化をしていけばいいのだ。
ディズニーは3Dアニメに完全にシフトしてしまったが、それはディズニーの方法論だ。
日本は日本の方法論で新しいものを目指せばいい。
ただね、オリジナル作品といいつつ、新海誠監督も細田守監督も、絵的にはオリジナリティが乏しい。ふたりは似ていたりもする。
日本的なマンガやアニメの文法の中で作品を作っているので、その枠の中から抜け出せずにいる。
殻を破るのは容易ではない。
宮崎監督を超えるのは誰なのか?
難しい時代ではある。