12光年先に地球型惑星

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Alpha Centauri B

Alpha Centauri B

 太陽系外の惑星は、観測技術の進歩で次々と発見されているが、注目は生物が生息できるような地球型の惑星だ。
 木星サイズの巨大惑星は比較的発見しやすいが、地球サイズの小さな惑星は発見が難しい。サイズが小さくても発見される可能性が高いのは、地球から近い距離にある恒星系になる。
 そんな地球型惑星が12光年先に見つかったというニュースを2本。
 ニュースのソースは同じだと思われるが、記事によって書かれていることが微妙に違うので、両方をつきあわせるとより詳しいことがわかる。

生物生息できる系外惑星発見か、12光年の近さ 国際ニュース : AFPBB News

 同大学のプレスリリースによると、地球に比較的近い約12光年の距離にあるくじら座タウ星の周辺には、生命を育むのに最適の空間があり、くじら座タウ星を周回する5つの惑星があった。そして、この空間で発見された中では最小の惑星の質量が、地球の5倍であることが確認されたという。

 チームが目指していたのは、地球の質量に近いというだけでなく、気温が高すぎず、低すぎず、そして生命に不可欠な水を保持するのに適した、いわゆる「ゴルディロックス・ゾーン(生命居住可能領域)」に存在する岩石惑星を見つけることだった。

朝日新聞デジタル:「第2の地球」発見? 12光年先、大気存在する可能性 – 科学

 【田中誠士】英米豪などの研究チームが19日、地球から約12光年先に「第2の地球」の可能性がある惑星を発見したと発表した。太陽系外で生命が存在する可能性がある惑星としては、これまで発見された中で最も地球に近い。

 研究チームは、肉眼でも見える秋の星座「くじら座」のタウ星に、地球の重さの2~6倍の五つの惑星があることを発見。その一つが、生命の存在に欠かせない水が液体として存在できる「ハビタブルゾーン」という領域にあることを確認した。地球の5倍ほどの重さで大気が存在する可能性があるという。タウ星との距離は太陽と金星ほどで公転周期は約168日。

 2つの記事で「生命居住可能領域」のことを、「ゴルディロックス・ゾーン」と「ハビタブルゾーン」と書いているが、一般的には「ハビタブルゾーン」という呼び方を使う。
 ちなみに、「ゴルディロックス・ゾーン」というのは……
ゴルディロックスゾーン【Goldilocks zone】の意味 – 国語辞書 – goo辞書

宇宙における、生命の進化に適した領域。前提として生命の存在に適したハビタブルゾーン内にあり、さらに生命の進化を可能とする環境が数億年から十数億年にわたって維持されることが必要となる。名称は英国の童話「ゴルディロックスと3匹の熊」に登場する主人公の少女の名に由来する。

 ……ということで、ハビタブルゾーンは液体の水が存在可能な領域であり、ゴルディロックス・ゾーンはハビタブルゾーンの中の、生命にとって快適なゾーンということになり、より狭い範囲を意味する。
 今回の発見では、液体の水が存在可能な領域に惑星が発見されたということで、ハビタブルゾーンと呼ぶのが適切だろう。意味として近似の言葉ではあるが、厳密には違いがあるのでどちらを使うかで意味合いが異なってくる。

 ともあれ、12光年というのは、宇宙的なスケールでは「お隣」である。
 お隣ではあっても、探査機を飛ばしたりはできない距離だ。光速でも片道12年、現在可能なロケットのスピード(マッハ25くらい)では約48万年かかってしまう。スタートレックのようにワープスピードができなければ、到達は不可能な遠さだ。

 もし生命が存在しているとしても、知的生命体は難しいような気がする。
 質量が地球の約5倍ということは、重力も5倍の5Gだと予想される。
 地球で体重50kgの人が、この「くじら座タウのセカンドアース」に降り立つと、250kgになる。とてもじゃないが立っていられない。生命が進化したとしても、地面を這うような生態だろう。
 5Gになると、地上から宇宙に飛び立つのにも、5倍のスピードが必要になる。仮に知的生命体がいたとしても、宇宙に進出するのは容易じゃない。

 地球サイズというのは、いろんな意味で理想的な大きさなんだ。
 大気をとどめておけるだけの重力であり、生命が適度な大きさの体を持てて、ロケットで飛び立つことも可能だ。
 火星は地球よりも小さく、大気を地表にとどめておけなくて宇宙に逃げてしまって希薄な大気になった。
 金星は地球と近い大きさだが、太陽に近すぎて生命にとって快適な環境にはならなかった。

 非日常的な宇宙の話題は、実生活にはあまり意味はないが、想像の翼を広げるのは心地よい。
 東京の空は見える星が少ないが、あの星の中に生命のある惑星、さらには知的生命体がいることはほぼ確実だ。
 互いの存在を知らないだけなのだ。

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