世界は一定のルールの上に成り立っている。
 それが物理定数と呼ばれる、不変と仮定されている世界の基本だ。
 いま私たちがいるこの場所と、遙か彼方の宇宙の果てでも、物質の質量を決定する陽子の重さは同じ、光の速度は同じ……だから、彼方の星の組成や距離を計算できる。
 だが、遠くの宇宙とここの宇宙で成り立ちのルールが違っていると、世界は混沌としてくる。
 そんな可能性を示唆するのが……
初期宇宙での水素分子と重元素

また、他にもひじょうに重要な結果が示唆されています。それは陽子と電子の質量比が時間変化しているのではないか、というお話です。陽子や電子の静止質量は、定数とされています。宇宙や自然界での物理現象を説明するために、また、宇宙を数学的に記述するために、物理学ではいわゆる“物理定数”を用います。現代の物理学では25個の基本的な物理定数を用いています。例えば、真空中の光の速度や万有引力定数もこの物理定数の仲間です。現代の物理学では、一般的に、これらの物理定数の値を“定数”として扱い、自然現象を記述し、理解しようとします。しかし、これらの物理定数は宇宙のどこでも、いつでも同じ値なのか、という疑問があることも事実です。例えば、重力と量子力学を統一的に扱う大統一理論や超ひも理論では物理定数が変化することを予測しています。ただし、その時間的な変化量はひじょうにわずかです。したがって、定数が時間変化しているかどうかを調べるにはずっと昔に遡って、陽子と電子の質量比を調べなければなりません。陽子と電子の質量比が変化すると、吸収線の波長も変化します。この“ずれ”の検出も試みられました。

このために、研究チームは水素分子の吸収線の波長を実験室で正確に測定しました。また、観測された吸収線の物理状態を記述するためのモデルも構築し、計算しました。そして、観測された吸収線と比較することで、波長にはずれがあると結論したのです。得られた波長のずれは、陽子と電子の質量比が約120億年前の宇宙において0.002パーセント現在の値よりも小さいことに対応していました。定数として扱われている陽子や電子の静止質量が変化している可能性を導いたわけです。

 ……という記事。
 光速度は不変だというのが、相対性理論の根幹だが、光速が場所や時代によって変化するとしたら、宇宙は不変の法則に束縛されなくなる。
 そうしたことをアイデアとしたSFもあった。
 じつのところ、宇宙が不変かどうか、確かなことはわからない……ということなのだ。

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