ブラックホールに特異点は存在しない?

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 宇宙に関する最新研究では、これまでの定説が覆されることがときどきある。
 以下のレポートも、そんな新説のひとつになりそう。

暗黒エネルギーの源はブラックホール? 初の観測的証拠を示した研究成果 | sorae 宇宙へのポータルサイト

超大質量ブラックホールの想像図(Credit: NASA/JPL-Caltech)

超大質量ブラックホールの想像図(Credit: NASA/JPL-Caltech)

ハワイ大学の天文学者Duncan Farrahさんを筆頭とする研究チームは、ブラックホールと暗黒エネルギー(ダークエネルギー)を結び付ける初の観測的証拠が得られたとする研究成果を発表しました。

(中略)

銀河中心の超大質量ブラックホールがどのようにして成長したのかは、まだよく理解されていません。ブラックホールが成長する(質量を増やす)ためには接近した星やガスなどの物質を取り込む必要があるものの、物質を取り込んで成長するペースには限界があります(エディントン限界)。近年ではビッグバンから10億年と経たない初期の宇宙にも質量が太陽の数億~十数億倍もある超大質量ブラックホールが存在していたことを示す観測結果が得られており、世界中の天文学者たちはブラックホールが急成長を遂げた理由の解明に取り組んでいます。

(中略)

そこで研究チームは、ブラックホールの成長を「宇宙論的カップリング(Cosmological Coupling)」だけで説明できるかどうかを検証しました。

研究チームなどによると、宇宙論的カップリングはアルベルト・アインシュタインの重力理論をもとに新たに予測されていた現象で、特異点が存在しないかわりに真空のエネルギー(Vacuum Energy)を内包するブラックホールと、膨張する宇宙が結びつくことで成り立つと考えられています。宇宙が膨張するとブラックホールに内包されている真空のエネルギーが増加し、従ってブラックホールの質量が増加する(※)というのです。様々な時代に存在していた銀河を分析した結果、ブラックホールの成長は宇宙論的カップリングにもとづく予測通りで、ブラックホールの質量と宇宙の大きさはよく一致する関係にあることが示されたといいます。

(中略)

今回の成果は超大質量ブラックホールの成長に関する謎を解決すると同時に、真空のエネルギーを内包するブラックホールが暗黒エネルギーの天体物理学的な供給源であり、なおかつブラックホールの中心に物理法則の適用できない特異点が存在しない可能性を示したことになります。研究に参加した英国科学技術施設会議(STFC)RAL SpaceのChris Pearson博士は、特に暗黒エネルギーの起源を示したことに言及した上で「もしもこの理論が成り立つなら、宇宙論全体に革命を起こすことになるでしょう」とコメント。また、Crokerさんは「現在の宇宙が加速していることを説明する今回の測定データは、アインシュタインの重力(理論)の底力を美しく垣間見せてくれます」とコメントしています。

 記事の見出しは「暗黒エネルギーの源はブラックホール?」とダークエネルギーの方に注目しているのだが、私が注目したのは「真空のエネルギーを内包するブラックホールは……物理法則の適用できない特異点が存在しない可能性」の方。

 特異点が存在しないのなら、ブラックホールの内部にも物理法則が適用できるということになる。SF的な飛躍をすると、そこにワープ航法の手がかりがあるのではないか?……と妄想してしまう。特異点はやっかいな存在なので、それが存在せずに真空エネルギーがブラックホールに内包されているのなら、離れた空間を結ぶワームホールが物理法則の適用範囲内で利用できるかもしれない。

 遠未来おいて、真空エネルギーと人工ブラックホールを用いて空間を歪めてワープする場合、特異点は発生しないのであれば、物理法則から逸脱することなく、ワープに遷移できるように思う。

 真空エネルギーは、この宇宙で利用できる究極のエネルギーでもある。
 夢のワープエンジンを駆動させるには、莫大なエネルギーが必要になるから、原子力や核融合では足りないかもしれない。
 となれば、残るエネルギー源は反物質か真空エネルギーということになる。

 「宇宙論全体に革命を起こすことになるでしょう」というのは、言い得て妙。
 今後の展開にワクワクする理論だね。

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