「プリウス」は欠陥車なのか?

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交通事故は毎日起きている。
昨年の交通事故による死亡者数は、統計を取り始めて最少になったというが、それでも3,532人が亡くなっている。30年前は、1万人を超えていたのに比べれば少なくなった。
とはいえ、365日で割ると、1日あたり約9〜10人が命を落としていることになる。

平成30年中の交通事故死者数について|警察庁WEBサイト

平成30年中の交通事故による死者数は、3,532人(前年比-162人、-4.4%)で、警察庁が保有する昭和23年以降の統計で最小となりました。

池袋で起きた暴走プリウスによる事故は、悲惨さで注目を集めているが、数字の上では年間3500〜4000人の死亡者のうちの2人だ。
バスの暴走事故も発生したが、このような交通事故で亡くなる人は、ニュースにならない3000人以上の人がいる。

池袋の事故だけが悲惨なのではなく、昨年に限っていえば、3,532人の全員が悲惨な事故だったんだ。
そのことを私たちは忘れている、あるいは知らないでいる。

池袋の暴走事故は、いくつかの特徴的な要素から注目を集めているようだ。

  1. 車種がプリウスであること
  2. 運転者が高齢者であること
  3. 運転者が元官僚のエリートであったこと
  4. 現行犯逮捕されなかったこと

このうち、プリウスのバッシングが起きていることについての記事が以下。

なぜ「プリウス」はボコボコに叩かれるのか 「暴走老人」のアイコンになる日 / ITmedia ビジネスオンライン

 間違いは誰にでもあるが、こんなことで何の罪もない人々の命が奪われるなど、あまりに理不尽すぎる。行政、警察、メーカーはぜひ手を取り合って、二度とこのような悲劇が起きないような対策を講じていただきたい。

そのように強く願う一方で、企業リスクを扱う人間としては、事故そのものだけではなく、そこから派生したある現象にも注目している。

それは「プリウスバッシング」だ。

(中略)

要するに、「暴走=踏み間違い」ということになっているが、実はその中には車両の不具合も含まれているのではないかというのだ。確かに、国土交通省の「自動車のリコール・不具合情報」で「プリウス」「ブレーキ装置」で検索をすると、「ブレーキが効かなくなった」などの申告が298件もあり、競合車と比べると多いのだ。

ただ、不具合の「申告」がかなり多いからといって即座にプリウスに問題アリという話にはならない。プリウスの数がかなり多いからだ。

(中略)

高齢男性ドライバーのなんと約8割が運転に「自信あり」と回答し、しかもこの傾向は年齢が高くなればなるほど増えていくというのだ。年齢を重なれば謙虚になるのではなく、「オレはまだまだイケるぞ」とイキってハンドルを離そうとしない。典型的な「傲慢な高齢者」ではないか。

そのような「傲慢(ごうまん)な高齢者」が操るプリウスがちまたに溢れれば当然、アクセルとブレーキを踏み間違える「暴走プリウス」も増えていくということだ。

(中略)

加齢で認知力や判断力が衰えているにもかかわらず、自信満々で周囲の意見に耳を貸さない。そんな「傲慢な高齢者」がプリウスを操っているのでは、と思わせるような情報もSNS上には溢れている。

それが「#今日のプリウス」だ。

(中略)

個人的には、そのような技術革新を進めながらも、17年の記事『アクセルと踏み間違えない「左ブレーキ」が、普及しない理由』の中で詳しく紹介した「左足ブレーキ」を1日も早く導入すべきだと思っている。

(中略)

極めて合理的な解決方法だったが、「マニュアル車の運転との整合性」という、いかにも役所らしい理由で却下されてきた。

「左足ブレーキ」と聞くたびに、役人や専門家は「現実的ではない」「先端技術で暴走を未然に防ぐのが現実的」と渋い顔をして言うが、これだけ技術が進んでも、「踏み間違い」というヒューマンエラーで膨大な数の人間が殺されている「現実」についてはどう考えているのか。

#今日のプリウス」はなかなか興味深い。
よくもまぁ、こんなに問題事例が集まるものだと思う。それだけ大衆車になっている証でもある。

私は車の免許を持っていないので、車種による操作性の違いなどについては疎い(^_^)b
東京では車は必要性が乏しいし、維持費もかかる。
私が田舎にいた頃は、足としてバイクに乗っていた。田舎では公共交通機関が貧弱なので、足としての車やバイクは必須だ。

だから、高齢者でも移動手段として車は欠かせないものになっている。
うちの実家の親父は80歳を超えているので、運転はしないようにしたという。代わりは同居の私の弟が運転をしている。運転を代わってくれる人がいればいいが、そうでないと日常生活にも支障をきたす。

プリウスの操作性の問題点については、以前から指摘されていたようだ。
上記の記事では、シフトレバーのことを取り上げているが、ペダルの配置も問題があるらしい。
解説しているブログが以下に。

「新型プリウスのペダルレイアウト」ヒタッチーのブログ | いんすぱいあ ざ ネクストな日々 – みんカラ

ついに新型プリウスが発売されましたね。早速ディーラーに見に行ってきましたが、乗り込んでペダルを見た瞬間にガックリしてしまいました。

まずは新型プリウスのペダルレイアウトを見てください。

ブレーキペダルが体の中心線より左に来ています。
右足で踏もうとすると足首をかなり左に捻るか、右足全体を左に向けなければなりません。
これでは左足で踏んだ方が明らかに楽です。

そもそもアクセルペダルの位置が左に寄りすぎです。
ブレーキペダルはもう少し右に設置することも出来ますが、そうするとブレーキペダルを踏んだ時にアクセルペダルまで一緒に踏んでしまう可能性が出てきます。
それを避けるためブレーキペダルがここまで左に追い出された形になったと推測できます。
でもこれが理想のペダルレイアウトと言うことが出来るでしょうか?

プリウスのペダル配置は、以下のようになっている。(プリウスのサイトより)

プリウスの運転席

プリウスの運転席

元画像が暗いので、ペダルが見やすいように明るくした。
車内空間を広くとるために、前輪のタイヤハウスが干渉して、アクセルペダルが内側に寄せられているらしい。
その分、ブレーキペダルも内側に寄っているとのこと。

なるほど、これではブレーキを左足で踏んだ方が楽そう。右足で踏むのは、かなり苦になるだろうね。

なぜ、アクセルは右足、ブレーキは左足としないのか、根本的に疑問だ。
マニュアル車のクラッチがあるのと違って、左にスペースは空いてるわけだからね。
行政指導的な問題らしいが、これは構造的な欠陥ともいえる。

ブレーキを左足で踏むための、改造を請け負う業者もいるとのことで、安全性を高めるのにはいいかもしれない。

バイク乗りからすると、アクセルとブレーキが同じ足というのは、感覚的に納得できない(^_^)。
人の意識は、異なる動作をするときには、左右に振り分けて行うことで負荷を分散する。
たとえるなら、野球で捕球は左手、投げるのは右(サウスポーは逆)というように。右手のグローブで捕球し、投げるのも右だったら、時間がかかるし混乱する。

年齢に関係なく、異なることをほぼ同時に行うことは、人間は苦手だ。
脳の処理速度、脳の指令が手足の末端まで届くのに時間がかかるからだ。しかも、この反応速度は個人差が大きい。
運動神経がいい人は100ミリ秒(どんなに優秀なスポーツ選手でも、これ以上は速くならない)でできても、鈍い人は1秒以上かかる。その差は10倍以上。
これに高齢が加われば、運動能力は落ちているし、認知機能も低下しているから、100倍くらい違っても不思議ではない。

「二度とこういう事故が起きないように……」
このセリフは、呪文のように繰り返される。

しかし現実には、事故原因は様々ではあるが、年間3500人以上の人が、交通事故で亡くなっている。
二度とどころか、3500回以上繰り返されているわけだ。

これほどのリスクがあっても、「自動車禁止」とはならない。
喫煙による年間超過死亡数は12~13万人とされているので、それに比べれば桁違いに少ないからなのだろう。
交通事故リスクは、タバコに比べたら微々たるものだから、禁止するほどではないということか。
リスクより利便性を取る、ということでもある。

池袋の事故現場は、妻の以前の勤務先の目の前だそうだ。事故の起きた時刻がお昼時なので、もしそこに勤めていたら、巻き込まれる可能性があったかもしれない。

明日は我が身だ。
交通事故死・9人/日のひとりになる可能性は、常にある。
誰も、明日、事故に遭って死ぬなんて思っていないのだから。

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