続・温暖化の真偽

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 洞爺湖サミットが閉幕した。
 その成果や意義については、いろいろと評価が分かれているが、歴史的な成果とはならなかったことだけは確かなようである。
 地球環境にやさしくすることには、誰しも賛成するだろう。それは人々が暮らしやすい世界でもあるからだ。排気ガスをもうもうと吐き出す車や、ゴミの山を放置することが良くないことはわかりきったことだ。
 人が住む場所として地球が、汚れていない方がいい。単純にそういうことである。

 問題なのは、人が都市を造り、多くの人々が生活し、資源やエネルギーを消費していくと、排出物(ゴミ)がたくさん出てしまうことだ。その排出物の中に、二酸化炭素を含む様々な物質が含まれている。人間が多くなりすぎた分、排出物の量も膨大になってしまった。
 ゴミが増えてしまうと、人はゴミの中で生活しなくてはいけなくなってしまう。それが単純化した環境問題だともいえる。

 しかし、地球温暖化の問題に関しては、科学的な裏付けが必ずしも明確ではない……という主張もある。地球規模の気候の変動は、不確定要素が多く、予測が可能となるほど詳しく解明されているわけではない、という。そのことは天気予報がいつも100%確実に当たるわけではないことからも、容易に想像できる。
 すでに既成事実化した温暖化論議に、疑問を呈する科学者も少数派ではあるがいるのだ。科学の真理は多数決ではない。少数派であっても、その仮説や理論には耳を貸すべきだし、公平に検証すべきだと思う。
bp special ECOマネジメント/リポート
地球温暖化対策の実像/ロンドンからの報告
「神話」か? 「真実」か?[後編]
元英財務相の痛烈な政権批判

 ローソン卿は2008年春に、『アン・アピール・トウー・リーズン(理性に訴える)』という著作を出版。現在の気候変動の議論を真っ向から批判している。同書の中核は、「地球の気温を決定するメカニズムについての科学は、決着がついている、もしくは理解が得られている、といった状態からほど遠い」「地球温暖化を疑問視すると、神を冒涜するのと同様の批判に曝される」「グリーンは新たなアカ(共産主義)だ」という、過激な議論に満ちている。まさに気候変動という「神話」に対する挑戦である。
(中略)
 気候変動の議論でIPCCが、「地球は温暖化している、救えるのは今しかない」と言っていることに対し、世界を挙げてエネルギーの効率的な利用に努めることは、現代に生きるわれわれの責務であると確かに思う。しかしながら、社会主義体制が結果として崩壊したように、継続困難な進め方は、必ず崩壊する時が訪れる。

 下線は私がつけた。
 昨今の温暖化論議は、政治的、経済的、覇権的な意味合いが強くなっている。欧州が主導的に排出権取引などを進めているのは、温暖化対策という名目で経済的な利権や覇権を取ろうとしているようにしか見えない。
 地球環境が悪くなっていることは事実だ。それは産業革命以降から、ゴミを出し続けてきたことの結果である。
 しかし、温暖化の根拠となっている二酸化炭素主犯説は、疑ってみる価値はある。もし、それが主犯ではなかったら、我々は適切な対策を講じていないことになるからだ。共犯の可能性は高いが、主犯は別にいるかもしれない。
 考古学的なスケールでの過去に、地球が寒冷化と温暖化を繰り返してきたことはわかっている。それは数万年単位での話だが、自然界はフラクタルに形作られている。過去数千年で見ても、中世の頃は寒冷化していたとされ小氷期だったとする説もある。ここ100年で見ても、猛暑の年と冷夏の年があったし、必ずしも一様に温暖化してきたとはいえない。
 たまたま現在は温暖化の傾向が出ているだけかもしれないのだ。来年が冷夏だったら、世の中は大騒ぎになるのだろうか?

 洞爺湖サミットでは、2050年までに二酸化炭素を50%削減、先進国は80%削減などという数値目標が出てきた。具体的に数値目標として、盛り込まれたわけではないが。
 まぁ、はっきりいって、劇的なパラダイムシフトがなければ達成不可能な目標だ。
 サミットに出席した首脳たちは、2050年まで生きてはいない。死んだ後のことまで約束しても、誰も責任を取ることがない。長期目標はアドバルーンにすぎない。達成できなくても、2050年から見て40年前(現在年からは13年前)の政治家がバカだった……といえば済む話。

 パラダイムシフトがあるとすれば、石油を一切使わないエネルギー革命だ。技術的には可能だが、既存の利権を持つ業界が障害になる。単純な話で、ガソリン車やディーゼル車を撤廃すればいいのだ。しかし、そのためにはまさに革命的な変化が求められる。
 世界はそんなに簡単には変わらない……というのが、歴史の教訓でもある。

 温暖化よりも深刻かもしれないのは、海洋の酸性化ではないだろうか。この原因は二酸化炭素が主犯の可能性が高いようだ。海洋に溶ける二酸化炭素が増えて、酸性化が進んでいるという。その酸性化で珊瑚礁が死滅の危機にある。珊瑚礁がなくなってしまうと、海洋の生物の多くが影響を受けて絶滅が進むというシナリオだ。
 考古学的過去に珊瑚が消滅した時代があり、再生するのに100万年単位の時間がかかったそうだ。

 また、二酸化炭素を地中に埋めるという計画もあるようだが、地中をいじくり回すと地震の原因になる……という説もある。大規模な地下資源の掘削や地下水の汲み上げなどで、地中の圧力バランスが崩れると、地震が発生しやすくなるというものだ。
 まだ広く認知されている説ではないが、地震も人災になりうる説だ。
 すべてが丸く収まる方法というのは、難しいのかもしれないね。

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