環境省の「女性向けのクールビズ」に漂う昭和感

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毎年夏になると、お役所の音頭で「クールビズ」などというアホなことをやる(笑)。
お役人さんも、好きだねー。
今年は、「女性向けのクールビズ」なんてのも登場して、顰蹙を買っていたが……

環境省 報道発表資料-平成25年5月20日-平成25年度スーパークールビズの実施について(お知らせ)

 環境省では、地球温暖化対策の一環として、平成17年度から、冷房時の室温28℃でも快適に過ごすことのできるライフスタイル「クールビズ」を推進しています。
今年も、本格実施となる6月1日から9月30日までは「スーパークールビズ」を環境省が率先して実行するとともに、各主体によるクールビズを通じた温暖化防止及び節電へのさらなる取組促進を呼び掛けていきます。
一方、オフィスやパブリックスペースでの適温化を進めることで、男性と女性の適温格差が解消されつつあることを受け、今年は男性だけでなく、女性ならではのクールビズスタイルを訴求していきます。

このページに「(別紙2)女性のクールビズについて[PDF 703KB]」というリンクがある。……のだが、リンクされているファイルはPDFなのにFirefoxでダウンロードすると拡張子がphpになっていた(笑)。ファイルビュアーが起動するスクリプトになっているようだが、ブラウザによっては正しく表示されない。Safariでは判読できない粗い画像になり、Google Chromeではスクリプト応答に警告が出たのち表示した。
なので、画像化した。

女性のクールビズについて

女性のクールビズについて



大きなお世話な内容だ。
ここに書かれているイメージには、昭和の臭いが漂っている。考えたのは(もしくは立案の責任者は)50歳以上のオヤジだろう。

美しく」って、それがクールにどう関係しているんだ?
首・手首・足首が涼しいデザイン」なんて、おまえは首フェチか?…と、いいたくなってしまう。暑い季節なら、普通に首・手首・足首は露出するのに。それとも、もっと露出させろってことか?

加えて、「機能性素材の下着」と、下着まで口を出すのはエロオヤジ(笑)。きっと、ノーブラでTバックのショーツならOKなんだろう。
条件をもっとも満たす格好は、水着だね(笑)。水着なら、最高にクールだ。
冗談はさておき、全般に、男から女性への要望という感じがする。「女性手帳」と同じ感覚だね。

余談だが、女性の下着は平均的な体型の場合は選択肢がいろいろとあるのだが、そうでない場合には選択肢が限られる。うちの彼女はFカップの巨乳で、このサイズのブラなどは選択肢が乏しい。平均的な日本人女性の体型を前提とした下着だと、彼女に合うサイズがなかったりする。Tシャツなどでも、肩幅と身丈が基準で、バストサイズは考慮に入っていないため、肩幅に合わせると胸回りがキツクなる。機能性素材の下着を着たくても、着られるサイズがない女性もいるということ。

当初は、匂いにも言及していたらしく、それについて撤回したらしい。

制汗剤使用の呼び掛け中止 女性クールビズで環境省  :日本経済新聞

 環境省は11日までに、6月から始まった女性向けのクールビズで、香料が含まれる制汗剤や柔軟剤の使用を呼び掛けるのを中止した。市民団体から「香料などの化学物質で健康被害が引き起こされる可能性がある」と指摘されたためで、ホームページや広報資料の記載内容を変更した。

担当者は「香料と健康被害の科学的な因果関係は明らかではない。ただ、体調不良になる人の事例もあり、配慮する必要があると判断した」と話している。

科学的な因果関係は明らかではない」というのは、お役所の決まり文句のひとつだね。他人のせいにして、自分の非を認めない言い訳だ。事例を把握しているのなら、最初から配慮しろよ。

じつは、私は匂いに過敏な方で、香水や整髪料の匂いなどが大の苦手。ときどき、歩く香水と化している人に出くわすが、電車内に香水の匂いがたちこめていると、息をするのも苦痛になって途中下車してしまう。だから、うちの彼女には化粧品は無香料のにしてくれといっている。

環境省のクールビズの特設サイトがある。

スーパークールビス2013 | SUPERCOOLBIZ2013

スーパークールビス2013 | SUPERCOOLBIZ2013

スーパークールビス2013 | SUPERCOOLBIZ2013

なんというか……、まるでユニクロみたいな作りに笑ってしまった。
このサイト内に、「女性向けのクールビズ」の例が挙げられている。

SUPER COOLBIZ ポイント | SUPER COOLBIZ 2013「女性のためのクールビズファッション」

女性向けのクールビズの例

女性向けのクールビズの例

スタイリストが提案しているということなのだが、こういうのって、普通に夏服じゃない?
どこがクールビズなの?

むしろ、こういうラフな格好で出勤できる人は職場環境が恵まれていると思う。男性のビジネスマンはスーツが制服みたいなものだが、女性の場合もスーツ、もしくはジャケットとタイトなスカートが基本になっているところが多い。

会社内では女性は制服のところもある。うちの彼女が勤めているところは、制服はないけれども、許容できる服装の規定があり、スカートの長さも膝上何センチの規定があるという。そういう会社では、この服装は無理。

私はスーツを着なければいけないような会社に勤めたことがないので、ず~っとジーンズにシャツ(笑)。スーツは冠婚葬祭のときに着るだけ。
クールビズをアピールするために、首相をはじめとして閣僚たちもノーネクタイになっているが、はっきりいってダサイ。いつものスーツで、ネクタイをはずして、襟元のボタンをはずすと、だらしなく見える。

それじゃ、クールビズじゃなくて、ルーズビズ(LOOSE BIZ)だよ。センスがない。
議員にとっては、スーツは「仕事着」でもあると思う。料理人の仕事着、医師や看護師の仕事着、警察官や消防士の仕事着……といったように、ビシッと決めるべき仕事着がある。それは仕事に取り組む姿勢の表れだ。議員はクールビズなんてしなくていい。だらしないと、やってる仕事もだらしなく見えてしまう。

クールビズをしたことによる、実質的な効果を検証しているのだろうか?
どれほど節電ができて、どれほど快適になったのか。

エアコンの温度を28度にするだけなら、別にクールビズなんかしなくてもできる。スーツをビシッと着ていても、我慢すりゃいいだけ。
「日本人なら、根性で暑さを乗り越えろ!」とかいわれそう。
だから、クールビズにしたことと、28度で夏を乗り切ったこととの因果関係をはっきりと示さないとだめだ。

技術的なことをいえば、エアコンの消費電力が現在の半分以下になれば、温度設定が28度などといわなくて済むようになる。照明やテレビはLEDを使うことによって、消費電力がずいぶんと下がった。一時期(16年~17年前)、エアコンよりもテレビの方が消費電力が多いということもあったが、現在は新しいテレビであれば消費電力は低めになっている。

エコを売りにしたエアコンもあるものの、それでも冷房能力の低いもので400Wくらい。冷房能力の大きなもので、1000Wくらいだ。
それが半分以下になれば、電力も半分で足りるということ。

必要なのは、技術革新。
しかし、会社のあるビルなどでは、10年以上経ったような古いエアコンを使っていることが多く、無駄に電力を消費している。

冷房を、部屋ごと、家ごと、ビルごとに個別にしているから非効率なのであって、街ごと、あるいは都市ごとまとめて温度管理をする「地域集中空調システム」を構築するとか、そういう発想がほしい。それは意義のある公共事業だろうし、次世代の都市造りにもなる。

技術立国といわれた日本なのだから、クールビズなどというセコイ発想ではなく、産業の発展にもつながる取り組みを期待したいものだ。

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