日本だけ「コロナ感染のグラフがおかしい」理由は…

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データを元にした興味深い考察の記事。
「コロナ感染のグラフがおかしい」理由をいくつか挙げているのだが、肝心な理由が抜けていると思うよ。

世界中で日本だけ「コロナ感染のグラフがおかしい」という不気味 絶対的な死者数は少ないのだが… | PRESIDENT Online(プレジデントオンライン)

新型コロナウイルスによる日本の死者数は欧米に比べて少ない。だが感染者数と死亡者数を「対数グラフ」で分析すると、日本だけが異常な推移をたどっている。統計データ分析家の本川裕氏は、「他国のように収束へ向かう横ばい化への転換が認められず、増加ペースが落ちていない。そこには3つの理由が考えられる」という——。

(中略)

こう理解した上で各国の軌跡を追うと、欧米諸国(米国、スペイン、イタリア、ドイツ、フランスなど)では感染拡大と収束へ向かう右方向に折れ曲がる動きが相互に非常に似ており、参照線に近い形で推移していることが分かる。

(中略)

一方、これらの海外諸国の推移と全く違うパターンで進んでいるのが日本である。

日本の感染拡大のペースは、これまでのところ、他国のように当初急速に拡大(いわゆるオーバーシュート)、そして一定の日数を経て、伸びが急速に落ちるといったパターンでなく、一貫して、「9日間に2倍ぐらいのテンポ」(図表1のグレーの点線)で増加している。他国のドラスチックな変化とは明確に異なっているのである。

(中略)

①感染拡大抑止対策の違い

②もともとの体質や生活習慣の差

③ウイルスの変異

……ということで、日本だけ感染拡大の推移が違うことの理由を推察している。

挙げられた3つの理由も一理あるとは思うのだが、グラフ化したときの違いというのは別の要因だろうと思う。

それは検査数の上限、検査数のキャパの問題だ。

他国に比べて、日本はPCR検査数が著しく少ない。意図的に絞ったともいわれているが、そもそも検査能力としての人的・物的能力が乏しかったため、1日に処理できる数に限度があった。
仮に、その上限が1日あたり1000件だとすると、公表される感染者数は1000人を超えることはない。実際には5000人、1万人いたとしても、検査できるのは1000人までなので、すべてが陽性であっても1000人としか発表できない。
(注・追記)この例は、ある一時期の上限の話。その後、検査数の増加が求められ、ある程度は増えている。が、それでも上限はついてまわっている。

潜在的感染者はおそらく数万〜数十万人いたと思われるが、検査に引っかかるのは検査能力のキャパの範囲内でしかない。
その状態が当初から続いているため、極端に増えもしないし減りもしない。土日には検査機関が休業のため、減ったように見えるという展開にもなった。
結果的に他国のようなカーブを描くことなく、直線的なグラフになる。それは感染者数の実態ではなく、検査できた数の推移ということだ。

そして、今に至るまで、感染がどれほど広がったのか、全体像としての実態がつかめないままになっている。
抗体検査が一部で始まっているとのことだが、もっと大々的に、特に東京は本格的に抗体検査をした方がいい。

その抗体検査で、どのくらいの割合で感染し抗体ができているか?
COVID-19の致死率は0.6%以下か?
上記の記事で触れたように、感染率は6%〜14%、あるいはそれ以上の感染率なのではと推測される。それによって、致死率が導き出される。

その実態を把握することで、新型コロナの脅威度が変わってくる。
新型コロナで亡くなられた人がいるのは事実だが、致死率が0.1%前後くらいだと、脅威度はそれほど高くないといえる。
インフルエンザ(感染した場合の致死率0.1%)でも交通事故(交通事故に遭った場合の死亡比率0.5%)でも死ぬ人はいる。
そういうリスクがあるからと、大きな問題になることはなかった。というより、問題にしなかった。

毎年のインフルエンザの流行で緊急事態宣言を出すのか?
交通事故死(年間4000〜5000人)が多いからと、車に乗るのを自粛要請するのか?
しないよね。
それらのリスクは、すでに日常として折り込み済みになっている。インフルや交通事故で死ぬのは、運が悪かったと。

COVID-19に対するワクチンや薬がないことで、不安感や恐怖感をあおられているのだが、ワクチンも薬もあるインフルエンザでも死ぬ人はいる。ワクチンや薬があれば、誰も死なないわけではない。そこを勘違いしているように思う。

感染の封じ込めに成功したと評価されるのは、台湾やニュージーランド。
日本は後手、後手といわれながらも、死者数に関しては少ない。死者数は、あまり誤魔化しようがないのでほぼ正しい数字だろう。もし、死者数を隠蔽していたら、とんでもないスキャンダルだ。

COVID-19の終息に数年かかるとしたら、台湾やニュージーランドはそれまでたいへんなことになる。なぜなら、感染者数が少なかったということは、集団免疫ができていないということでもあり、COVID-19に対する免疫力が弱い。有効なワクチンができるまで、外から入ってくる感染者に警戒し続ける必要が生じる。

日本の感染率の実態がどうなのかにもよるが、COVID-19を日常として受け入れるためには、集団免疫として60〜70%の人が抗体を持つ必要がありそう。つまりは、感染を避けるのではなく、さっさと感染して抗体を作った方がいいということだ。

日常を取り戻すには、COVID-19をインフルエンザと同じように、仕方のないリスクとして受け入れるしかない。

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