熊本地震は夜型か?


熊本地震→四国の中央構造線断層帯に飛び火?」の続き。

熊本地震は、夜のニュースの時間に地震速報が頻繁に鳴っていたので、なんとなく「夜型」なのか?……と思っていた。
漠然とした感覚では根拠がないので、最初の震度7の発生時から、公表されている地震情報の発生時刻をもとに、時間帯別分布図を作ってみた。

▼熊本地震の発生時間帯の分布図

熊本地震の発生時間帯の分布図

熊本地震の発生時間帯の分布図



※地震発生時刻から1時間ごとに区切り、たとえば22時代に何件発生したかを表している。それぞれの●は、各時間帯の中で時計回りに発生順になっている。昼と夜は、日の出・日の入りの時間から分けている。

最初の地震と、本震の発生時刻が夜だったので、夜に集中するのはなんとなくわかるが、その後も夜から朝にかけて発生時刻が偏っているように見える。
夜型といってもいいかもしれない。
また、震度4(黄色)以上の揺れが、夜に多くなっているようにも見える。
こういうのは、データを視覚化してみるものだね。

月の潮汐力が地震のトリガーになる……という説がある。

竹内薫の科学コラム 第16回

 さて,米科学誌「Science」の2004年10月21日付のオンライン版に「地球の潮汐は浅い逆断層型の地震の引き金になる可能性がある」(Earth Tides Can Trigger Shallow Thrust Fault Earthquakes)という論文が掲載され,新聞などでも話題になった。Science誌のオン ライン版は,特に速報性が必要とされる「目玉」論文が取り上げられ,本誌に掲載される前にオンラインで流されるものだ。

この論文は,カリフォルニア大学のE. S. Cochran氏,J. E. Vidale氏と東北大学の田中 佐千子氏の共同執筆だが,(前掲コラムの)田中氏らによる日本の地震の研究を世界各地のデータ分析にまで拡げたものと言っていいだろう。(田中氏 は,現在,独立行政法人 防災科学研究所 日本学術振興会 特別研究員)

逆断層は,辞書を引いてみると,衝上断層または突き上げ断層とも呼ぶようだが,ようするに,断層面が両側から押されて上にずり上がる タイプの断層だ。
田中氏らは,Harvard Centroid Moment Tensor(CMT)カタログにある,世界中で起きた,深さ40kmより浅い,マグニチュード5.5以上の地震(2027事例)を分析した。その結果, 潮汐力が断層を滑らせるような方向に働いている時間帯に地震が多く発生していることを統計的に確かめた。つまり,潮汐力が「引き金」となって地震が起きる というのである。

潮汐力は,重力的な効果であり,物体をひしゃげさせるように働く。たとえば,太陽や巨大惑星に接近しすぎた彗星は,潮汐力を受けて破 壊されてしまう。太 陽や月が地球におよぼす潮汐力は,その名のとおり,一日に2回,海の満ち干をもたらす。海だけではなく,地殻にも数十ヘクトパスカルから数百ヘクトパスカ ルの圧力がかかって,それにより地殻は変形する。(大気圧の十分の一程度)

地殻自体にかかっている力と比べると潮汐力の大きさは千分の一程度にすぎないが,どうやら,その千分の一が「最後の引き金」となっ て,地震が起きるらしい。

長野県栄村で地震で多発、「潮汐」引き金 地殻変動と重なる 産総研分析 – MSN産経ニュース

 長野県栄村の周辺で東日本大震災後に多発した地震は、月の引力などの影響で潮が満ち引きする潮汐(ちょうせき)が引き金で起きたとみられることが、産業技術総合研究所の分析で18日、分かった。発生時刻と潮汐のリズムに極めて高い相関があり、大震災による地殻変動と潮汐力が重なって誘発されたとみられる。

産総研の雷興林(らいきょうりん)主任研究員は、大震災以降の約2カ月間に長野県北部で起きたマグニチュード(M)3以上の142回の地震を分析。栄村で震度6強を観測した大震災翌日の地震(M6・7)を含む全体の約50%が、潮汐と関係していたことを突き止めた。

潮汐は月の引力などによって海面が周期的に上下変動する現象で、地球内部の岩盤も同じ影響で上下に伸縮している。雷主任研究員によると、潮汐と関係がある地震は世界の約5%で、今回はこの10倍に相当する前例のない高さという。

一連の地震は地盤が下がる干潮や、下がる速度が最大のときに集中して発生。長野県北部には、マグマから出たガスや液体が岩盤の隙間に高圧でたまっている「流体だまり」が多数あるとみられ、この場所が潮汐力で押されて周囲の岩を破壊、断層を刺激して地震が起きたと推定している。

月の潮汐力は潮の干満を起こすが、地面にも作用している。わずかな動きだが、地殻がほんの数センチ動くだけでも、微妙なバランスを保っている断層には影響が出る可能性がある……ということらしい。
月の位置によって潮汐力の働く方向が変わり、地平線に近い高さ(地平線の下の隠れている場合も含む)にあるときは、東西方向に地殻が動くという。
4月14日と16日の月の位置はどうだったかを、天文シミュレーションソフトで再現してみた。

▼4月14日 21時26分(最初の震度7の地震発生時刻)

4月14日 21時26分(最初の震度7の地震発生時刻)

4月14日 21時26分(最初の震度7の地震発生時刻)



▼4月16日 1時25分(本震の発生時刻)

4月16日 1時25分(本震の発生時刻)

4月16日 1時25分(本震の発生時刻)



※いずれも観測点を熊本に設定した。サムネール画像では見にくいと思うので、クリックして拡大表示で見てほしい。

4月14日の月の仰角は約50度、4月16日の月の仰角は約18度。本震のときの方が低い位置にあった。
月齢でいうと、14日は中潮、16日は小潮だった。

月齢カレンダー

月齢カレンダー(2016年4月)

月齢カレンダー(2016年4月)

満月と新月は、太陽と月の潮汐力が重なり大潮になるが、働く力も大きくなる。
今月の満月は、22日~24日となっている。
もし、潮汐力が作用しているとしたら、この週末は要注意かもしれない。
月の出と入りの時刻は以下のようになっている。

▼熊本の月の出と入り時刻

年月日 入り 正午月齢
2016/04/14 11:43 0:49 6.7
2016/04/15 12:40 1:36 7.7
2016/04/16 13:36 2:18 8.7
2016/04/17 14:30 2:56 9.7
2016/04/18 15:24 3:32 10.7
2016/04/19 16:17 4:05 11.7
2016/04/20 17:10 4:38 12.7
2016/04/21 18:03 5:10 13.7
2016/04/22 18:55 5:43 14.7
2016/04/23 19:48 6:18 15.7
2016/04/24 20:41 6:54 16.7

熊本地震が「夜型」なのは、月の入りが0時~5時になっているのと関係があるようにも見える。月が西側にあるとき、断層が東西に引っ張られているのかも。
そのパターンが踏襲されるとしたら、22日~24日は月の入りの前後1時間、午前4時~8時が警戒ゾーンになるかもしれない。
あくまで想像でしかないのだが……。

熊本地震の前兆は2015年11月からあった?」に続く。

LINEで送る
Pocket
LinkedIn にシェア