発電のコストとリスク

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発電のコストとリスク

原発と太陽光発電に関する記事。

「原発は安い、太陽光発電は高い」は本当か?被災地の復興をも視野に入れた孫正義氏「自然エネルギー財団」の提言|週刊・上杉隆|ダイヤモンド・オンライン

 その会合の冒頭、孫社長は、米国での発電コストに触れ、「私自身も驚いたのだが」と前置きしてこう話しはじめた。

「昨年、米国では原子力発電のコストと太陽光発電のコストがクロスオーバーした。原発は低コストだという認識を変える必要があるのかもしれない」

前にも書いたように思うが……

→『温暖化問題が解決しない理由

温暖化問題で二酸化炭素を出さないとして、原発が「クリーン」だと宣伝されてきたわけだが、放射性廃棄物についてはおおっぴらには触れられなかった。というより、「目をつぶった」ということだろう。
問いかけが間違っていたのだ。

二酸化炭素と放射性廃棄物と、どちらがいいですか?

こう、問いかけるのが本筋だった。
だが、この問題点には触れられなかった。
二酸化炭素を分解、もしくは還元する技術はある。それを実用レベルで、コストと効率と規模で、採算が取れるかどうかが問題になっていた。

→『二酸化炭素を人工的に分解すれば

先頃、植物の光合成の仕組みが解明されたという記事があったが、その仕組みを工学的に応用できれば、人工の光合成も可能になる。

大阪市立大と岡山大、光合成に欠かせない分子の構造解明  :日本経済新聞

 岡山大学の沈建仁教授や大阪市立大学の神谷信夫教授は、植物の光合成に欠かせない生体分子の立体構造を解明した。この分子を人工的に作ることができれば、太陽光と水から水素を高効率で作り燃料電池の燃料などに利用できる可能性があるという。成果は17日付の英科学誌ネイチャー(電子版)に掲載された。

二酸化炭素の排出量を減らすことばかりが、温暖化対策として論じられてきたが、出した二酸化炭素を集めて分解する方法も考えるべきだろう。むしろ、これからは分解・還元する技術の方が必要になってくる。

放射性廃棄物は地中深くに埋め、無害になるまで数万年放置するしか方法がない。SF的な解決方法をいえば、地球のコアにまで穴を開けて、そこに投棄するとか、ロケットで太陽まで運んで捨てるとかいう方法もあるが、現実的には無理。
それに比べたら、二酸化炭素の方が解決方法は手の届くところにある。

原子力発電といいつつも、結局のところ、タービンを回すのに水蒸気を発生させる熱源でしかない。タービンを回す意味では、水力や火力と基本的には同じ。効率の違いだけだ。
電気を発生させるのに、間接的なエネルギー源だ。

太陽光発電は光を電子に置き換えるから、より直接的なエネルギー源になる。
その変換の過程でロスが発生するため、効率が悪いとされてきたが、その効率は上がってきている。問題点は技術的に解決可能なものだ。
狭い国土で、広大な発電面積を確保できないといった問題は、ビルの屋上や各家庭の屋根に分散させて設置することで、解決はできる。発電した電気を集約する、ネットワークを構築すれば済む話。

夜間に関しては、昼間に発電した電気を、いかに蓄電するかという問題。
蓄電池の性能も上がってきているし、理想的なのは超伝導コイルで蓄電する方法だ。今のところ、超伝導技術は、極低温でしか実現していないが、技術的な壁は豊富な資金と優秀な人材を投入すればいずれ乗り越えられる。

また、天候による影響も、日本のどこかに晴天のところはあるだろうし、もっといえば衛星軌道に発電衛星を上げ、マイクロ波で送電する方法もある。
すぐに使える実用レベルの技術は限られるが、将来的に実現は可能だ。

答えと道筋はある。
それをいかに実現させるかを考え、実行していくかだと思う。

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