SFドラマ『三体(中国版)』の全30話を見終わった。
10話まではHuluだったが、11話以降はWOWOWオンデマンドで視聴。
終盤は科学的考察や論争が主軸となり、かなりハードSFしていた。
こういうSFドラマは、なかなかない。
謎が解かれていく過程も、理路整然としていて説得力があった。原作のお陰ではあるが、それを映像化した中国スタッフがスゴイ。
圧巻だったのは、第29話「古筝(こそう)作戦」だった。
ナノテク技術者の汪ミャオが発明した、超微小超硬度のナノ繊維「飛刃(フライング・ブレード)」で、運河を航行中のタンカー船をスライスする作戦。船はもとより、乗っているテロリストたちもスライスしてしまうという、とんでもない作戦だ。
その映像がスゴイ。こんなシーンは、今まで見たことがない。
このナノ繊維は、軌道エレベーターのケーブルにも使えるという話をしていた。
それで思い出したのは、アーサー・C・クラークの「楽園の泉」だ。クラークの作品中でも、なんでも切れる繊維として登場していた。
また、次元を折りたたんだプロトン「智子」(“智恵のある粒子”のこと)を地球に送り、地球の科学を停滞させるというのが、三体人の行った作戦だった。
ああ、それって、量子通信もできるよね?
と思っていたら、やっぱり。三体人はリアルタイムで地球を監視できていた。
三体人の母星から地球までの距離は、約4光年。
地球に艦隊が到達するのに450年かかるという。なんとも遠大な侵略ではある。
三体人の姿は、三体ゲーム中の想像として登場する。実際の姿は不明だ。
中国版の「三体」は、原作の三部作のうちの、第1部を映像化したものだ。
来年(2024年)配信予定のNetflix版は、三部作を全部やるらしい。どういう見せ方をするのか、見比べるのも面白そうだ。