インターネットが普及して、社会や世界、人々の生活スタイルまで大きく変わった。
次はAIが世界を変えるのかもしれないが、ひとつ重要なピースが欠けている。
それは、常温で稼動する汎用の量子コンピュータだ。
そして、量子コンピュータのネットワークとしての「量子インターネット」がそろって、はじめてシンギュラリティの可能性が出てくるのではと思う。
その「量子インターネット」の記事。
世界の科学者を騒がせている「量子インターネット」が熱い理由 | ギズモード・ジャパン
いろんなメディアでデータの漏洩が騒がれたりしている今、世界の科学者がセキュリティ面で注目している技術に「量子インターネット」というものがあります。
(中略)
発表したのは量子インターネットで名だたるQuTechセンターの3人の科学者たちで、こちらのセンターはオランダのデルフト工科大学(Delft University of Technology)にあります。この発表によれば、2020年までには欧州4都市をむすぶ量子インターネットリンクを完成させる予定とか。MIT Technology Reviewがレポートしています。
(中略)
「量子インターネットのビジョンは、地球上のあらゆる場所における2点間で量子通信を可能にすることで、根本的に新しいインターネット技術を提供する」というもの。
(中略)
また量子ビットは通信にも影響を与えるとみられています。「量子もつれ(量子エンタングルメント)」という状態では、複数の量子ビットが個別の状態(離れている)にもかかわらず、数学的にはひとつの単位として処理できます。しかも量子ビットは複製できず、複製しようものなら即座に検出できてしまいます。というのも、量子ビットは測定された瞬間に0か1に変わるのです(0か1かは量子ビットの値にエンコードされた確率振幅による)。
(中略)
ウェーナー教授らの論文は、量子インターネットの夢をかなえるロードマップと言ってもよいでしょう。このプロジェクトには量子チャネルまたは量子ビットを送信するための物理リンクが必要となります。または長距離において2つの量子ビットをもつれさせる「量子中継器」が必要です。さらに、量子ビットの値を測る量子エンドノード(端末)や量子コンピューターのプロセッサ(処理装置)も必須です。
量子の世界は、話が難しくなる。
難解ではあるのだが、日常の感覚とは異なるため、実感できないことが理解を妨げてしまう。
インターネットは確かに世界を変えたが、量子コンピュータおよび量子インターネットは、もっと世界を変える気がする。
ただし、それが安価で、手のひらサイズのデバイスとして持てるようになったら……という条件付き。
現状では量子もつれを生成して、それを保持するのに極低温が必要だったり、通信距離に限界があったりで、ポケットに入れられるようになるのはかなり遠い未来。
真空管を使用したコンピュータ「ENIAC (1946年)」の時代、70年後に誰もがポケットにスマホ(コンピュータ)を入れているなんて、誰も想像しなかった。
だから、今から70年後に、量子コンピュータのデバイスを、誰もがポケットに入れている可能性だってある。
いや、ポケットじゃなくて、攻殻機動隊のように脳に埋め込むデバイスかもしれない。
脳は量子的な計算をしているともいわれるので、量子コンピュータとの親和性はいいようにも思う。
前エントリの「ビットコイン急落←だからどうした?」にも関連するが、量子コンピュータに量子インターネットが普及した未来では、現在の仮想通貨は時代遅れの技術であり、電子のゴミになる。もしかしたら、通貨そのものがなくなっているかもしれない。経済の仕組みそのものが変わる可能性を秘めている……というのは、少々楽観的かな(^_^)。
1000年、10000年のスパンで未来を考えるとき。
人類は通貨……お金で、ものごとを考える因習から脱皮しないといけない。
富の奪いあいでは、自滅の未来が待っているだけだと思うからだ。
いきなり通貨がなくても成立する社会というのは難しいから、前段階として、世界統一通貨を作ることだろうね。
それがドルなのかユーロなのか、あるいはまったく新しい通貨なのかはともかく、統一通貨になれば、為替相場はなくなり、国や地域によって通貨の価値が変動するリスクがなくなる。
仮に、その通貨単位をG(ガイア)としよう。
ハンバーガー1個が3Gで、それはニューヨーク、東京、北京のどこでも3Gで買える。現在だと、為替レートによってニューヨークでは3ドルなのが、東京では341.3円、北京では20.8元などという面倒なことになっている。その換算は、今日と明日とでは変わる。ものの価値は変わらないのに、通貨の価値だけが変わる。よくよく考えたら、おかしなシステムを作り上げたものだ。
世界統一は夢物語だと思われているが、もし、本気で世界をひとつにするとしたら、まず通貨の統一だろうと思う。
ヨーロッパのユーロは異なる国家間の通貨を統一するという、壮大な実験をしたわけだが、必ずしもうまくいっているわけではない。
だが、通貨の統一が不可能ではないことも示している。
……話がそれた。
量子通信というと、現状では解けない暗号としての側面が中心になっている。
だが、量子もつれには、同時性もある。
光では距離が離れるほどに、到達するのに時間がかかる。地球上であっても数百キロ離れていれば、数ミリ秒の遅延が生じる。つまり、「今」というリアルタイムの通信ではないのだ。
それが量もつれ状態にある2つの量子は、距離にかかわらず、同時に関連し合う。SF的な話をすれば、銀河の両端にある2つの量子は、同時に反応するため、超光速通信が可能になる……かもしれない。
恒星間にまたがる宇宙文明を築いている種族がいるとしたら、おそらく光速に束縛されない量子通信をしているだろう。そうでなければ、文明として成立しないからだ。
その量子通信は、電波や光のように盗聴はできない。
銀河ネットワークが存在していても、私たちはその通信内容を受信する術がない。
SETIは宇宙からの電波による通信を傍受しようとする試みだが、量子通信をしているだろう宇宙人からのメッセージは受け取れない。
量子インターネットが世界を変えるとしたら、どんな世界になるのだろうか?
おそらく、100年後くらいの未来だ。
その未来を、私が見ることはないのだが……。