度々取り上げている温暖化問題。
 現在行われている取り組みについて、私は懐疑的な意見が書いてきたが、地球環境全体のシステムは、そう単純に足し算引き算で片付かないだろうと思うからだ。

 養老孟司さんの記事が、核心をついていた。
 『石油問題の“ウソの顔”』という記事だ。
 その核心の一部を引用すると……
石油問題の“ウソの顔”|この一年の注目記事|新しい日本を創る提言誌 Voice+ ボイスプラス

 なぜ文明はエネルギーを消費するのか。その根本はエントロピー問題にある。自然界では、秩序はいわば同量の無秩序と引き換えでしか手に入らない。エネルギーを消費すれば、たとえば石油を燃やせば、秩序正しく並んでいた炭素や水素の原子が、炭酸ガスや水のような小さな分子に代わり、それらの分子がランダムに動き出す。さらに熱が発生し、空気を含めた周囲の分子のランダムな動きを高める。つまり自然界に無秩序が増える。その代わりに、人間社会は何らかの秩序を手に入れることができる。たとえば冷暖房。

 現在の文明を維持する限り、エントロピー問題は解決しない。代替エネルギーを使ったとしても、排出されるのが二酸化炭素ではなくなるだけの話で、代償はどこかで払うことになる。
 「鋼の錬金術師」でいうところの「等価交換」だ。
 本気で二酸化炭素の排出量を減らしたいなら、テレビをアナログからデジタルに移行しようとしているように、5年後に自動車を脱石油化……つまり、電気や燃料電池に変えるというくらいの強引さが必要だろう。
 エネルギーの消費量を変えずに……むしろ今後も増えることが予想される中で、温暖化対策の効果のほどは疑わしい。
 エントロピーの増大は自然の法則であり、その法則には逆らえないからだ。
 文明のレベルを維持しつつ、エントロピーの増大(温暖化など)を抑制することは、物理法則を無視することでもある。そんなことが可能になるほど、世界()は甘くない。
 植物に二酸化炭素を吸収させて……という理屈で温暖化ガスを処理する理屈がいわれるが、植物は光合成の過程で熱を排出することでエントロピーを増大させている。
 これをすれば温暖化が防げる……という風潮は、エントロピーの収支を無視しているような気がする。エネルギー消費レベルが変わらないのであれば、その分の代償はどこかで払うことになる。それが二酸化炭素か放射性廃棄物か、あるいはもっと別のものかという違いである。

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