環境問題や食糧危機問題の絡みで、昆虫食が注目され勧められているのだが……。
昆虫食を推進する前に、やれることがある。コオロギを食えば、問題が解決するわけではない。
「昆虫食」市場急拡大も…根強い拒否反応 なぜ受け入れられない?識者に聞いた理由と打開策: J-CAST ニュース
食糧問題の解決策として世界的な注目を集める「昆虫食」。先進的な取り組みとしてマスメディアなどでしばしば取り上げられるものの、世間からの風当たりはまだまだ強い。外食市場の調査・研究機関「ホットペッパーグルメ外食総研」の調査によれば、回答者のうち約9割が昆虫食を避けると回答したという。
(中略)
同研究会の伊藤貴広氏によれば、昆虫食の注目度は「かなり高まっている」という。TPCマーケティングリサーチの調査によると、昆虫食の市場規模は、2021年の国内では10.8億円だったとし、2020年から約6割伸びているという。また、日本能率協会総合研究所の調査では、2019年における海外での市場規模は70億円で、2025年には1000億円程度まで伸びると予想されている。
この理由について、伊藤氏は(1)食糧危機が叫ばれる中で、現在の畜産業と比較し、少ない餌や少ない水、狭い土地で育てられると期待されている昆虫への注目(2)ビジネスチャンスと考える人たちによる企業の増加、これに伴う情報発信量の増加による一般層への認知の高まり――があると指摘している。
(中略)
昆虫食が受け入れられるためにはどのようなきっかけが必要になるのか。吉田氏によれば、(1)昆虫があくまでも嗜好品であると認知されること(2)美味しい昆虫が広く食べられること――が重要だという。
昆虫食を「食べないといけないもの」という強制感を持って食べると反感を持つ人もいるだろうと答える吉田氏は、「昆虫は採捕にせよ養殖にせよ、安いタンパク源ではなく、高価な嗜好品です。タイではコンビニのお酒のおつまみコーナーで売られており、食べたい人が食べるものです」と説明した。
昆虫食への嫌悪感は、昆虫を食べものと認識していないことからくる先入観ではある。某国での、犬や猫を食べるのに嫌悪感を感じるのと同じだろう。
かつては、日本の寿司文化で生の魚を食べることに、欧米人が嫌悪感を示していたこともあった。江戸時代の日本では、肉食はタブーだったりもした。
なにを食べるかは、時代や国・地域によって異なるものだ。
日本ではナマコが食べられているが、あんな見た目がグロテスクで、気持ち悪いものを食べている(^_^)b
私は好きだが、生きている原型を見ると、食欲が薄れはする。切り刻んであれば、意識しないで済む。
昨今の昆虫食ブーム(?)は、環境&食糧問題を大義名分にした、えせエコロジーの臭いがする。食糧問題が深刻なのは事実だが、だからといってコオロギを食えば解決するわけでもない。
記事の引用にもあるように、昆虫食を仕掛けている人たちの思惑は、「2025年には1000億円程度まで伸びる」という儲け話なのだ。
いよいよ食べるものがなくなったら、昆虫でも食べるしかなくなるが、現状では捨てている食材(フードロス)が大量にあり、それをちゃんと食べきるシステムにする方が重要だ。
また、規格外として出荷できない(廃棄する)農産物や魚類もあり、贅沢な峻別をしているのも問題だ。形や大きさに関係なく、グラム売りで食材を流通させる必要がある。消費者も、贅沢をいわないことだ。
『混迷の世紀 「第4回 世界フードショック 〜揺らぐ『食』の秩序〜」|NHK』でも取り上げたが、日本は先進国の中では、いち早く食糧危機に陥る可能性がある。食の安全保障は情けないくらい脆弱だ。ミサイルを買っている場合ではないのだが、日本の政治家たちには食糧に対する危機感が乏しい。
飽食の時代といわれて久しいが、食べものが当たり前にある状況が、いかに贅沢なことなのかというのを自覚できなくなっている。
そんな食糧危機が危惧されていても、ダイエットの話題は尽きない。ダイエットしなければならないほど太るのは、食べものが豊富にありすぎるからだ。食うものがなくなれば、ダイエットなんてクソ食らえの時代になる。太っているのは、贅沢の結果だ。
個人的には、日々の食事に窮するほどの貧乏を経験しているのだが、食べるものがなくなると体重が数か月で10kgくらい落ちる。過去記事にも書いたが、究極のダイエットは食べものを買えないほどの貧乏なんだ。
1日の食事が、卵かけご飯1杯、あるいはカップラーメン1個だけ、というのはしんどいぞ(×_×)。食料危機とは、多くの人がそういう状況になることだ。
コオロギを食わせる前に、フードロスをなくせ。
フードロスをなくしても、食料が足りないのならコオロギを食わせろ。
えせエコロジーだけはやめてくれ。
「コオロギ食推進の是非」に続く。