消えた天体はエイリアンの仕業か?

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面白い天体関連ニュース。
過去に撮影された天体の写真を精査したところ、この70年で消滅したと思われる天体があるという。
その原因を巡る推論が興味深い。

100以上の天体が消えた…エイリアンの仕業か、新たな超新星か | Business Insider Japan

通常、超新星爆発は、重い星(少なくとも太陽の8倍の質量をもつ星)が水素を使い果たした後に発生する。重い元素が融合し始め、星はその形状とサイズを維持するのに十分な内部圧力を維持できなくなり、それ自体の重力に屈っする。その外層は崩壊して爆発し、重金属を宇宙に噴き出す。残った核は、ブラックホールまたは中性子星へと崩壊する。

理論上、超新星爆発に失敗した場合、死を迎えた星は爆発をスキップし、即座にブラックホールになるので、消える物体を説明できる。

エイリアンが介入している可能性もある。これらの消える赤いオブジェクトのうち、1つの画像に一度だけ現れるものは、エイリアンが星間空間を越えて通信するために使用したレーザー光かもしれない。あるいは、エイリアンの文明が、ダイソン球と呼ばれる、恒星のエネルギーをすべて利用するための巨大構造物を星の周囲に構築したために消滅した可能性もある。

消えた天体

昔の画像(左、正方形の中央)に表示されているオブジェクトは、新しい画像(右)で消えている。

ダイソン球を持ち出してくるのが、飛躍しすぎていて面白い。
いやまぁ、可能性としてはありだけど、そんな超超超……超巨大な構造物を作る必然性やメリットがあるとは思えないんだよね。
SFとしては面白いんだけど。

しかも、70年で恒星が隠れたということは、70年で建造したということになる。完成ではないにしても、母星が隠れる規模まで建造したことになり、ものすごい建造テクノロジーだ。
そりゃまぁ、ダイソン球を造ること自体が、桁違いなスーパーテクノロジーではあるのだが。

太陽系でダイソン球を造るには、まず地球の公転軌道上にリング状の構造物を造ることから始める。
ダイソンリングといわれるものだが、これを舞台にしたのが、ラリイ・ニーヴンの「リングワールド」だった。

その建築材料となるのは、太陽系内に存在する惑星や小惑星だ。
太陽からの平均半径を149,600,000km、幅1,000km、厚さ1kmのリングを造るとすると……

体積=9,399,645,200,000k㎡……となる。

地球の体積は約1兆833億1978万k㎡なので、単純計算で地球の約9個分という、とてつもない量の材料が必要になる。※計算違いがあったので訂正(^^;)

地球と月を分解し、水星と金星と火星を分解してもまだ足りない。小惑星帯の小惑星をすべてかき集め(地球の月の1/35にしかならない)、冥王星以遠の彗星や小惑星もかき集めても、まだ足りない。じゃ、木星や土星の衛星も使うか。強度を保って材料を節約する構造にするにしても、資源として足りるかどうかは疑問だ。
……という莫大な資材を必要とするプロジェクトだ。

リングのみでこれだけ必要になり、球として太陽を覆うには、木星や土星のガス惑星も材料にしなくてはならないかもしれない。惑星や衛星を破壊することで生じる重力バランスの変動は、ここでは無視する。
経済的な損得は抜きにしても、太陽系をまるごと改造するような文明は成立するだろうか?

リングワールドやダイソン球が必要とされる文明が存在するとしたら、別のことを意味している。
それはスタートレックやスターウォーズのように、「ワープ航法」で恒星間を容易に移動する術がないということだ。

ワープ航法が実現不可能であるならば、文明は恒星系から出て行けない。外に出て行けないのであれば、恒星系内で生存環境を拡大するしかない。その最たるものが、リングワールドでありダイソン球だ。
ワープ航法が可能であれば、他の恒星系で生存可能な惑星を探す方が簡単なのだから。

消えた天体は、爆発をともなわないブラックホールの可能性が高そう。
あるいは未知の星間ガスが恒星を隠してしまったか、だね。
ダイソン球の可能性は、ゼロではないにしても限りなくゼロに近いと思うよ。

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