電車の優先席でのケータイ(スマホ)電源OFFは、いよいよ解除されることになりそうだ。
優先席付近の携帯オフは必要? 鉄道会社、ルール変更も:朝日新聞デジタル
しかし、ここに来て見直しの動きが出ている。総務省は昨年3月には14機種のペースメーカーに1センチ未満の距離から携帯と無線LANの電波を同時に当て、全機種で「影響なし」とする実験結果を公表。今年6月には、「実際に影響が発生するとは限らない」との文言を指針案に盛り込んだ。9月にも決まる見通しで、JR東日本は指針を受け、優先席で常時電源オフは求めない方向でルール変更を検討するとみられる。
(中略)
日本心臓ペースメーカー友の会の日高進副会長は「患者には『電波の影響は気にしなくていい』と訴え続けてきた」と話す。自身も利用者だが、携帯電話はいつも胸ポケットだ。
日本不整脈学会の中島博医師も「健康被害には至らない」と話す。いまのところ電波が影響した事例の報告は無いという。「電源オフの車内放送は無駄な恐怖心をあおるだけ。すぐにやめるべきだ」
ペースメーカーを使っている当事者がケータイを使っているのに、禁止するのはナンセンスもいいところ。そもそもが過剰な安全配慮でしかなかった。「可能性は否定できない」という曖昧な危機意識が、あたかもすべて危険という誤認識にすり替わってしまった。可能性があるから禁止というのであれば、「今日、あなたが外出先で交通事故に遭う可能性は否定できないので、外出は禁止してください」というようなことにもなってしまう。
これは飛行機のケータイ禁止にも当てはまる。
もはや、都市伝説のたぐいだ。
過去記事の……
「電車の優先席での携帯電話OFFの根拠は?」(2007年12月06日付)
「根拠が乏しかった優先席でケータイ電源オフは見直しに」(2013年12月26日付)
……でも書いたことだが、優先席だけを対象にすること自体が矛盾していた。
それにしても、2013年12月に見直し方向になったのに、いまだに見直されていないのは、なんとも対応が遅いよね。
前述の記事の冒頭には、優先席でのケータイの利用を巡って、本来の意図とは違う理由からトラブルも起こっているが、難癖をつける口実を与えているようなものだ。
周囲の客の迷惑になるから禁止だというなら……
●通勤電車内での化粧禁止
●通勤電車内での飲酒・食事禁止
……も、してほしいところ。
エスカレーターの片側空けも、もはや習慣化しているのだから、片側空けでも問題が起きないように対策を考えた方がいいのではと思う。
「片側に寄って乗ると、エスカレーターに負荷がかかって故障の原因になる」とかいう、もっともらしい説があったりするのだが、エスカレーターの技術者は、その程度で故障することはないといっている記事だったかインタビューだったかを見た記憶がある。出典を示せないが、記憶違いではないと思うのだが……(^_^)b
片側に荷重がかかることが問題だとしたら、エスカレーターを歩行しなくても、片側に寄ること自体が問題になる。人の心理として、他の人が左に寄っていたら、前に習えで左に寄ってしまうもの。また、右利きの人が多いから、手荷物を右手で持つと、空いているのは左手だから、左手で手摺りをつかみ左側に寄ってしまう。
国土交通省国土技術政策総合研究所のサイトに、「エスカレーター 4.1 事故事例の調査・分析」という報告書のPDFがある。そこに出ているのが以下。
▼「歩行」がもたらす機械的な問題
図は片側に荷重がかかることを示しているわけだが、これが問題だとするなら、左右均等に人が乗らないといけない。あるいは、1段に1人ずつ乗るとしたら、左右交互に乗らなくてはいけない。「歩行」による振動も問題にしているのだろうが、荷重の偏りが問題だとするなら、歩行だけの問題ではなくなる。
エスカレーターの歩行問題は、人と人がぶつかる、あるいは転んでしまうことが問題になっているわけで、人的原因ではない、エスカレーターの機械的な影響について、ちゃんとした説明が欲しいところ。
日本の技術力は、歩行可能なエスカレーターを作れないのか?……と思ってしまう。
話がそれてしまったが……
「優先席付近の携帯オフ」は有名無実になってしまっているのが現状なので、禁止する科学的根拠はないことが明確になったわけだ。
それはそれとして、スマホ中毒になっているのは問題だとは思うけどね。