銀河の中心にブラックホール1万個?

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銀河の中心に巨大ブラックホールが存在しているというのは、もはや定説になっているが、巨大な1個だけでなく、たくさんのブラックホールが取り囲んでいるという新説。

銀河の中心にブラックホール1万個存在か、研究 写真1枚 国際ニュース:AFPBB News

 地球のより近傍にあるブラックホールの研究データに基づき、研究チームは銀河系中心の周囲にブラックホールの連星系が全部で約500個存在すると推定した。これらの大半は放射強度が低すぎて観測できない。

「最終段階は理論によってもたらされる。理論では、孤立したブラックホールの中で最終的に(連星を形成するための)伴星を見つけるものは約20個に1個にすぎないと推測されている」と、ヘイリー氏は説明。「従って、推定値の500個を20倍すれば、(射手座A*の周囲に)孤立したブラックホールが約1万個存在することになる」と続けた。

銀河中心の領域には、ブラックホールが群れているという説。ある意味、ブラックホールの星雲ともいえるのかな。なんか、想像を絶する光景だ……といっても、ブラックホールそのものは見えないのだが。

ブラックホールに関して、よくある誤解に、周囲の星々がどんどん飲み込まれてしまうというイメージがある。
きわめて近くまで接近すれば飲み込まれるのだが、ある程度の距離があれば、重力の影響は受けるものの、周回するだけ。周回軌道が徐々に縮まり、最終的に飲み込まれるとしても、膨大な時間(数百万年〜数億年)がかかる。

NASAの教育動画に、ブラックホールに飲み込まれる伴星の様子をシミュレートしたものがある。


この動画の時間スケールは、始まりから終わりまでで数十万〜数百万年。それを数十秒に短縮している。一瞬のことではなく、長い時間をかけて星を飲み込む。

銀河中心の巨大ブラックホールの周りを、たくさんの小さなブラックホールが回っている……というイメージだと、こんな感じかな?

ちょっと違うかな…。
実際には、もっと暗くて、判別はつかないのだろうし。

太陽系は、銀河系の中の外側、辺境に位置しているので、恒星間の距離は広め。
対して、銀河の中心付近は恒星間の距離がつまって密集している。星の材料が多いことで、たくさんの星が生まれたわけだが、老いた星も多く、ブラックホールになる星も多い。

それにしても、1万個のブラックホールが集まっている……というのは、想像力を掻き立てられる。
I・アシモフの「ファウンデーションシリーズ」では、銀河帝国の主星である「トランター」は、銀河系中心部にあった。

 

私が読んだのは創元版だが、高校生のとき、夢中になって読んだ。その当時、田舎の本屋には、SF小説の単行本は少なく、このシリーズとE・R・バローズの火星シリーズがいくつかある程度だった。それを読みつくしたら、町の大きな書店まで出かけたものだ。

今風に解釈し直すとしたら、トランターはブラックホールを周回する人工惑星で、そのエネルギー源としてブラックホールを利用している……という設定も考えられる。
もし、銀河帝国のような恒星間をまたぐ文明があるとするなら、やはり銀河中心領域なのかなと思う。
理由のひとつは、恒星間の距離が近いこと。
中心領域では、恒星間距離は平均0.5光年程度になるという。星が近いことで、観測もしやすく、宇宙についての知見も発達するだろう。さらに、隣の星が近ければ原始的な宇宙船でも到達可能となり、文明圏を広げるためのハードルも下がる。宇宙文明を発達させるには、辺境よりも中心領域の方が適しているとはいえる。

ともあれ、1万個のブラックホールが密集しているというイメージは、SFのアイデアとしても面白い。だれか、そんな壮大なSFを書いて欲しいよ。

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