虫が媒介する身近にある感染症…デング熱(蚊)とSFTS(マダニ)

LINEで送る
Pocket

蚊

WikiImagesによるPixabayからの画像

70年ぶりの国内発症でニュースになった「デング熱
その発生場所が、東京都内の代々木公園だったと推測されていることで、さらに注目される要因となった。

日刊ゲンダイ|70年ぶり騒ぎも…デング熱「国内感染」とっくに起きていた?

 埼玉県に住む10代後半女性が海外渡航歴がないのにデング熱に感染した問題。「国内感染は70年ぶり」と大騒ぎになっているが、….

(中略)

「日本にも、デング熱を媒介できるヒトスジシマカ(写真=国立感染症研究所提供)という蚊が存在するため、海外からデング熱を持ち込めば、国内感染するリスクは十分にあった。ただ、デング熱は風邪などと判別するのが難しく、海外渡航歴がないというだけで『デング熱ではない』と決めつけられがちです。すでに他にも国内感染が起きていると思います」(医療関係者)

「どこで蚊に刺されたか?」という問いかけに、発症した人が記憶を頼りに、代々木公園だったと答えたのだろう。だが、蚊に刺されたとき、どこで刺されたかなんて、じつは曖昧だったりする。数カ所刺されるのが常だが、そのすべてが同一の場所かどうかの確証はないものだ。気がついたら刺されていた……ということも多い。おそらく、刺されたと自覚したのが代々木公園だったのだと思う。

どこで刺されたかはともかく、刺した蚊は、その人を刺す前にデング熱感染者の血を吸っていたわけで、大元の保菌者が別にいるということ。電車の中にもときどき蚊がいるから、保菌者と接近する機会は電車の方が多い。代々木公園でも刺されていたが、帰りの電車内で感染した蚊に刺されていたのかもしれない。その区別はできないよね。

最近はあまり行われなくなったが、私が子どもの頃は、夏になると、蚊の駆除のために殺虫剤を街にまく車が走っていた。白い煙(おそらくDDT)をもうもうと立てて、通りをゆっくりと走る様子は、夏の風物詩でもあった。DDT(ジクロロジフェニルトリクロロエタン)は発がん性や分解されにくく残留性があるため、現在は使用が規制されているが、昔はあたり一面にぶっかけていた(笑)。当時の蚊の駆除は、おもに日本脳炎の予防のためだったと思うが、発症例が少なくなって、街での殺虫剤の散布もされなくなったようだ。

虫が媒介する新たな感染症として「SFTS(重症熱性血小板減少症候群)」がある。
こちらはマダニに噛まれることによって感染する。重症熱性血小板減少症候群ウイルスを保菌したマダニは少ないということだが、マダニそのものは日本全国に生息している。今のところ、西日本での感染例が報告されているが、潜在的には日本中に広がる可能性がある。

マダニがいるのは、田舎の山とか森を想像するが、住宅地が郊外に広がっているから、それほど縁遠いわけでもない。

九州の実家にいる頃、犬の散歩で原っぱに出かけたりしていたが、犬がときどきマダニに食われていた。吸血してパンパンに大きくなると、1円玉くらいの直径までふくらむ。簡単には落ちないので、火をつけた線香であぶって落とす。マダニは山奥ではなく、そこらへんの原っぱにも生息しているということ。

東京は代々木公園に限らず、林や草地の多い広い公園がけっこうある。そういうところで親は子どもを遊ばせているし、芝生では日焼けのためか肌を出して寝ころんでいる人もいる。

公園は、蚊やダニには格好の生息場所で、見えていないだけでうじゃうじゃいるよ(笑)。蚊でもダニでも、噛まれたとき気がつかない。炎症を起こして、痒くなってから気がつく。そのときにはあとの祭りだね。

長袖、長ズボンは、蚊に対してはある程度有効だけど、ダニは這い上がってくるので、ズボンの裾の隙間から潜り込んでくるため、あまり意味がない。ズボンの裾は靴下の中に折り込み、長袖の上着の裾はズボンの中に入れ、上着の袖は手袋の中に折り込み、なおかつ襟はきっちり閉じ、首にタオルを巻き、顔は目だけ出して覆う……というような完全装備をしないと、蚊やダニに噛まれるのを防げない。しかし、こんな格好で夏の山や野原には行けないよ、暑すぎて。

撮影の仕事で山や森に行くことが多いが、夏の場合、靴はトレッキングシューズ、下はジーンズで、上は半袖シャツという格好。動きやすさと暑さ対策で、長袖のシャツはちょっとツライ。

蚊に刺されることは悩みの種だが、虫除け剤を使う。虫除けはスプレータイプのものと、塗るタイプのものを併用する。スプレーは衣服の上からかけ、露出している腕や顔には塗るタイプのものを塗る。特に顔は重要で、顔を刺されるとあとあと惨めな思いをする。虫除け剤でアレルギーを起こす人もいるようなので、事前に肌に合うかどうかのパッチテストをしてから使うことを勧める。

虫除け剤を使っていても、100%防げるわけではない。経験的には、8割程度の効果かな。10カ所刺されるのが2カ所に減ったくらいの感覚。また、虫除け剤の効果は、それほど長くは続かないので、蚊が寄ってくるようになったら、再度全身にスプレーまたは塗布する。だいたい数時間おきかな。
私が使っている虫除け剤は以下。

 



主要成分であるディートが10%なので、蚊とダニに効果があるとされている。ほかにもいろいろと同様の商品はあるが、臭いのキツイものもあって、この商品は臭いが少ないので気に入っている。

うちの彼女は、肌が弱くて薬剤は不向きなので、「どこでもベープNo.1 未来」という携帯用ベープを持たせている。電池式のベープで、殺虫成分を周囲に漂わせるというもの。歩いて動き回ると効果は薄れるが、ある程度の虫除け煙幕は張れるようだ。彼女によると、寄ってきた蚊がUターンして逃げていくという。



検索していたら、デング熱は昨年にも日本で感染例があったという記事があった。

第40回:日本国内でデング熱が発生した!|Dr.濱田コラムDr.濱田コラム|感染症専門家コラム|感染と予防Web|サラヤ株式会社 企業法人向け

ドイツ人女性が日本訪問後にデング熱を発病したというニュースである。この女性は昨年8月に日本各地(長野、山梨、広島、京都、東京)を旅行し、帰国後間もなく発熱をおこした。ベルリンの病院で検査を受けたところ、デング熱に感染していることが判明したのである。この女性が訪問した国は日本だけであり、日本でデング熱に感染したことは明らかだった。

こういうケースを見ると、たまたまデング熱と判明したから感染例となるが、デング熱と診断されていないケースも多そうだ。

昨晩のニュースで専門家が語っていたことで、医師でもデング熱と診断できる人は少ないらしい。デング熱かどうかを判定する検査キットがあるそうだが、その検査キットは普通の病院には置いていないとか。

いずれにしても、蚊やダニに刺されるのは、あとあと痒い(痛い)思いをするので、避けるに越したことはない。山や森、公園に出かけるときには、虫除け対策をお忘れなく。

蚊からデングウイルス検出…ヒトスジシマカの生態がよくわかっていない件」に続く。

(Visited 45 times, 1 visits today)