中国の大軍事パレードについての面白い記事があった。
数字を粉飾(誇張)するのが中国の常識とはいえ、自国民の数まで粉飾するとは(^_^)b
9月3日、北京市内で「中国人民抗日戦争及び世界反ファシスト戦争勝利70周年記念式典」と“閲兵式(軍事パレード)”が、庶民から“閲兵藍(パレードブルー)”と呼ばれた青空の下で行われた。中国メディアは、この記念式典と軍事パレードの実況中継をテレビの観衆4.89億人とインターネットの観衆10億人の合計14.89億人が見たと報じ、2008年の北京オリンピック開幕式の実況中継の観衆10億人を大きく上回ったと報じている。中国の人口は2014年末で0歳の新生児を含めて13.68億人なので、1.2億人多い勘定だが、これも白髪3千丈の類の話か。
1.2億人は仮想国民なのか?
日本の人口とほぼ同じ数の国民が、中国には隠れて存在しているようだ。それとも、公式に発表されている13.68億人が嘘なのか?
じつのところ、人口も正確には把握されていないのだろうし、経済指標として発表される数字も粉飾されていて、信用している人はほとんどいない。
嘘も大声でいえば、本当に聞こえるというか、嘘をつき続けなければ存続できないのだろう。
ちなみに、「白髪3千丈」の意味は以下。
「丈」は長さの単位、「三千」は数量の多いことのたとえで、三千丈は約九.三三キロメートル。
年老いて、長年のうれいや悲しみのために、白髪が長く伸びてしまったということから。
李白の詩『秋浦の歌』に「白髪三千丈、愁えに縁りて箇の似く長し(我が白髪は三千丈。愁いのためにこのように長くなってしまった)」とあるのに基づく。
共産党による独裁政権の中国ではあるが、実質的には清王朝まで続いた王権政治が形を変えているようなもの。現在は「習王朝」といってもいい。
大きすぎる国、多すぎる国民、多様な民族を束ねるには、強大な支配者が必要だ。共産主義と共産党は、支配構造を構築するのに都合がよかったのだろう。中国に民主主義が根付かないのは、民主主義では権力構造が分散し、国が分裂してしまう可能性が高くなるからともいえる。
中国経済が失速すると、世界的な恐慌が起きるとするチャイナリスクが危ぶまれているが、経済危機が引き金となって共産党の独裁政権が崩壊すると、中国は分裂するかもしれない。内部から腐敗している現状を見ると、遠からず中国崩壊の危機は訪れるようにも思う。その場合、天安門事件のように民主化運動による政権崩壊よりも、軍部による軍事クーデターの方が可能性は高いのではないか。
記念式典と軍事パレードにかかった費用も莫大だったようで……
- パレードブルーを確保するために、北京市内にある1927社の工場が8月中旬から生産を停止したが、この各社毎の損失を1日当たり50万元(約938万円)として生産停止20日間で計算すると、その損失合計は192億元(約3600億円)に達する。
- 85万人の北京市民が14日間にわたって街に出て見張りに立った。彼らの“車馬費(報酬)”を1人毎日100元(約1875円)として計算すると、その合計は約12億元(約225億円)となる。
- 軍事パレードに参加した“人民解放軍”兵士1.2万人に対する1カ月間の訓練および外国軍兵士867人に対する2週間の訓練を行ったが、その食費を1日50元(約950円)として計算すると、その合計は1900万元(約3億5600万円)となる。
- 当局は北京市内の五大商業区(“王府井”、“前門”、“大柵欄”、“西単”、“東単”)で2日間にわたって営業停止を強制したが、それによる商店の損失合計は10億元(約187億5000万円)以上と想定される。
- 以上を合計すると、各地が軍事パレードのために行った治安維持の経費を含めずに、その費用総額は215億元(約262億香港ドル≒4031億円)になる。これだけの金額があれば何が買えるのかを調べてみると次の通り。
たった1日のために費やした金額としては、太っ腹だね(^_^)。
費用がかかりすぎると白紙撤回された国立競技場の建設費が、みみっちく見えてしまう。
だが、巨額を投じて「習王朝」を誇示する一方で、中国には2億人の貧困者がいるという。
記事の最後に登場する少女の作文が、涙を誘う。
9月3日から遡ること1カ月前の8月4日、江蘇省のニュースサイト「中国江蘇網(ネット)」は、「四川省“大凉山”の女の子が書いた作文が立ち遅れて貧困な現状をあばき出す」と題する記事を掲載した。
題名:涙 パパは4年前に死んだ。パパは生前私を最も可愛がってくれた。ママは毎日何とか私に美味しい物を作ろうとしてくれた。きっとママもパパの事を想っていたのだろう。
ママが病気になり、“鎮(町)”へ行き、“西昌市”へも行ったが、お金がなく、病気は治らなかった。
あの日、ママが倒れて、ママが苦しそうだったので、私は泣いた。私はママに、「ママ、きっと良くなるよ。私が傍にいるからね。私が作ったご飯を食べて、眠れば、良くなるよ」と言った。
二日目の朝、ママは起き上がれず、とっても苦しそうだった。大急ぎで仕事から戻った叔父さんがママを町へ連れて行った。
三日目の朝、私は町の病院へママを見舞ったが、ママは目覚めていなかった。私がママの手を軽く拭いてあげたら、ママは目を覚ました。ママは私の手を取ると、私の幼名を呼んで、「家に帰りたい」と言った。私が「どうして」と聞くと、「ここは居心地が悪いから、家の方が良い」と答えた。
私はママを連れて家へ帰り、しばらく休んでから、ママのためにご飯を作った。ご飯を作り終えて、ママを呼んだら、ママはすでに死んでいた。
教科書に、どこの地方にも“日月潭”という湖があり、その水は母親を想う娘の涙で出来ていると書かれていた。
2015年6月20日 柳彝
日本でも、貧困のために命を落とす人、老人の孤独死などが問題になるが、貧困層の多い中国ではこの少女のような境遇の人がたくさんいるのだろうと想像できる。
裸の王様と化した中国が、今後どのように振る舞うのかは、日本も無縁ではいられない。