「絶滅の負債」とは?

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「絶滅の負債」とは?

 書籍のPR書評の記事なのだが、面白そうな内容。
「今後数千年のあいだに、ホモ・サピエンスは消滅するだろう」
 と、著者はいう。

【人類は“絶滅”する】人類が返済しなくてはいけない「絶滅の負債」とは? | 超圧縮 地球生物全史 | ダイヤモンド・オンライン

 人類が引き起こした炭素の急上昇のグラフは、ピークは高いが幅は針のごとく狭く、おそらく長期的には検出できなくなるだろう。
 人類が大量に存在したのは非常に短い期間であり、たとえば二億五〇〇〇万年後には、ほとんど遺骨が保存されていないはずだ。
 きわめて感度の高い検出機器を使う未来の探鉱者たちであれば、新生代の氷河時代に入って少ししてから「何かが起きた」ことを示す、珍しい同位体の痕跡を検出することができるかもしれない。

 だが、それが何なのか正確にいうことはできないはずだ。
 今後数千年のあいだに、ホモ・サピエンスは消滅するだろう。
 その原因の一つは、長いあいだ未払いになっていた「絶滅の負債」を返済しないといけないから。
 人類の生息域は地球全体だが、人類は積極的に生息に都合の悪い環境をつくってきた。

 人類絶滅の最大の理由は、人口の移り変わりがうまくいかないことだ。
 人類の人口は今世紀中にピークを迎え、その後減少へと転じる。
 二一〇〇年には、現在の人口を下回るだろう。人類の活動によって地球が受けたダメージを回復させるために、さまざまな工夫がなされるだろうが、人類は、あと数千年から数万年以上は生き残れないだろう。
 人類は、もっとも近い親戚の類人猿と比べると、遺伝学的にすでに著しく同質だ。
 これは、人類史の初期に何度か、遺伝的ボトルネックが生じ、その後、人口が急増したことを示している。まさに、何度も絶滅の危機に瀕した過去の置き土産だ。
 先史時代、太古のむかしの出来事により、遺伝的な多様性が足りないこと、現在の生息地の喪失による絶滅負債、人間の行動や環境の変化による少子化、より局所的な、小さな集団が直面する、ほかの集団から孤立する問題などが組み合わさり、人類は絶滅するのだ。

 この未来予想には、ほぼ同意。
 私の過去記事にも、同様のことは書いてきた。温暖化問題の云々ではなく、急激に増え続けている人口で自滅する可能性が高いからだ。

 SDGsという胡散臭いスローガンで、持続可能な社会を唱えているが、その中に人口を抑制することは含まれていないという矛盾。人間が排出する二酸化炭素が温暖化問題の元凶とするなら、2022年11月に80億人に達しようとしている世界人口が、もっとも深刻な問題だ。100年で4倍になる人口では、環境負荷も4倍になっている。
 増えすぎた人口を第一の問題にしなければならないのに、それを無視して持続可能な未来は実現しない。

 環境少女のグレタさんは、相変わらずのようだが……

グレタ・トゥンベリさん、スウェーデン議会選を批判 気候変動の議論不十分 写真15枚 国際ニュース:AFPBB News

【9月10日 AFP】スウェーデンで9日、2日後に実施される議会(定数349)選挙を前に環境活動家グレタ・トゥンベリ(Greta Thunberg)さん(19)がAFPの取材に応じ、気候変動に関する議論が不十分だと選挙戦を批判した。

 左派と右派の支持率は拮抗(きっこう)しており、接戦が予想されるが、気候変動問題は主要な争点になっておらず、有権者の関心はギャングによる暴力の増加や、エネルギー価格の高騰に集まっている。

 トゥンベリさんはこの日、首都ストックホルム中心部で大勢の人々とデモに参加した。

「私が抗議しているのは、投票するだけでは不十分だからだ」とトゥンベリさん。政治家は十分な気候変動対策を講じていないと批判し、「今のところ、行動を起こしている政党はない」と話した。

 人口が東京都より少ないスウェーデンですら、気候変動問題は二の次なのは、ロシアの脅威やエネルギー価格の高騰の方が差し迫った問題だからだ。
 スウェーデンは原発大国なので、石炭・石油・天然ガスに依存する国よりはエネルギー問題は軽いはずだ。しかし、そうではない国にとっては、100年後の未来よりも、次の冬をどうやって乗り越えるかの方が重要だろう。

 環境活動家としてのグレタさんは「タカ派」だが、彼女が人口問題を口にし始めるのはいつだろうか?……と注視している。科学的根拠を理由に挙げるのなら、人口問題は無視できないはずだからだ。人口を減らせば、CO2の排出量も減る。そんな単純な計算は誰にでもできるし、有能な科学者が気がつかないわけがない。ただ、そのことを公言できないだけなんだ。

 しかしまぁ、問題の本質は以下の一文にある。

「人類が引き起こした炭素の急上昇のグラフは、ピークは高いが幅は針のごとく狭く、おそらく長期的には検出できなくなるだろう。」

 地球の46億年の歴史の中で、近世の300年の気候変動は一瞬の出来事に過ぎない。
 今後数千年で人類が絶滅し、1億年後に次なる知的生命体が出現したとしても、人類文明の痕跡はわずかしか残っていないだろう。

 遠未来の地球の覇者は、石炭や石油をエネルギー源として使うことは難しい。人類が大部分を使い切ってしまうからだ。ただ、石油は化石燃料ではなく、地下の深部で生成されているという説もあるので、石油は産出するかもしれない。

 人類は、賢さと同時に愚かさも同等に持ち合わせている。平和を望みながらも、争いが絶えない。欲望のままに突き進んでしまう性質が、科学の発展をもたらしはしたが、暴力と殺戮をやめられない野蛮さから脱却することもできない。

 SF的な発想をすれば、人類がこれほどまでに短気で欲望に取りつかれているのは、寿命が短いからだろう。
 長生きしてもたかだか100年。そのうち精力的に活動できるのはせいぜい40〜50年。多くの人は平均寿命よりは短い人生だ。10年後のことは想像できても、100年後は生きてないから関係ない。

 もし、寿命がエルフのように1000年単位だったら、もっと長い目で未来を見られるかもしれない。
 ……などと思ったりする。

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