【サッカー】選手を採点するなら、記者も採点しよう

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 サッカーワールドカップ・ブラジル大会がいよいよ近づいてきた。
 昨日の壮行試合は、久しぶりの代表の試合だったので、それなりに楽しめた。
 その試合の内容と結果について、サッカー評論家・記者が、スポーツ紙などに記事を書いているが、酷評した記事が多かった。
 評論家は批判するのが仕事みたいなものだから、酷評は想定内。
 本来は「批評」を論理的に行うのが望ましいが、感情的な批判になる傾向がある。まぁ、酷評で煽る方が注目されるというのもあるのだろうが。

 そんな記事のひとつ。

本田圭佑主体の日本代表は限界である。キプロス戦全採点|集英社のスポーツ総合雑誌 スポルティーバ 公式サイト web Sportiva|J Football

 観衆の質をチャンピオンズリーグ決勝と比較するのはナンセンスだとはいえ、両者には大人と子どもほどの差があった。スタンドを支配するムードがこのままでは、今後、どんなに優秀な監督を招いてもザックジャパンの二の舞になるような気がする。

 試合の出来(レベルとエンタメ性)は4.5(10点満点)、という採点になる。

 以下、キプロス戦に出場した全選手を採点する。

 詳細はリンク先を見ていただくとして。
 「観衆の質をチャンピオンズリーグ決勝と比較するのはナンセンス」と書いておきながら比較しているという、自己矛盾(笑)。ナンセンスだと思うなら比較するなよ。
 この記事はYahoo!ニュースに転載されていたが、そこのコメント欄のコメントが秀逸だった。

本田圭佑主体の日本代表は限界である。キプロス戦全採点(webスポルティーバ) – ブラジルワールドカップ特集 – スポーツナビ

杉山茂樹 2.5

真剣勝負のチャンピオンリーグと壮行試合という半ばお祭り的雰囲気の観客とを比較し、選手を批判しなければ「大人と子供の差」と愚弄する底の浅さを露呈。
選手や監督に対しても批判ありきで、W杯に向けての建設的な記事というより「オレすごいだろう」的な自己満足に終始、記者の人選に関してゼロベースでの改善を求められる。

 全面的に同意(笑)。
 これこそが「批評」だろう。
 選手の採点だけでなく、記者の記事も採点しよう。

 ザッケローニ監督は試合前に、キプロス戦の狙いを述べていた。
 そのコンセプトがどれほど達成できたかを評価するのが、評論家のなすべきことだろう。
 対戦相手がどこであれ関係なく、どの試合も大量得点で圧勝しないと、辛口評論家は満足しないらしい。そのため、毎度毎度、同じような酷評が繰り返される。
 この時期に、チームのコンディションやモチベーションをピークに持ってきたら、本番のときにはピークが過ぎてしまう。ドイツ大会のときがそうだったように。
 そんなアホなチーム・マネージメントはない。

 酷評評論家としては、セルジオ越後氏もいつもの酷評だ(笑)。

キプロス戦内容にセルジオ越後氏が激辛「4年前の韓国戦よりひどかった。明日の一面はお譲りしたい」 – サッカーキング

「内容も個々のコンディションも、まったく良いところがなかった。(0─2で敗れた)4年前の壮行試合の韓国戦よりひどかったんじゃないか」と激辛のコメント。

「鹿児島合宿でフィジカルを追い込んだから動きが悪かった、という意見もあるけど、それだけが理由かな。それは言い訳に過ぎない。改めて出た多くの課題が、残り時間で解決できるのが非常に不安だ」と続けた。

 テレビでのセルジオ越後氏の解説は嫌いじゃないんだけど、記事になるとどうしてこうも口が悪いのかね? 氏の批判は、厳しい批評というより悪口で叩いているようにしか見えない。
 その酷評に至る理論がなくて、ダメだダメだとしかいっていない。ヤフコメの悪口コメントと大差ないんだよね。専門家なら専門家らしく、もっと深く掘り下げて分析して欲しい。

 ありえない仮定の話だが、杉山氏やセルジオ越後氏が代表監督になれば、きっと最強で、無敵・無敗の日本チームになるのだろう。それだけのサッカー理論をお持ちなのかもしれない。
 以前の代表監督である、オシム監督や岡田監督の記事やインタビューを見ると、代表監督を経験したことからくる、分析の深みがひしひしと伝わってくる。説得力がぜんぜん違うんだよね。
 批評家としての岡田氏の採点は10点だと思う。

 本田の調子は、たしかによくなかった。
 しかし、「走れない」とこれまでさんざんいわれてきた彼が、相手の攻撃の芽を摘むために、あんなに走っていたのが驚きだった。キプロス戦で一番の走行距離だったのは本田だ。

①本田圭佑(9.35km) ②山口蛍(8.99km) ③香川真司(8.79km) ④森重真人(8.19km) ⑤長友佑都(7.35km)

 その姿勢に、本田の意識が変化しているのを見た気がする。
 直前合宿でハードなトレーニングをしていて、ここまで走れるのはすごい。フィニッシュを決めきれないのは、今に始まったことではないが、それは日本選手の技量のなさを責めるよりも、キプロス選手の守備を褒めるべきではないかと思う。キプロスの守備は堅かったよ。W杯予選でスイス相手に、0-0、0-1と敗れているが、大敗はしていない。

 本田をはじめ、選手たちは優勝を目標にしている。
 高い目標を持つことは必要だ。不可能だと思ったら、その時点で負けているに等しいからだ。
 グループリーグで楽な試合はひとつもない。おそらく、ヒヤヒヤの連続になるだろう。16強に入って欲しいと願うが、そうそう簡単ではないこともわかっている。
 選手たち自身も、熱心なファンの人たちも、日本が世界の中でどのレベルにいるのかは、百も承知だ。100戦100勝できるようなチームではない。
 だからこそ、難敵を倒して勝つことに意義がある。
 険しい道だ。
 その険しい道を、これまでとは違って、攻めるサッカーで挑戦しようとしている。
 歯が立たないかもしれない。
 だが、それでも攻めて欲しい。
 攻め続けて3連敗なら、それはそれでしかたがない。
 ただ、消極的なサッカーだけはしてほしくない。

 私の希望的予想は、2勝1敗で、グループリーグ突破だけどね(笑)。

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