【レビュー】『マーズ 火星移住計画』


遅ればせながら、ナショジオのテレビシリーズ『マーズ 火星移住計画』の全6話を一気に見た。
公開は2016年なので2年前。
実際のドキュメンタリーと未来の架空のドキュメンタリーという、半ノンフィクション的な作品。

マーズ 火星移住計画

前々から気になっていた作品だったが、Netflixに加入してようやく見られた。

作品は2016年現在のドキュメンタリーと、2033〜37年に渡る未来のドキュメンタリー風ドラマが交錯する。

2016年の時代は、火星移住を目標に掲げているイーロン・マスク氏が中心となっている。
マスク氏の夢というか野望には共感するのだが、かなり楽観的であり無謀でもある。人類初の月面着陸をリアルタイムで見ていた世代としては、火星初の人類到達に立ち会いたいという願望はある。
それが2030年だったら、私も見られるかもしれないが、2050年では無理。現状の宇宙技術や世界情勢から予想すると、早くても後者の2050年ではないかと想像する。

また、2016年パートで登場した、火星探査計画の「エクソマーズ」は、2016年に最初のロケットが打ち上げられたが、火星を周回するオービターは機能しているものの、着陸機は着陸に失敗した。
後続の2回目の打ち上げは延期され、2020年の予定になっている。計画はロシアとESA(欧州宇宙機関)で行われるが、探査機の着陸を担うのはロシアであり、これまでロシアの火星着陸は失敗続きで、1度の着陸成功はあるものの、探査機との通信はすぐに途絶えた。

マスク氏の本業(?)の会社であるテスラ社は、最近、雲行きが怪しくなっているし、宇宙産業としてのスペースX社は、マスク氏の情熱に支えられている感じ。火星への野望も、マスク氏がいなくなれば推進力を失うような気がする。
アポロ計画がそうであったように、宇宙開発は紆余曲折で右肩上がりには進まない。

未来編のドラマでは、2033年が火星への人類到達の年になっている。
その過程は、現在考えられているシチュエーションに沿った流れで、とても現実的。リアルさはあるものの、この方法で本当に可能だろうか?……という疑問がないわけではない。

たとえば、火星までの宇宙船の航行で、7カ月の旅に耐えられるか?
閉鎖空間での人間の長期耐性については、実験も行われていて、ある程度は可能だろうと思われる。
しかし、問題は宇宙空間での放射線の被爆の方だ。致死レベルに至るような被爆をすれば、火星に着く頃には瀕死の状態になってしまう。
放射線をいかに防ぐか。船体を鉛の壁で包むわけにはいかないのだから、放射線を遮蔽する方法を考える必要がある。その解決方法がまだ見つかっていない。

ドラマとしては、リアリティがあり緊張感もあって、一気に6話を見てしまったくらい濃い内容だった。
このドラマのように、人類が火星へ行けたらいいな……と思った。
火星に降り立った人は、そこにどんな光景を見て、どんなことを思うのだろうか?
その瞬間に立ち会いたい。……といっても、火星→地球間の通信には10分あまりのタイムラグがあるが。
それはロマンというより夢。かないそうにない夢だ。
いつかそういう日は来るとは思うが、私が生きているうちには無理だろう。

火星への夢。
その夢をリアルに見せてくれる作品である。

なお、第2シーズンの制作は発表されていたが、公開がいつになるのかは不明。

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