「ファウンデーション」シーズン2|Apple TV+

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 2023年7月14日から配信が始まった「ファウンデーション」シーズン2は、全10話のうち9話まで進んだ。全部見てからと思っていたのだが、残り1話でどんでん返しはなさそうなので、気になったことをいくつか書きとめておこう。

Foundation — Season 2 Official Trailer | Apple TV+

 1シーズンが10話で、80話までやるとかいっていたので、2年で1シーズンとしてあと10年もかかる計算だ。
 いやいや、そんなに続かないだろう(^_^)b
 海外の噂情報によると、シーズン3の撮影が始まったという情報はあるが、正式に発表はされていない。話題のシリーズではあるものの、そこまでヒットしているわけでもない。2シーズンでは、あまりにも中途半端なので、シーズン3までは作るとして、その先は不透明。全80話は、ほぼ不可能だと思う。

 小説は文章で語り表現するので、抽象的な概念やイメージを演繹的に構築していく。それは文字表現独特の手法であり、読者の想像力に訴えるものだ。
 しかし、映像化するには具体化をしなくてはいけない。実写であれCGであれ、映像は見るものに想像の余地を与えない。撮り方、見せ方によって、壮大なイメージも陳腐化のリスクを背負う。

 ドラマ版「ファウンデーション」について、辛辣な評価をしていたのが以下の記事。

Apple TV+で描かれる『ファウンデーション』は、アシモフの問題提起を無効にしている | WIRED.jp

本シリーズは戦後の核時代に書かれた原作小説を現代風にアップデートすることを試みているが、題材のほとんどが他の超大作ファンタジー作品のまねごとに浪費されてしまっている。「いかなる一個人の人生よりも長く続く生存競争に巻き込まれることは、何を意味するのか?」というアシモフの問いは、政治的・生態学的に不安定な時代において、いつにも増して重要となっている。しかし、タイムリーな引喩は随所に散りばめられているものの、ヒーローを中心に展開するテレビ版の物語形式は、アシモフのこの問いを曖昧にしてしまっている。

(中略)

より大きな問題点は、ゴイヤーの『ファウンデーション』が、原作の題材そのものに退屈しているように見受けられることだ。プロットはジョーゼフ・キャンベルの「英雄の旅」に沿って丁寧につくられており、そのファンタジー世界の装飾的な部分は、他の多くの有名な物語から引用されている。

例えば、『デューン』風のトランスヒューマンの宇宙船パイロットがいる。本作で登場する「数学」は、『スター・ウォーズ』の「フォース」の、脆弱な従兄弟のようなものだ。ジャレッド・ハリスのセルダンは、アレック・ギネスのオビ=ワン・ケノービを彷彿とさせるし、運命から逃れようとする若き異星人ガールは、ルーク・スカイウォーカーのアップデート版だ。

 なかなか鋭い指摘。そこが映像化の難しいところ。
 「スターウォーズ」が小説版「ファウンデーション」にインスパイアされていたのは周知のことだが、映像化はスターウォーズが先だった。
 今度は逆に、ドラマ版「ファウンデーション」がスターウォーズ的な見せ方をしてしまっているという皮肉。S2の第9話の戦闘シーンは、もろスターウォーズのデススター攻略を彷彿とさせた。

 遠未来の物語でありながら、造形やデザインをローマ帝国時代のような古典的なものにしてしまったのが、ひとつのマイナス要素だったかなと思う。小説がローマ帝国をベースにしていたとはいえ、現代的な解釈をするなら、古典的な方向ではなく、もっと未来的な方向があってもよかった。
 ただ、それを可能とするには、未来を描けるデザイナーが必要だった。故シド・ミードのような天才がいれば……。映画『ブレードランナー』(1982年)が、いま見ても未来を感じるのは、そのデザインの先進性にある。

 シーズン2の最終話(第10話)の予告は……

「創世神話」
ガール、サルヴァー、ハリはイグニスで進むべき新たな道を見つける。
トランターへ戻ったデマーゼルは帝国の運命を変える行動に出る。

「ファウンデーション」シーズン2の最終話(第10話)の予告

 ……となっている。
 デマーゼルの行動は気になるが、シーズン3に向けた伏線だろうね。
 とりあえず、来週のシーズン最終話を見届けるとしよう。

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