地球温暖化の行く末が「金星」なのではない

LINEで送る
Pocket

地球温暖化の問題を論じるとき、その未来の姿として「金星」を例に出すことがある。
いわく、温暖化が進むと金星のような灼熱の星になってしまう……などと。
だが、これは脅し文句のウソでしかない。
地球と金星では、惑星としての前提条件がまったく違うのだ。

それは未来の可能性。地球温暖化の行く末を占う灼熱の双子「金星」の姿 | sorae:宇宙へのポータルサイト

極めて過酷な環境を持つ金星ですが、初めからこのような姿ではなかったようです。かつては金星にも地球と同じように水をたたえる海が存在していたものの、その歴史のどこかの時点で金星の大気が大量の熱を閉じ込めるようになり、過剰な水の蒸発が促され始めました。水蒸気もまた温室効果ガスの一種であるため、増えた水蒸気によって温室効果の暴走が強まり、さらに多くの熱が閉じ込められるようになって、もっと多くの水が蒸発。こうして金星からすべての海が失われ、灼熱の環境だけが残された……というのが、現在考えられている金星温暖化のシナリオです。

いま地球では、人類の文明活動による温暖化が進行しています。地球とはまったく無関係に思える金星の過酷な環境も、温室効果が進行した結果もたらされる未来の地球の姿を予想する上で、自然が用意してくれた貴重な実験室のようなものです。

ご存じの通り、金星は地球よりも内側の軌道で、太陽を回っている。地球よりも太陽に近いということだ。したがって、太陽から受けるエネルギーも多い。平たくいえば、金星は太陽に近すぎたのだ。

もし、金星が地球と同じ公転軌道を回っていて、それでもなお温暖化暴走が起きている惑星だとしたら、地球の金星化というシナリオはありえる。
余談だが、昔のSF映画に、地球と太陽をはさんで正反対の軌道上に、もうひとつの地球が……という作品があった。(「決死圏SOS宇宙船」1969年、イギリス)

地球と似た生物が存在できる惑星の軌道の領域を、ハビタブルゾーンという。
ハビタブルゾーンは、水が固体、液体、気体の3つの状態で存在できる領域でもあるが、太陽系においては、金星はハビタブルゾーンから外れている。

ハビタブルゾーン
ハビタブルゾーン

説によっては、外側にもう少し広げて、火星を含める場合もあるが、現状では火星に生命は見つかっていない。もし、火星で生命が見つかれば、修正されるかもしれない。

つまり、金星はその成り立ちから、生命を宿すには適さない惑星であり、過去に海があったにしても、いずれ干上がることは必然だったともいえる。
その金星を、地球の未来の姿とするのはインチキとはいわないまでも、説得力が乏しい(^_^)。

火星が干上がってしまったのは、大きさが小さかったためだ。重力が地球の3分の1なので、大気を惑星にとどめておくことができず、宇宙に逃げてしまった。
もし、火星と金星が入れ替わっていれば、地球サイズの火星には、大気が残っていただろうし、海は凍りついているにしても氷原として残っていた可能性は高い。

太陽系が絶妙なのは、地球は最適の位置とサイズで、衛星として月もあった。
金星はサイズは十分だったが、太陽に近すぎた。
火星はハビタブルゾーンのギリギリの位置にあったが、サイズが小さすぎた。

生命にとって、大きめの衛星である月の存在も重要だった。
隕石は地球にも落ちてくるが、月が盾にもなっている。
また、月の引力による潮汐力で、地球の自転が適度な時間になった。月の公転周期(約28日)が、生物のリズムにもなっているのは周知の通り。

温暖化問題は、ややヒステリックに騒ぎすぎな傾向がある。
胡散臭さを感じるのは、その本質の背後に「利権」の臭いがするからだ。危機感をあおることで、政治的、経済的な覇権や利権を取り合っているようにも見える。温暖化問題を巡って、巨額のマネーが動いているのも事実。経済成長を維持しつつ、温暖化問題を解決する……なんていうのは、二律背反だろう。

温暖化問題や環境汚染問題で、ほとんど問題にされない、あるいは目をつぶっていることがある。
それは人口問題だ。
すべては増えすぎた人口が原因だ。
世界人口が現在の10分の1であれば、エネルギー消費量も10分の1であり、石炭・石油を燃やそうが、自動車をがんがん走らせようが、たいした問題にはならない。

日本の人口が1000万人なのを想像してみてほしい。
江戸幕府成立の1603年で、1,227万人だった。
そのくらいの人口であれば、温暖化問題などは起きない。

つまり、温暖化対策のもっとも有効な手段は、人口削減ということだ。
少子化の日本、人口減少に転じた日本は、温暖化対策に貢献しているともいえる。人口減少をネガティブにとらえるのではなく、人口を減らすことで温暖化対策になっているとポジティブにとらえてもいいのだ。

前にも書いたように思うが、二酸化炭素濃度が現在の10倍になっても、心配することはない。
適応できずに絶滅する種があるのは否めないが、あらたに繁栄する種も出てくる。
それが地球の生命の歴史だ。

白亜紀、温暖な気候、恐竜が巨大化  :日本経済新聞

恐竜がのし歩いていた約1億4500万年前から6500万年前の白亜紀は、生物の誕生以降、最も温暖な気候だったとされる。二酸化炭素(CO2)濃度は現在の4~10倍も高く、植物が繁茂した。そのおかげで植物を食べる草食恐竜が増え、草食恐竜をえさとする肉食恐竜も増えた。

変温動物である恐竜が、長きにわたって地球に君臨できたのは、地球が温暖だったからだ。その時代は温暖化しているのが地球の「普通」だったのだ。現在の地球は、寒冷化した結果だ。
人為的かどうかはともかく、温暖化するというのは昔の状態に戻ることでもある。
20世紀初頭が、地球の「普通」ではない。

人間がいてもいなくても、地球は温暖化と寒冷化(氷河期)を繰り返している。
ハビタブルゾーンとは、それが可能な領域なのだ。

人間にとって過ごしやすい環境を保つという意味では、温暖化対策もある程度は意味がある。気候は安定している方がいいからだ。
だが、それは人間にとって都合がいいからにすぎない。ようするに、人間のエゴであり欲だ。

氷河期は約10万年単位のサイクルで訪れるが、いずれ寒冷化はすると考えられる。
本来のサイクルであれば、そろそろ氷期に突入する時期なのだが、現在の二酸化炭素排出量が、間氷期を長引かせていて、氷河期の到来を先延ばしにしているとの説もある。

温暖化がいいか氷河期がいいか?……という話でもある。

地球に生命が誕生してからの36億年の時間尺度で見れば、人類が地球の支配者でいられる時間は、ほんのわずか。恐竜には到底及ばない。
人間は10年、20年というスケールで物事を考える傾向にある。自分の生きている時間の中でしか実感がないからだ。
100万年〜1000万年のスケールで地球を見た場合、21世紀の温暖化問題は取るに足りないわずかな変化にすぎないだろう。

1000万年後、地球の支配者は人類ではないかもしれないよ(^_^)。

(Visited 199 times, 1 visits today)