『ウィッチャー:制作の舞台裏』がNetflixで配信開始

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良質なSF映画・ドラマが次々と作られるアメリカ。
剣と魔法の正統派ファンタジーも同様だ。中世的な世界で展開される物語は、西洋にとっては時代劇でもある。

今、もっとも注目しているのがNetflixで配信されている『ウィッチャー』だ。
そのメイキングが配信されている。

ドラマ『ウィッチャー』の制作に迫る『ウィッチャー:制作の舞台裏』がNetflixで配信開始

Netflixが、魔法や怪物が登場するファンタジードラマ『ウィッチャー』の世界の裏側を紹介する『ウィッチャー:制作の舞台裏』を公開した。

私はSFファンだが、ファンタジーも好きだ。ここでいうファンタジーとは、「指輪物語」に代表されるような、剣と魔法の物語のことだ。

いわゆる和製ファンタジーと呼ばれる作品は、最近はやたらと軽くて安直なものが多くなった。アニメ化される作品は、転生ものやゲーム世界でのファンタジーが多く、世界観が薄っぺらい。どっかから借りてきたような設定と、ありがちな展開と描写で、新鮮味は乏しい。世界観を1から構築するような緻密さがないのだ。

もともと西洋ファンタジーを翻訳物として輸入し、それを参考にして和製ファンタジーが生まれた。新しい世代は、和製ファンタジーから入って、それを下敷きにするから、コピーのコピーのコピー……と劣化していったともいえる。

日本には侍と忍者や妖怪の歴史はあるが、西洋の剣と魔法やドラゴンなどの異生物の歴史はない。そもそも歴史観が違うので、西洋ファンタジーと和製ファンタジーは似て非なるものではある。

なぜ西洋的な和製ファンタジーが作られるかというと、広大な世界の冒険譚であったり、魔法や魔獣の存在が魅力的だからだ。日本を舞台としたファンタジーもあるが、侍は冒険者ではないし、地理的にも狭い範囲のことであり、妖怪は生物的というより観念的な存在だ。侍は時代劇的な印象が強く、外国人にはエキゾチックに見えても、日本人から見ると戦国武将の延長線だ。

西洋ファンタジーの異生物たちは、単独の存在であることは珍しく、普通の生物のように生態系の中に組み込まれている。エルフやドワーフは、人間とは異なる進化上の知的生物であり、それぞれに歴史や文化を持っている。ドラゴンは絶滅危惧種であり、卵を産んで繁殖する。これらの背景は、日本の妖怪にはないものだ。

そして、魔法だ。
この魔法が、ファンタジーをファンタジーたらしめている。物語によって設定はいろいろだが、基本的な共通点として魔法には、一定のルールや手順があり、発揮する能力にも制限がある。四元素(火・風・水・土)を操り、鉱物や植物を原料としたアイテムを使ったりする。これは科学以前の科学的な発想と方法になっている。

前置きが長くなったが、『ウィッチャー』はファンタジーの王道をいく物語と世界観を、素晴らしい映像とストーリー展開で表現している。
ドラマとしてのクオリティは高い。

ネット配信ならではの大胆さでもあるのだろうが、女性キャラがヌードで演じるシーンがあったり、セックスシーンも出てくる(^_^)b
生死をかけた戦いが続く世界ゆえに、そうしたシーンは生々しさが際立つ効果にもなっている。

剣劇シーンも見もので、迫力のある戦いが展開される。
西洋の直刀は「切る」というより「突く」ことが主体なのだが、それにそった剣劇になっていた。日本刀は切るために湾曲している。

ウィッチャー

シーズン1は、3つの異なる時間軸(タイムライン)が交錯する展開になっていたため、見ている方はちょっと混乱してしまった。

ウィッチャーのゲラルト(ヘンリー・カヴィル)、魔術師のイェネファー(アーニャ・シャロトラ)、王女のシリ(フレイヤ・アーラン)という主要な3人のキャラが、それぞれのパートで主人公となるのだが、途中までは過去と未来を行ったり来たりする。
終盤にはつながるのだが、なんの注釈もなく過去と未来が切り替わっていたので、戸惑いはあった。

シーズン2では、タイムラインは収束されて、3人のキャラが噛み合う展開になるという。
そのシーズン2は、新型コロナ問題で制作が中断していたが再開され、公開は来年になるそうだ。

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