メタバースに暗雲か?

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 ちょっと久しぶりにメタバース関連。
 メタバースについて、悲観的なニュースが出ていた。なかなか目論見通りには進んでいないようだ。前から書いていることだが、イメージだけが先行していて、実態がともなっていないのが大きな要因だろう。

レイオフがメタバースにとどめを刺す…マイクロソフトはHololens部門も対象に | Business Insider Japan

先週、アップル(Apple)とマイクロソフト(Microsoft)は、拡張現実(AR)と仮想現実(VR)を含む投機的なプロジェクトを一時停止したと報道された。

ブルームバーグ(Bloomberg)が伝えたところによると、アップルは技術的な課題を理由に、噂になっていたARメガネの開発を延期した。マイクロソフトは、1万人に影響を与える広範囲なレイオフ計画の一環として、HoloLens部門に大鉈を振るうことになった。

そして、メタバースに対するマーク・ザッカーバーグ(Mark Zuckerberg)CEOの絶対的な信念に敬意を表して社名を変更したメタ(Meta)でさえ、先に大規模なレイオフの一環として、赤字のReality Labs部門のスタッフを解雇した。

メタバースは緩やかな概念であり、これを裏付ける証拠はほとんどないにもかかわらず、ARとVRがコンピューティングの未来であるという漠然とした理論を総称する言葉だった。

大手ハイテク企業は好況の間、このような定義が曖昧で具体性のないコンセプトに手を出し、ARとVRの技術を構築するために高給のエンジニアを雇用していた。しかし、2022年の株価の低迷、技術的なハードルの高さ、半導体への地政学的影響、大量のレイオフなど、すべてがこの未だ実現しないコンピューティングコンセプトの破滅を告げている。

(中略)

メタバースとその初期段階の技術に関連するもう一つの大きな課題は、誰かがそれを求めているのかが明確ではないということだ。

目新しさ以上のものを提供しない高価なデバイスを購入する準備ができている消費者は少数だろう。メタのザッカーバーグがメタバースにおける漫画のような人物であるプロトタイプの画像は、不格好なヘッドセットを買うことがお金を払う価値があるという考えを消費者に売り込むのにあまり役立っていない。

簡単に言うと、メタバースは未熟で、支離滅裂な技術的コンセプトであり、誰もがそれを望んでいるという証拠はほとんどなく、作るにはお金がかかる。株主や投資家が、コストを削減し、広告やサブスクリプションのソフトウェアのような、あまりセクシーではないが売れるものに注力するよう求めているときに、メタバースに注力するのは悪いことのように思える。そのため、人員削減を行う企業が、高価な実験装置や部門を削減するのは驚くことではない。

 手厳しいね。
 黎明期であることを加味しても、メタバースはあまりにも過大評価というか誇大妄想になっている。面白さはあるが、それはゲーム分野などのニッチなジャンルにおいてだと思う。ヘッドセットはゲーム用アイテムとしては普及するだろうが、一般向けデバイスとしては使い道が限定的だ。

Microsoft Hololens2

Microsoft Hololens2

 傾向としては、開発は続けるが、その規模と重要度は小さい、ということかな。
 日本国内はメタバースの取り組みに楽観的なのだが、アメリカが数歩先を行っているから、それが時差を置いて日本にも波及してくるのだろう。
 アメリカがさじを投げるとしたら、日本でガラパゴスな進歩をする可能性が、なくはない。むしろ、その方向性でイノベーションを起こせるとしたら、後発であってもトップを取れるかもしれない。

 続いての記事は、

メタバースのコンセプトは「約束通り」には実現されない:ゲーム開発者たちの半数近くがそう考えている理由 | WIRED.jp

それらの仮想世界にアクセスするために必要なハードウェア(たいていはメタの「Meta Quest Pro」のようなヘッドセット)は高価で扱いにくい。そしてアクセスできたとしても、大騒ぎするようなことは何もない。

何を書いたところで、実際にデジタルワールドを構築する人々には通じないだろう。ゲーム業界のカンファレンス「Game Developers Conference(GDC)」の主催者が2023年1月19日(米国時間)に発表した調査結果によると、なんと回答者の45%が「メタバースのコンセプトが約束通りに実現されることは決してないだろう」と答えている。

 これは、どの企業またはプラットフォームが「メタバースのコンセプトを約束通りに実現する可能性が高いか」という質問に対して最も多かった回答であり、没入型の仮想世界がもつ長期的な可能性に業界がどのような信頼を寄せているかを示唆するものでもあった。「売ろうとしている人がメタバースを理解しておらず、消費者もまた同じだ」と、ある回答者は答えている。

(中略)

「メタバースはすでに存在し、持続可能です。それは利益を得ようとしている企業によって新しいコンセプトで再販されているだけなのです」と、別の開発者は答えている(メタの場合、メタバースへの舵切りは利益の急減と成長の横ばいを伴っている)。

 メタバースの真の可能性が花開く日は来るかもしれない。だが、ザッカーバーグやスティーヴンスンが想像したようなものではないだろう。メタバースが真の代替現実になるためには、そのユーザーによって構築される必要がある。

 論旨としては、ほぼ同じ。

「メタバースのコンセプトが約束通りに実現されることは決してないだろう」

 というのには苦笑してしまう。
 最先端の現場にいる人ほど、なにができて、なにができないかを把握している。夢想を語っているのは、経営のトップだけというのが現実。

 Meta Quest 2 のTVCMに、以下のものがある。

 いやいや、そんな世界は実現してないだろう(^_^)b
 誇大広告というか、ほぼインチキのCMだ。これって、不当景品類及び不当表示防止法の優良誤認にならないのか? 効果がないのに効果があると宣伝するサプリ等と同じだと思うのだが?
※動画が見られなくなったときのためのバックアップは→

 この動画の世界が、今現在、実現していたら、大ブームになってるよ。それが実現できていないから、メタバースの見通しが暗くなっている。

「レイオフがメタバースにとどめを刺す」

 というのが、いつになるかだね。
 早ければ、今年中(2023年)かもしれない。
 メタバース熱気が冷めたら、メタバース砂漠が広がっているかも。
 今後の動向にも、注視していこう。

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