宇宙の余命は1400億年以上?

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宇宙は、あと1400億年は存続するようだ。
宇宙誕生から138億年だから、100歳まで生きる人間にたとえると、現在は10歳児くらいということになる。まだまだ子供の宇宙なんだね。

宇宙の余命は1400億年以上 暗黒物質の分析で東大など将来予測 数百億年説を否定:イザ!

宇宙の物質の大半を占める正体不明の「暗黒物質」の分布を調べ、宇宙が今後1400億年以上は存在し続けることが分かったと、東京大や国立天文台などの研究チームが26日、発表した。従来は数百億年で最期を迎えるとの説もあったが否定された形だ。

(中略)

このデータとダークエネルギーの推定量などをもとに、世界最高レベルの精度で宇宙の将来像を予測。その結果、今後少なくとも1400億年は最期を迎えないことが95%の確率で分かった。この時点でも星雲や恒星などは存在し、宇宙は加速膨張を続けているという。

一方、今回判明した暗黒物質の分布状況は、アインシュタインの一般相対性理論などで構築された宇宙論の「標準模型」と一致しなかった。素粒子「ニュートリノ」の質量やダークエネルギーの性質を解明すれば説明できるかもしれないが、標準模型の訂正が求められる可能性もある。

人類の文明は楽観的に考えても、せいぜい数万年くらいしか続かないだろうから、1400億年後の世界を見る子孫はいない。

1400億年後でも銀河や恒星があるとすれば、その時期に文明を獲得する生命もあるだろう。太陽系で人類が現在のレベルまで進化するのに要した時間は、たったの46億年だ。
宇宙の末期に目覚めた文明種族は、宇宙の余命が少ないことがわかったとき、どうするのだろうか?

別の宇宙への移民か?
あらたな宇宙の創造か?
それとも、宇宙とともに死を迎えるか?
いずれのケースでも、SFとして題材にされた。

人生100年時代などといわれるが、平均余命が100歳になったわけではないので、大部分の人は100歳まで生きない。
平均余命は、男性は80.98 年、女性は87.14 年(2016年調査)。
つまり、約半数は平均余命年齢まで生きられない。

たかだか80年の寿命では、億年単位の時間は想像を絶する時間だ。
人類の子孫が存在していなくても、私たちの体を構成する元素は宇宙の中で循環している。星々は生成と爆発あるいは燃え尽きをくりかえし、あらたな星の材料となる。その材料から私たちも生まれた。
138億年の時間をかけて。

私たちはいずれ死ぬ。
火葬され、煙と灰となり、地球環境の中に戻る。
数十億年が経過すると、太陽が燃え尽き、地球は宇宙の塵となる。
塵は宇宙を漂い、あるところで、ある瞬間に凝縮をはじめ、あらたな星へと生まれ変わる。
かつて、私たちの体の一部だった、酸素、炭素、鉄などの元素は、星の材料となり、その恒星系の惑星に生命が生まれるための材料にもなる。

そうやって循環していき、1400億年後。
途方もなく膨張した宇宙は、銀河と銀河の距離が遠くなり、隣の銀河ははるかな遠方にある。
銀河内の星の生成も少なくなっているだろうから、夜空に見える星もまばらになる。
暗く、寂しい宇宙だ。

夜空を見上げる「彼」は、はるかな昔に想いを馳せる。
1400億年前、宇宙は星々と銀河で満ちあふれていた世界。
それはどんなに美しいだろうかと。
彼のいる世界では、宇宙は老いて、消えゆく運命。
線香花火が燃え尽きるように、宇宙はある日、突然、消滅する。
それは1億年後か、100億年後かはわからないが、宇宙にとっては大差ない時間。

SF短歌をひとつ。

静寂とエネルギーの死 ゆるやかに蒸発しゆく最後の原子

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