緊急事態宣言が延長されたが、効果が望めないことはこの1年で学習したはずだ。
バカのひとつ覚えのように、対策といえば緊急事態宣言だけ。
政府と行政は、国民にお願いすればなんとかなると思っているようだ。
知事会「旅行、帰省原則中止を」の提言にSNS猛反発 五輪絡め「国境またぐ運動会は原則中止を」― スポニチ Sponichi Annex 芸能
全国知事会が夏休み中の都道府県境をまたいだ旅行や帰省を原則中止するよう求めるメッセージ案を示したことについて、ツイッターでは1日、反発のツイートが相次いだ。
(中略)
国民には行動制限を呼びかける中、東京五輪は無観客ながら開催中。日本勢の連日の活躍で盛り上がりを見せているものの、その熱狂ぶりと行動制限は“別腹”という考えが多くを占めている様子だ。ツイッターには「国境をまたぐ運動会は原則中止を」と、世界中から選手が集まる五輪を揶揄する声も。
国民の反対を押し切ってオリンピックを強行している一方で、「旅行、帰省原則中止を」などと矛盾する要請をするとか、知事たちはアホなのか?
「国境をまたぐ運動会は原則中止を」と、これは痛烈な皮肉。
別記事には、次のようなものもあった。
「帰省原則中止」にネット民激怒!「国民をバカにするな」「何の為に高齢者のワクチン接種を一生懸命…」 : スポーツ報知
2日午前までに「帰省原則中止」がトレンド入り。「気持ちはわかるんです。でも言うなら夏休みに入る前に言うべき」「国境を跨いだ運動会はOKで県境跨ぐ墓参りはダメって事?」「何の為に高齢者のワクチン接種を一生懸命やったのか」「まずは、政府のミスを認めろ。国民に謝罪しろ」「政治家は国民をバカにするな」「今更遅いよ、旅行予約しちゃったし 大人はまだ我慢できるかも知れないけど子供には思い出を沢山作ってあげたい」などの声があがっている。
「何の為に高齢者のワクチン接種を一生懸命やったのか」と、これは良い指摘。
高齢者のワクチン接種は、ほぼ行き渡っているのだから、帰省しても問題はないはずだよね。まったく感染しないわけではないが、重症化はしにくい。そのためのワクチンなのだから。
なんのために高齢者を優先したのかって話。
帰省を予定しいる人は、車で帰れる距離の場合を除けば、新幹線や飛行機になる。チケットの予約は早いほうが割安なので、2〜3か月前に取る。
帰省を中止させたいのなら、遅くても6月の時点でアナウンスすべきだった。直前になって中止しろとか、無茶ぶりだ。
一連の対応や発言を見ていると、「ゼロリスクでなければいけない」という盲信にとらわれているように思える。
1人でも感染者が増えたら大変だ、知事の責任だといわれることを恐れているのかもしれない。
そんなことは不可能なわけで、人流や物流を完全に封鎖しない限り、ゼロにはならない。
ゼロリスクを追及するなら、県境を越える鉄道も道路も空路も海路も、すべて封鎖するしかない。人の出入りを完全に封鎖しないと、ゼロリスクは実現できない。
県境の完全封鎖をやれますか?……という話。
関連して次の記事。
感染拡大で「都の若者」が悪者扱いに怒り「若者のワクチンを後回し…」「高校生だけどずっと家にいます」 : スポーツ報知
「都の若者 感染に『恐怖感ない』」という見出しも躍った。最近1週間の新規感染者で、30歳代以下が約7割を占めることに関連している。
ネット上では反発の声が広がっている。「そんなに若者のせいで感染が広まってると思うなら、若者のワクチンを後回しにしなければ良かったじゃないか。遊びだけでなく、仕事での外出せざるを得ないとか、接客に従事してる若者も多いよ」「そもそもこの若者全員遊び歩いてる人なの?仕事、バイト、大学の人達もいる訳でしょ」「若者が悪いていう印象操作にしかならねぇじゃん」「高校生だけどずっと家にいます。どうせ学校始まったら遊びまくってた不特定多数の人達と接触するから意味ないんだろうけど。自分だけが気をつけたってね。去年からずーっと楽しみにしてた映画も公開1ヶ月後の人が全くいない時間に行くし、頑張ってるのに都の若者でくくるよね」「そりゃこの時期に街頭インタビューに積極的に答えに行くパリピならそう答えるだろうねえ。それを都の若者代表と言っちゃうのすげえな」など、若者世代から疑問の声があがっていた。
私はもはや若者ではないが、若い世代の反発意見を支持する。
これは昔からある「最近の若者は……」という若者バッシングだよ。
若者差別といってもいい。
遊び回っている若者もいるだろうが、それは全体から見ればごく一部。数人の遊び回っている若者をつかまえて、若者全部がそうだと決めつけるのは、差別以外のなにものでもない。
高齢者の感染割合が減ったのはワクチンの効果だろうし、若者が遊び回ってるから感染者が増えたのではなく、若者のワクチン接種が後回しにされたからだ。
しかも、現在はワクチン供給が停滞していて、接種予約ができない自治体が多い。それは計画性のない政府の責任であって、若者の責任ではない。責任転嫁もはなはだしい。
直近のワクチン接種実績は、1日100万回を豪語していたのに、80万回を切るまでに減った。その中身は2回目が6〜7割で、1回目が激減している。
接種率は1回目以上で38.7%(2021年7月29日現在)で、約6割がまだ1回目すら受けられずにいる。その大部分が若者世代だ。
年代別人口構成からいっても、若者世代よりも中年〜高齢者世代の方が多い。
若者世代の定義にもよるが、記事のように30歳以下とするなら、ワクチン接種可能な12〜30歳までは19%くらいだ。
全体の5分の1でしかない若者世代を悪者にするのは度が過ぎる。
政府も行政も「要請」という名の半強制を強いている。
従わない者には罰を与える。
1に自粛、2に自粛、3、4も自粛で、5に罰則。
鞭を打つばかりで、拷問のような対応だ。
飴と鞭という言い方をすれば、飴は最初にひとつくれたが、あとは鞭ばかり。
基本的にお上には従順な日本人だが、さすがに堪忍袋の緒が切れる。
もう政府のいうことには従わないと。
反乱が起きないのは、日本が銃社会ではないからでもある。
緊急事態宣言を出すごとに、10万円の一律給付も行っていれば、まだ国民の理解を得られたと思う。最初の緊急事態宣言には、それがあったから効果が最大化したともいえる。
自粛の鞭だけ打たれて、飴の給付金がなければ、打たれ損だ。
武力的な反乱は起こせなくても、選挙での反乱は起こせる。
……のだが、野党は頼りにならないし、かつての民主党のトラウマがある。
政権交代という選択肢を選べないのが、日本の政治の大問題なんだ。