宮崎駿監督がべた褒めの「アーヤと魔女」だが……

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アーヤと魔女

劇場公開が延期されていたジブリ映画の「アーヤと魔女」が、8月27日に公開されるという。
宮崎吾朗監督のだが、父である宮崎駿監督は「面白い」と手放しで褒めている。

宮崎駿監督:「アーヤと魔女」語る 「大したもんですよ」「思いのほか健闘」 – MANTANWEB(まんたんウェブ)

「アーヤと魔女」は、スタジオジブリの劇場版アニメ「ハウルの動く城」の原作を書いた英国作家の故・ダイアナ・ウィン・ジョーンズさんの児童文学が原作。宮崎駿監督は同作を企画した理由について「ダイアナさんの作品は好きだから、開いてみたらとても面白かった。ハウルの時もいざ取りかかってみたら大変な目に遭いましたけど、今度のアーヤは短いし、非常に辛辣(しんらつ)だし、でもそれに負けないものがあるし、これは面白いんじゃないかと思ったんです」と説明した。

(中略)

作品を見て「試写は面白かった」「どこが面白いのかという話じゃなくて、面白いんです」と感じたといい、「本当に手放しに褒めたいぐらい、あれを作るのは大変だったと思いますよ。ストレートに、アーヤの『負けてたまるか! ここにいてやる!』という気持ちが貫かれていて、映画を作る覚悟をちゃんと踏みはずさないでやっていたから、本当によかった」とコメントした。

宮崎駿監督も普通の親バカというか、息子に対しては厳しくなれないようだ。

「アーヤと魔女」は、昨年(2020年12月30日)にNHKで放送されていた。
劇場版は多少のシーンが追加されるが、基本的には大きく変わらないということだ。

NHK版は見た。
そのときレビューは書かなかったのだが、正直なところ、あまり面白くなかったからだ(^_^)b
まだ録画を消していなかったので、改めて見直した。

見直したのだが、見直すこと自体がちょっと苦痛だった。
だって、面白くなかったものをもう一度見たいとは思わないものだ。
しかし、レビューを書くには、見直さないと……という義務感から再見した。

3DCGとしての的なことは頑張ってると思う。
それはCGスタッフの技量のお陰だろう。
しかし、CGに関しては「竜とそばかすの姫」の方が上。勝ち負けでいえば、負けている。

細かいツッコミをすれば、芝居が臭くて、「うえっ」と引いてしまうところが多い。
おそらくしていると思われるが、ディズニーほど完成度が高くなくて、ディズニーもどきになっている。

そうなってしまうのは、表情やボディランゲージを真似ているだけで、日本人の感覚として身についていないからではないかと思う。
取って付けたように見えるんだ。
そこが不自然で気持ち悪く感じてしまう。

原作は読んでいないので、原作との比較はできないが、映画のストーリーとしては中途半端だし、物語の背景がわかりにくく、伏線も回収されていない。

一番気になったのは、アーヤが孤児院に捨てられる理由となった、12人の魔女から追われる母親の経緯が、物語中では最後まで明かされなかったこと。
を捨てなければいけなかったほどの理由は、かなり重大な理由のはずなのに、それについての説明はほとんどなかった。

捨てられた子供が、引き取られた先で児童をさせられ、閉じ込められて虐待され……という、けっこうひどいだ(^_^)b
過酷な環境で、明るく、逞しく生きる少女……という話でもあるのだが、どうにも居心地の悪さがありモヤモヤ感がつきまとう。

結局のところ、宮崎吾朗監督は宮崎駿監督を模倣することから抜け出せていない。
冒頭のバイクと車のチェイスシーンは、「カリオストロの城」
魔女の家で働かされるのは、「千と千尋の神隠し」
しゃべる黒猫は、「魔女の宅急便」
……等々、駿監督のエッセンスが散りばめられている。
それは意図的なのかもしれないが、新鮮味は乏しい。

厳しい言い方をすれば、吾朗は駿を超えられていない。
息子が父の背中を追う姿は微笑ましくもあるが、父の到達した高みは高すぎた。
二世タレント、二世、二世政治家が、親を超えられない例は多い。
親が経験した苦労を、子供は経験しなかったのだから無理もない。
だが、二代目あるいは三代目が初代を超えた例もある。
それは才能の違いなのか、境遇の違いなのか、それとも……。

吾朗くん。(私の方が年上なので、君付けで呼ばせてもらう)
駿監督と同じ路線、同じようなテイストで作品を作っていては、先代の壁は越えられない気がする。
駿監督がやっていない方向性の作品にチャレンジした方がいい気がする。

たとえば、コテコテのガチSF映画とかね。
「アーヤと魔女」の中で、ハインラインに触れるセリフが出てきたが、ハインラインの「異星の客」を原作にしてはどうか。
同じ道を進んでも壁は高すぎるから、道を変えて壁の低いところから超える。
駿監督でも万能ではないので、苦手な部分はある。

ジブリブランドで、それなりの評価と結果は得られるかもしれないが、それは親の七光りのたまものでもある。
駿監督の真似ではない、吾朗くんにしか作れない作品を作って欲しいと思う。

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