「IT教育=タブレット購入」ではない

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「IT教育=タブレット購入」ではない

どうも日本のIT化やIT教育は、遅れているだけでなくやり方がズレているというか勘違いしているように思う。

なぜ、IT教育だからとタブレット購入になるのか、その理由はよくわからない。

タブレット自費購入「怒りしかない」 公立高校でなぜ保護者負担?|文化・ライフ|地域のニュース|京都新聞

京都府立高で2022年度の入学生から6万~7万円程度するタブレット端末の自費購入が決まったことに「怒りしか感じない。新型コロナウイルスによる不況下でどこにそんなお金があるというのか」との意見が府内の保護者から京都新聞社の双方向報道「読者に応える」に寄せられた。高校でのコンピューター端末の1人1台整備は全国で進むが、自治体によって公費を使うか保護者負担にするか対応が分かれている。府立高が保護者負担になった背景や費用の内訳などを探った。

(中略)

そもそも端末費は「6万~7万円程度」と説明されるが、どういった内訳なのか。府教委は21年度から府立高5校で端末購入を先行実施しており、新入生に配布された案内には次のように記載されている。

(1)基本セットiPad 第8世代 Wi-Fi32GB 10・2インチ 3万4760円(2)キーボード付きケース9790円(3)アプリなどの設定費用8470円(4)故障補償(年額)4400円(5)端末管理(同)1980円(6)タッチペン8690円。これを全て合計すると6万8090円になる。

国は20年度補正予算で、高校で低所得世帯に貸し出す端末の調達費を計上し、1台当たり4万5千円を上限とした。府の場合は本体が3万円台だが、学習に必須とされるキーボードや学校で使うためのセキュリティー設定費などが費用を押し上げていた。

自宅で所有する端末の持ち込みも可能だが、ハードルは高い。先行実施校では、基本ソフト(OS)がiOS▽画面サイズが10インチ以上▽校内Wi-Fiは使えず、自費でネット接続する▽授業で活用するアプリは自分でインストールする-などを承諾した場合に認めるとした。

購入費用を自己負担にするかどうかは別問題として、なぜタブレットなのか?
しかも、iPad限定なのか?
その理由が不明だ。

Androidタブレットの方が半分くらいの価格だし、画面サイズが10インチではなく8インチであれば、1万円以下で買える。
OSが違うと使い方が違い、アプリも違ってくるからだろうけど、どちらでも対応できるアプリを使えばいいだけの話。

タブレットを使えることがIT教育じゃないよ。
そもそも世の中はiPadが必須アイテムにはなっていない。
日本は、iPhoneとiPadが異常に優勢だが、これは世界的に見てかなり特殊。
タブレットの世界シェアでは……

……と、iOSが過半数ではあるが、Android勢と二分しているといってもいいだろう。
学校によってはAndroidまたはSurfaceタブレットを推奨しているところもあり、iPadでなければいけない理由がますます不明だ。

IT教育の遅れにあわてた文科省が、「だったらタブレットを導入すればいい」と号令をかけたからなのだろう。
いやいや、タブレットを使えてもIT教育にはならんよ。
スマホを9割以上の人が持っているからって、IT理解度が飛躍的に向上しているかね?
スマホもタブレットも、大きさが違うだけで、できることはほぼ同じ。
スマホユーザーで向上したのは、指使いが早くなったことと、SNSで炎上するスキルが上がったことくらい。彼らにとって、スマホはただの便利な板であって、ITスキルを磨くためのものではないのだよ。タブレットだって同じこと。

タブレットという形だけあればいいのなら、板をタブレットに見立てて画面を描けばいいよ(^o^)
板iPadだ。(冒頭の図)
これなら2000円くらいで済む。
格安だし、電気代もかからないし、木製でエコだ。
タブレットの使い方を、板iPadでシミュレーションすればいいんだ。
想像力が養えるよ。
予防効果のないウレタンマスクでも、付けていればOKなんだから、板iPadでも形だけあればいいじゃないか(^_^)。

タブレットがなくても、本を読めばITの勉強はできるわけで、むしろそっちの方が本当のIT教育だと思う。
タブレットを使うのがIT教育ではなく、ITとはなにかを学ぶことがIT教育だ。それは紙の教科書でも可能。

それもこれもパソコンが広く家庭に浸透しなかったことが原因だ。
1980年代からの話。
PC-98の頃から、多くの人がパソコンに馴染んで、一家に一台ではなく一人に一台のパソコンを持つのが当たり前になっていれば、今の子供達も小さい頃からパソコンに馴染んでいたはず。
そうならなかったのは、教育現場がパソコンを積極的に導入しなかったからだ。
先生からしてIT音痴では、子供に教えられない。
なんとも情けない国になってしまったものだ。

タブレットの話に戻すと。
引用の中に必要なもののリストが出ているが、

  • タブレットはキーボードがなくても使えるのだから、物理キーボードはいらない。
  • アプリなどの設定を自分でやるのが勉強。
  • タッチペンはなくてもいい。

と、これはいらないから、2万6950円は削れる。
費用設定がボッタクリ過ぎ。

社会に出て、タブレットを仕事に使う業種というのは限られている。PCとして使われるのは、多くはWindows機だ。私の仕事であるグラフィックデザイン業界はMacが標準。
タブレットが使えるからといって、PCやMacが使いこなせるわけではない。それはそれで新たに習得する必要がある。

タブレットありきのIT教育は、ほんとうに役に立つのか?
今一度、考える必要がありそう。

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