岸田総理オンライン記者会見に見るデジタル後進国の日本

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 滑稽な場面は、当事者たちが滑稽であることを自覚していないから生じる。
 画面に映る首相の前に群がる記者たちは、なにを思っていたのだろうか?
 時代が50年くらい巻き戻ったような感じがする。

記者もオンラインで対応すればいいではないか 岸田総理オンライン記者会見で見られた「不思議な光景」 – ニッポン放送 NEWS ONLINE

高橋)岸田さんのように、会見もオンラインでできるではないですか。でもあのオンライン記者会見を見たら、記者の方が密になっていたのは不思議な光景でしたね。「記者もオンラインで対応すればいいではないか」と思いました。

飯田)総理がオンラインでやっているのであれば、記者もそれぞれの会社からオンラインでつなげば十分ですよね。

高橋)画面の前にみんなが集まっていたでしょう。

飯田)画面から出てくる音声に向かってICレコーダーを回しているのだけれども、「オンライン会議システムには録画機能がなかったかな」と思いますが。

高橋)面白いですよね。あれは不思議な風景でした。記者の人もオンラインでいいではないですか。

オンラインで記者団の取材に応じる岸田文雄首相

 笑っちゃうよね(^o^)
 これが2022年の光景だとは信じられない。かつて、昭和30年代にあった街頭テレビのようだ。テレビは液晶で、録音機はデジタルになり、それぞれがスマホを持っているのに、この時代錯誤感はなんなんだろう。

 デジタル後進国・日本、ここにあり……みたいな図だ。

 マスコミはこういうのに対して、自己批判すべきだと思うのだが……。これじゃ、大本営発表の時代と大差ない。
 8月は太平洋戦争時代を扱った番組が多く放送されていた(特にNHK)が、それらを見るたびに、現在においても、あの時代の空気とあまり変わっていないと感じる。政府もマスコミも、過去の教訓から学んでいないように思える。

 首相の発表する新型コロナ対策は、曖昧な部分が多く、医療現場や地方自治体に判断を丸投げしているだけ。これは責任放棄というか責任転嫁だ。
 旧統一教会の問題についても、個々の議員の判断にまかせるだけで、政府としてどうするかは曖昧な態度だ。
 「これからは関係を断つ」というのは、過去の関係についての責任は不問にするということだ。たとえるなら、過去に何度も万引きをしていたが、これからはしないから許して……といっているようなもの。それで許されるなら倫理や法律はいらない。

 なんかね、情けなくなってくる。
 技術があっても使いこなせないのなら、ないのと同じ。
 「新しい資本主義」なんて、かけ声だけで実効性は疑わしい。見かけ倒しという意味では、この奇異なオンライン会見と通じるものがあるように思う。

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