「IOCはGHQか?」が笑えない

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コロナ禍の政府や行政の対応を「戦時中の日本」に例える記事が多く散見されるようになった。
私も「コロナで“中傷”するビラは、戦時中を想起する」(2020年8月10日付)と書いたが、その後、何度か同様の例えを出した。

菅首相は「最大限努力する」というような抽象的な努力目標をいうばかりで、具体的なロードマップは示していない。
高校野球じゃないんだから、努力するのが目標であってはだめだ。

首相および官房長官の記者会見は、大本営発表の様相を呈していて、曖昧だったり、楽観視だったり、嘘だったりしている。
ワクチンは調達が不十分なのに、スケジュールだけは前倒ししているが、現場は「無理」といっている。
やることなすことがすべてちぐはぐで、まさに戦時中の政府を模倣している状態。

で、以下の記事。

《IOCはGHQか?》菅首相「五輪中止」の責任放棄に批判の声 | 女性自身

《IOCはGHQなの?》
《進駐軍が上陸してきて、無理やり五輪を開催でもするんでしょうか?》

(中略)

《記者の質問「国民の命より五輪が優先されていないか」に対して「五輪の開催はIOCが権限を持っている」はひどい。これじゃ、日本は主権国家たることを放棄してるように見えちゃう》
政治学者の山口二郎法政大学教授はこうツイートした。

(中略)

冒頭のように、IOCはまるで日本政府にとって超法規的な上部団体のようだとして、太平洋戦争の敗戦後に日本を占領下に置いていたGHQ(連合国軍最高司令官総司令部)になぞらえる人も多い。実際に、菅首相や政府関係者の発言からは、IOCは当時の日本にとってのGHQのように、決して逆らえない存在であるかのようにも聞こえる。しかし、スポーツライターはこう指摘する。

「IOCが軍事力を背景に無理やり五輪を開催でもするのでしょうか? 中止や延期の権限がIOCにあるからといって、開催国の意向を無視して五輪はできません。日本側が難しいといえば、その判断は尊重される。菅首相は実質的に中止の決定権を持ちながらも、それを放棄するのは責任逃れというほかありません」

IOC=GHQの構図は、苦笑いしてしまった。
日本は、というより、日本人は欧米の権威に弱いんだよね。
それも、元をただせば、アメリカに敗戦したことに辿り着く。もっと遡れば、黒船襲来かな。以来、欧米人コンプレックスが日本人に根付いてしまったように思う。

IOCおよびバッハ会長は、GHQでありマッカーサー元帥なのだ(^_^)b

バッハ会長の上陸

President Bach lands in Japan and urges the country to host the Olympics.

というわけで、マッカーサーのレイテ島上陸をバッハ会長でコラ画像してみた。
これが、政府首脳や五輪関係者の、心象風景ではないかと思う。

関連して、次の記事。

「欲しがりません五輪開催までは」 唐突な緊急事態宣言に感じる“リーダーの説明不足” | 文春オンライン

『「灯火管制なのか」「今は戦時中?」 小池知事の消灯要請が炎上』(毎日新聞WEB4月23日)

東京都の小池百合子知事は23日の定例記者会見で、午後8時以降は街灯を除き、店頭などの照明を消すよう要請すると明らかにした。

戦時中といえば「欲しがりません勝つまでは」という標語があったが、現在は「欲しがりません五輪開催までは」なのだろう。国民生活より五輪。

こちらも戦時中に絡めた内容。
小池知事は戦後世代だから、灯火管制なんて実体験はない。菅首相も1948年生まれだから、戦後世代だ。そういう意味では、80歳以上(戦時中に5歳以上)でないと、戦争を実体験として知っている世代とはいえない。

私も含めて世間の大部分の人は戦後世代であるにもかかわらず、「戦時中のようだ」という例えが多く出てくるのは不思議ではある。
その戦時中感覚は、ドラマや映画、8月に繰り返し放送される戦争関連番組の影響だ。
実体験はないが、あの空気感はなんとなく想像できてしまう。
それが現在のコロナ禍の状況と重なるわけだ。

オリンピックは、誰が「中止」のホイッスルを吹くか?……という責任の押し付け合いになっている。
誰もそのホイッスルを吹きたくないのだ。
いわば中止の壁に向かって爆走するチキンレースだ。
誰もブレーキを踏まないと激突して大惨事になる。無観客で強行開催となれば、前代未聞のオリンピックになるし、直前で中止となれば、これまた前代未聞になる。
どっちに転んでもオリンピックは厄介者だ。

一部報道で、中止すると巨額の違約金が発生するともいわれるが、パンデミックは戦争が発生したのと同等のことであり、違約金を拒否する理由になるはずだ。
中止した場合に、IOCから違約金を請求されたら、国際裁判で争えばいい。そのくらいの覚悟と勇気は持ってほしいものだ。

 

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