今年も到来…「インフルエンザ予防は誤解だらけ」


毎年冬になると、インフルエンザの予防や流行についての記事が出てくる。
私も過去に何度となく書いてきたが、インフルエンザの常識・2018年版
2017年版はこちら→ 「インフルエンザに関する最近の知見

インフルエンザ予防は誤解だらけ 最大最強の方法はもちろん…… : yomiDr. / ヨミドクター(読売新聞)

 実は、インフルエンザの予防に確実と言われる方法は、そんなにたくさんないのです。例えば、よく言われる「手洗い、うがい」。少なくとも通常の手洗いやうがいには、インフルエンザを予防する効果はほとんどないと考えられています。ま、手洗いをすると他の病気の予防には役に立ちますし、うがいも別に無害ですから、「やるな」とは申しませんけど。

あと、マスク。日本人はマスクが大好きですが、あいにくマスクを着けてもインフルエンザにかかりにくくなるというデータはほとんどありません。病院の中など、特殊な環境下ではある程度役に立ちますが、普通の日常生活においてはマスクの効果は極めて限定的です。

さらに、学校閉鎖や学級閉鎖。インフルエンザが流行するとよく行われますが、実はインフルエンザの流行を鎮める効果は学問的には証明されていません。おそらく(仮にあったとしても)大した効果はないと思います。

やっと……やっと、医療関係者が「インフルエンザの予防に、手洗い、うがい、マスクは効果がない」と明言するようになった。

この記事はYahoo!ニュースに転載されていて、そこのコメント欄で論争が起きている。
手洗い、うがい、マスクが効果がないとする記事の主張について、肯定派と否定派が論争している。論争が噛み合わない原因は、それぞれの主観や経験論から「効果があるはず」とする否定派と、最近の知見から効果がないとする肯定派で、立脚点が異なっているためだ。

私は2009年頃から、「手洗い、うがい、マスク」は意味がないと書いてきたのだが、世間は呪文のように、この3つの行為を奨励し続けていた。
→ 新型インフル…感染シナリオとその根拠の疑問(2009年8月29日)
→ インフルエンザ対策の、うがい、手洗い、マスクの本当の予防効果は?(2012年12月25日)

学校閉鎖や学級閉鎖も、欠席者が増えてから閉鎖するのでは遅いよね。潜伏期間を考えれば、ある人数の感染者が出たら、すでにクラス全員がウイルスにさらされているわけで、予防にはならない。
もし、閉鎖で効果を出すとしたら、最初の1人目の感染者が出たら、即閉鎖しないと、周りに感染が広がってしまう。

インフルエンザに対する2つの大きな誤解

  1. 通常の市販マスクはウイルスの侵入を防げない。
  2. 飛沫感染・接触感染だけでなく、空気感染する可能性がある。

この2点が周知されていないことが、大きな誤解の元だ。

「手洗い、うがい、マスク」に効果があると主張する人たちは、もっぱら経験則から「なんらかの効果はあるはず」という思い込みをしている傾向がある。
「手洗いすることで、ウイルスを落としているはず」
「うがいをすることで、ウイルスを落としているはず」
「マスクをすることで、ウイルスが入ってこないはず」
……という、思い込みなのだ。
なぜそう思いこんでしまうかというと、ウイルスは目に見えないから。

特にマスクに関しては、効果の信奉者が多い。
物理的にマスクをしていることで、飛沫やウイルスの侵入を防いでいると、信じ込んでいるようなのだ。
だが、それは見た目だけ。
マスクは顔を隠している以上の効果はない。
よく勘違いされるのが、花粉症には効果があるから、インフルエンザにも効果があるはず……というもの。こういう勘違いは、花粉とウイルスの大きさを知らないから起こる。

ウイルスの大きさは、0.1μmほど。飛沫として飛ぶ水分が5μmほどだが、サージカルマスクは4〜5μmの大きさ以上のものしか防御できない。
飛沫は防御できたとしても、ウイルスは素通りできる。

で、インフルエンザは空気感染する可能性があるという研究報告がある。

インフルエンザ 飛沫でない「空気感染」リスクも|健康・医療|NIKKEI STYLE

このほど米Maryland大学の研究者たちが行った研究で、インフルエンザの感染者が咳やくしゃみをしていなくても、その患者の吐く息を吸い込んだだけで「空気感染」が起こる可能性が指摘されました。感染者の呼気に含まれる微細な粒子にも感染性のあるウイルスが含まれており、そのために、直接患者の咳やくしゃみを浴びなくても、同じ室内にいるだけでも、感染が起こり得るというのです。

(中略)

この研究で得られた結果は、インフルエンザ感染者が普通に呼吸しているだけで、ウイルスが吐き出され、それが感染を広げる可能性があることを示しました。

つまり、こうなると、もはや普通のマスクでは、ウイルスの侵入は防げないということ。
感染し、発症している人が呼吸するだけで、ウイルスは空気中に放出されている。

「マスクはエチケット」などという人もいたが、エチケットもクソもない(^_^)。マスクをしていても、その生地の網目からウイルスは外に漏れている。マスクをしているから安心……という話ではないのだ。マスクをするのがエチケットというのなら、オナラをするときは音の出ないすかしっ屁がエチケットだ……といっているようなもの。音が出なくても。臭いことに変わりはない(^_^)。

マスクで効果があるとしたら、毒ガス対応のマスクなら多少は期待できるかもしれない。

ガスマスクは、対象とする化学物質によって異なるのだが、性能の良いものは粒径0.06~0.1μmを防御できる。
ウイルスにそのまま適用できるわけではないが、このくらいの性能であればウイルスにも通用する。

街中を、このマスクをしている人がたくさん歩いていたら、ある意味すごい。ディストピアの未来の世界だね。ただ、本気でマスクで予防したいのなら、ここまでやらないとダメだってこと。

インフルエンザは飛沫感染だけではなく、空気感染する。

これが、2018年版の新常識だね。

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