量子コンピュータの実現に一歩近づく

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 量子コンピュータは理論的には古くから提唱されてきたが、実現するには技術的なハードルが大きかった。
 その実現に向けて、新たな発見があったというニュース。

NTTと東北大、磁場を使わず電子スピンの向きを変えることに世界初成功……量子コンピュータに活用 | RBB TODAY

 今回発見された「移動スピン共鳴」を用いて、半導体内で電子の移動する経路を適切に制御することで、外部から磁場をいっさい加えずに「電子スピン」の向きを任意方向に変えることに世界で初めて成功した。この新現象は、電子スピン共鳴(Electron Spin Resonance)に外部磁場が必要、という基本原理を覆すものだという。

外部磁場がなくて、電子スピンの向きを自由に操作可能に

外部磁場がなくて、電子スピンの向きを自由に操作可能に

 この発見が、日本発というのが頼もしい。
 現在のコンピュータは、その性能限界に近づきつつあり、次世代のコンピュータは量子コンピュータになる。量子コンピュータが民生用レベルまでこなれてくるには、まだまだ数十年はかかるかもしれないが、いずれそういう時代になるのは必然だろう。

 量子コンピュータが普通になった時代……。
 SFでは描かれてきた世界だが、現実にはどんな世界になるのやら。
 ネットの世界も様変わりするだろう。
 そもそも、ネットという概念が変わっているかもしれない。
 たとえば、セキュリティに必要な現在の暗号鍵は、量子コンピュータがあれば瞬時に解けてしまうという。いかにしてセキュリティを確保するかという、新たな問題も生じる。

 たった30~40年前には、手のひらに載るようなiPhoneなんて、SFの世界だった。
 私が高校生のときに学んでいたコンピュータは、紙テープに穴を開けるという、レトロなコンピュータだったのだ。ウルトラマンの古い映像に出てくる、あの紙テープだ。
 隊員がカタカタと打ち出されてくる紙テープをみて、「うんうん」とうなずいたりするが、紙テープを見て2進法の穴をスラスラと読める人は、当時でもほとんどいなかったよ(笑)。
 プログラムを修正するときは、紙テープを貼り合わせて、パンチャーで穴を開け直すのだが、正しく穴を開けるために、2進法の整合表が欠かせなかった。

 そんな昔から比べたら、iPhoneはとてつもないコンピュータだ。
 量子コンピュータが30年後に、汎用機器として誰もが持っている時代になるのだとしたら……
 今からは想像もできないことが可能になっていて、それを使う世界も、まるで違っているのだろう。
 どんな世界なのか……
 見てみたいが、たぶん、それまで生きてないな(笑)。

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