新型インフル…感染シナリオとその根拠の疑問

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新型インフルエンザが、いよいよ感染爆発の時期に突入したようだ。
そのシナリオが発表されていた。

新型インフル:1日最大76万人が発症 厚労省試算 – 毎日jp(毎日新聞)

 流行シナリオは、国内外の感染の広がり方や季節性インフルエンザの流行パターンを参考に試算した。罹患率を20%(例年の季節性の2倍程度)と仮定すると、感染者が増え始めてから5週目に1日当たりの発症者が10万人を超え、9週目に最大になる。国立感染症研究所の推計では、今月17~23日の患者数は約15万人で、シナリオの3~4週目に相当し、「9週目」は9月下旬~10月上旬になる。

ピークが9月下旬~10月上旬になるということは、ワクチンは間に合わないことになる。接種開始は10月下旬ということになっているからだ。

だが、テレビの報道などを見ていると、ワクチンに対してかなり誤解があるように思う。

ワクチンを接種すれば、感染しない……ということではないのだ。

ワクチンは重症化をある程度抑制できる可能性があるという、限定的なものである。
それについての試算が以下。

新型インフルエンザ:ワクチン優先摂取 「親子」で被害抑制 – 毎日jp(毎日新聞)

 その結果、新型インフルエンザの感染力が現状程度で、毒性も1957年のアジア風邪と同等、米国内で3700万回分以上のワクチンが供給されたと想定した場合は、5~19歳の子供と30~39歳の成人に優先接種すると最も感染者や死者が少ないことが分かった。ワクチン供給量が4000万回分の場合、この方法でも4400万人が感染し死者は10万8000人に上るが、米疾病対策センター諮問委員会の勧告より感染者は1500万人、死者は3万1000人少なくなるという。

つまり、感染者が34%減、死者が28.7%減……と、約3割程度しか効果がないことになる。ワクチンがあれば、100%大丈夫といった思いこみがあるのは問題だろう。

ワクチンについては、効果の数値的裏付けが示されているが、予防のために奨励されている「手洗い、うがい、マスク」については、どの程度の効果が期待できるのかの、具体的な裏付けは示されていない。

「1日最大75万人が感染する」というシナリオだが、その人たちは3つの予防処置をしなかった人たちなのか?
いくらなんでも、そんなことはありえないだろう。これだけ騒がれていれば、多くの人がせっせと「手洗い、うがい、マスク」をすることになるはずだ。それでも感染してしまうとしたら、3つの予防処置には、いったいどれほどの効果があるのか?

3つの予防処置を徹底的に行っていれば、感染は防げるのか?
ワクチンですら効果は3割なのだから、それよりも効果は少ないだろうことは予想できる。

では、10%か? それとも0.1%か、0.01%なのか?
その数値的検証によって、3つの予防処置が有効なのかどうかの客観的な評価ができる。だが、そんな数値はどこからも発表されていないのだ。

マスクが品切れになる、マスク・パニックが再び起こりそうだが、仮にすべての人が外出時にマスクをしていれば、感染はしないのか?
それでも流行はするのだろう。シナリオはそのことも想定しているはずだからだ。マスクで感染が防げるのなら、マスク戒厳令でも出して、マスクをしていないものは外出を禁じればいい。そうすれば流行は防げる。

だが、現実にはマスクをしていても感染はする。つまり、効果は微々たるものだということだろう。
ウイルスの体内への侵入経路は、口と鼻からだけではない。飛沫感染であれば「眼」は盲点だ。目にはゴーグルを……とは、いわれない。

「手洗い、うがい、マスク」の3つの予防処置は、気休めなのかもしれない。少なくとも、効果を測定できるほどの根拠は乏しいのが現状ではないだろうか?


【補足】
「目にはゴーグル」というのは、新型インフルエンザの水際対策で、検疫官がどんな装備をしていたかでもわかる。
以下がその画像。

新型インフルエンザの検疫官

新型インフルエンザの検疫官

【新型インフル】「よく見つけた」検疫発見で厚労省やや安堵 – MSN産経ニュースより

マスクだけではなく、ゴーグルもしている。
つまり、体内への感染経路として「目」も覆うことが必要だと、示しているのだ。
ゴーグル……しますか?

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