根拠が乏しかった優先席でケータイ電源オフは見直しに


過去記事でも取り上げたことがあった、優先席でケータイ電源オフが、見直される方向にあるようだ。

優先席で電源オフ、見直しの動き 鉄道各社、携帯進化で:朝日新聞デジタル

「優先座席付近では携帯電話の電源をお切り下さい」。耳慣れた電車内でのアナウンスを見直す動きが出ている。携帯電話の進化で、心臓ペースメーカーに与える影響が小さくなったためだ。しかし、鉄道会社の対応は揺れている。

総務省は1月、携帯電話からペースメーカーまでの距離を22センチ以上とした指針を15センチ以上に緩和した。

過去、ケータイの電波が原因でペースメーカーが誤作動したという事例は、世界中を見渡してもないという。
電波は距離の二乗に比例して減衰するから、第2世代(2G)のケータイであっても、0.8Wと低出力なので、数十センチも離れれば、電波強度は著しく低下する。

その程度の電磁波で誤作動するようでは、家で電子レンジは使えないし、テレビの前にも座れない。
電子レンジはシールドされていて、安全基準を下回る程度にしか電磁波は出ないようになっているが、ケータイの電波は電子レンジの安全基準以下になるそうだ。

具体的には……

モバイルと水 – KONURE

防護護基準は

扉を閉めた状態:電子レンジから5センチ離れた距離で1mW/平方センチメートル以下
動作が止まる直前まで扉を開いた状態:電子レンジから5センチ離れた距離で5mW/平方センチメートル以下

携帯電話が出す電波基準は、

電波の1.5GHz以上では、「1mW/ 平方センチメートル 以下」
00MHz~1.5GHzでは、電力密度は「周波数÷1500」(800MHzの携帯電話なら0.53mW/ 平方センチメートル )以下

携帯が出すマイクロ波は、電子レンジから漏れて良いマイクロ波と同等以下です。

また、「各種機器のペースメーカーに対する影響」として……

[47]ペースメーカーと植え込み型除細動器||心臓|循環器病あれこれ|国立循環器病情報サービス

各種機器のペースメーカーに対する影響

各種機器のペースメーカーに対する影響

各種機器のペースメーカーに対する影響

……と、この表の中では、電子レンジはOKでケータイが「影響する可能性がある」としているのは、安全基準からいえば矛盾している。

ケータイでペースメーカーが誤作動する……なんていうのは、もはや都市伝説に近い。

鉄道会社は、当初はペースメーカーのためという理由を掲げていたが、いつの頃からか「マナー」に理由がすり替わった。たまに、古~いステッカーが残っていたりして、ペースメーカー理由が書かれていたりする。

マナーを理由にするのであれば、それは優先席に限ったことではなくて、車内全体が対象となるべきで、禁煙が車輌すべてを対象にしているのと同じことだ。優先席だけケータイ電源OFFにする、マナーとしての根拠も乏しい。優先席を電磁的にシールドしているのなら、まだ理にかなうのだが。

ケータイは電波を出すということで、過剰に安全意識が流布されてしまった。電子機器は多かれ少なかれ電磁波は出しているので、程度問題ではある。ラジオは受信だけだから、電磁波は出ていないと思われがちだが、微弱な電磁波は出ている。

電車内に限っていえば、電車を動かすモーター、クーラーや扇風機、蛍光灯など、車内は電磁波発生源だらけだ。最近では、Wi-Fiを使える車輌まで登場している。ケータイはダメだけどWi-FiはOKという理屈も変な話。

とはいえ、ペースメーカーを使っている人は、心理的な不安はあるのだろう。
だとしたら、自己防衛することをすすめる。

アルミホイルをさらしのように巻けば、ケータイの微弱な電波は遮蔽できる。それでは格好が悪いから、電磁波防護服というのがある。
電磁波シールドウェア
別にこのメーカーの宣伝をするわけではないが、そういう商品もあるということで。

朝夕のラッシュ時に、ペースメーカー使用者が、必ず優先席に座れるとは限らない。妊婦さんは「おなかに赤ちゃんがいます」の、マタニティマークを付けていればそれとわかるが、ペースメーカー使用者は判別できるものがない。

視覚障がい者は杖が識別マークの役割にもなっているし、松葉杖は脚を骨折しているというマーク、車椅子は歩けないことのマークともいえる。しかし、聴覚障がいのマークはないし、肋骨を骨折しても外見的には見分けにくい、電磁波過敏症や化学物質過敏症なども識別マークはない。なんらかのハンデがある人たちのマークを作り始めたら、いったい何種類のマークが必要なのやら……。

マナーとしてケータイ電源OFFを呼びかけるのなら、車内全体を対象にした方がよい。優先席だけという理由が見当たらない。

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