【サッカー】W杯終戦の先に見える未来は…


2014年ワールドカップ・ブラジル大会。
日本の戦いは終戦した。

可能性が低いことはわかっていたことだが、やはり、残念というか寂しい。
日本が1戦でも多く試合ができることを期待していたから、それが見られなくなったのは虚脱感に包まれる。試合当日の朝は、イタリアとウルグアイの試合も見ていたから、徹夜だった。眠れなかったのだ。徹夜明けで、この敗戦は堪える。

W杯はまだ続くが、もう極度にワクワクして見る試合はない。まるで恋人に別れを告げられかのように、辛くて寂しい。
4年間、楽しみにしていたワールドカップ。
あっけなく終わってしまった。この喪失感は、しばらく引きずりそうだ。

ザッケローニ監督は、正式に退任を表明していた。
責任を取るのが監督だからしかたはないが、人間的にザックは好きだったんだけどね。

後任監督して、何人かの名前が挙がっているし、売り込みも多いという。4年後に向けて、顔を上げて歩み始めなくてはならない。新しい監督になれば、選ばれる選手の顔ぶれも変わるだろう。ブラジル大会で出番のなかった若い選手が、世代交代も含めて、主力になっていくと思われる。

また、4年、待たなくてはならない。
ファンは、応援し、見守り、期待して待つことしかできない。

次回のロシア大会は、4年後の政治的な世界情勢も考えると、どうなるかの不安要素もある。ロシアとアメリカ・欧州の対立が激化すると、開催そのものが危うくなるかもしれない。オリンピックでもそうだが、スポーツと政治は切り離して考えるのが建前ではあっても、大きく影響されることは否めない。

4年後に日本が再びW杯に出られるという保証はないが、出て欲しいし、より上を目指して欲しい。
歓喜の瞬間は、4年後までお預けだ。

選手の採点方法についての提案

コロンビア戦の採点を、イタリア紙と日本紙とで比較してみると、着眼点や点数にずいぶん違いがあることがわかる。イタリア紙の中でも「ガゼッタ・デロ・スポルト」は、比較的甘い採点になっているが、コメントを含めて、私の感覚に近い。日本のメディアの参考として、「フットボールチャンネル」の採点を並べてみよう。

▼イタリア三大紙、ガゼッタ・デロ・スポルトの採点
イタリア三大紙が採点を発表 本田にチーム最高点の評価も、ザッケローニ監督は3紙ともに低評価 | SoccerMagazine ZONE WEB/サッカーマガジンゾーンウェブ

・ガゼッタ・デロ・スポルト
川島 6 何回か不安定なプレーがあった。失点に責任はない。

内田 5.5 攻撃面でインスピレーションを見せた。大久保にアシストをプレゼントしたが、サムライのストライカーは空に打ち上げた。しかし、マルティネスには3点目で料理された。

吉田 5.5 コロンビアのFWの体格に苦しんだ……。

今野 5 完全にPKになるファウルをした。重大なエラーだった。

長友 6 常にプレーに関与した。いつもの闘志あふれるプレーをしていた。

青山 5.5 個性のない匿名のトライに終わった。

山口 6 素晴らしいダイナミックなプレー。

長谷部 6 ピッチの真ん中でボールを何回も奪った。奮闘した戦士。残念ながらフィジカルの問題を抱えてブラジルに到着した。

岡崎 6.5 素晴らしいヘディングを決めた。ザックは後半途中で交代したのは奇妙だ。

柿谷 6 日本の未来の希望。評判のFW。

本田 7 リーダーとしてチームをけん引。岡崎のヘディングをアシスト。ミランは成長した姿を見る。

香川 6 目覚めの証しが何回かみられた。魂はわずかだが、この才能ある選手に。

清武 評価なし

ザッケローニ監督 5.5 苦闘の日本。残念ながらタイムオーバー

▼フットボールチャンネルの採点
【W杯・試合採点】日本対コロンビア(グループC) | フットボールチャンネル | サッカー情報満載!

GK 1 川島永嗣 6点
失点はどれも止めるのが難しいシュートだった。

DF 2 内田篤人 5.5点
内田のクロスや縦パスから何度も好機がうまれていた。しかし、2失点目では、ボールウォチャーになってしまい、失点の原因に。また、3失点目でも、体力的に厳しい時間帯というのもあり、ボールホルダーとの距離を詰めきれなかった。

DF 5 長友佑都 5.5点
積極的な攻め上がりは評価できる。また。ギリシャ戦に比べれば判断は悪くなかった。だが、結局質のいいクロスをほとんど入れられなかった。また、守備のミスがいくつかあった。

DF 15 今野泰幸 4.5点
軽卒なタックルでPKを献上。他にも、相手のリーチの長さに苦しみ、怪しい対応がいくつもあった。また、カウンター時のポジショニングを誤ることも。そして、3失点目のシーンでは、カバーするのか寄せるのか中途半端になり、結局遅れて寄せて、シュートをブロックできなかった。

DF 22 吉田麻也 6.5点
距離を詰めて相手に自由を与えず、空中戦でも負けなかった。最後の最後こそ、ロドリゲスに完全に抜かれたが、それ以外は素晴らしい対応だった

MF 14 青山敏弘 6.5点
ボールをひっかけてしまうシーンもあったが、非常に良い縦パスを前線にあて、日本の攻撃のリズムを作った。また、出しどころがない時は、苦し紛れのパスをせず、良いコース取りのドリブルで、キープもした。

MF 17 長谷部誠 6点
アタッキンサードにおける長谷部の縦パスは非常に質が高かったが、守備面はやや不安定だった。

FW 4 本田圭佑 5.5点
アシストを記録した。時折、いいドリブルやキープ力も発揮した。しかし、多くの攻撃が本田のところでストップしてしまっていた。自分の得意な形でしか、ボールを出せない悪癖を、この試合でも露呈した。

FW 9 岡崎慎司 6点
ボールを失い、1失点目の原因になってしまった。しかし、自身で得点を決めて、帳消しした。総じてみれば、悪くはなかった。

FW 10 香川真司 5.5点
積極的なドリブルやシュートはよかったのだが、結果を残せない。また、2失点目では、ボールホルダーに対するプレスが遅く、失点の起点に。

FW 13 大久保嘉人 5.5点
動き出し、キープ、どれも素晴らしいのだが、決定機をまたしても外した。点さえ決めていれば、文句なしだったのだが。

交代選手

MF 16 山口蛍 6点
運動量でピンチを救うこともあった。ただ、今大会通じて見えた、ボールホルダーに対する距離感がやや遠いという課題を、この試合でも露呈してしまった。とはいえ、失点直結級のミスはなし。

FW 8 清武弘嗣 5.5点
存在感を発揮できず。

FW 11 柿谷曜一朗 5.5点
裏への抜け出しは素晴らしかった。ただ、ボックス内でのプレー精度が低い。

顕著な違いは、本田と香川の評価だ。

このふたりがどれだけ活躍するかが、日本の戦い方を左右するチームだったから、日本側が厳しい採点をしているのはわからないでもない。同時に、対戦チームもそのことを踏まえて、本田と香川を封じる策を取ってきた。結果、ふたりの自由が奪われて、日本の攻めは機能しなかった。

ただ、それでもガゼッタ・デロ・スポルトが、それなりに評価しているのは、記者の視点が違っているからだろう。その違いが、メディアの姿勢の違い、サッカー文化の違いなのかもしれないと思った。

この採点方法というのにも、文化的背景がある。

採点の謎:及第点はなぜ6点か

実はこの10点制、単にサッカーの試合だけに使われている特殊な採点法ではなく、(小、中、高)の通信簿でも使われている、イタリア人にとってはごく一般的で、肌身に馴染んだといってもいい評価方法なのである。

(中略)

教師は生徒に課題を出してそれを説明させ、その内容からどれだけちゃんと理解しているかを判断して、評点をつける。一問一答のクイズ形式とは違うので、全問正解=満点という図式はあり得ない。客観的な判断基準があるわけでもないので、評価には教師の主観も入ってくる。学習の達成度を厳密に数値化するというのではなく、ちゃんと説明できれば、それは十分理解しているということだからそれでOK、というけっこうアバウトな感覚だ。

そして、その評点において及第と落第の分かれ目になるのが「6点」なのだ。それに達しない場合にはいわゆる「赤点」になって追試や補習を受けなければなくなるから、6点に達するかどうかは、生徒にとって最大の死活問題ということになる。

ようするに、採点者の主観によって採点されているわけで、論理的な根拠があるわけではない。野球の打率は、打者としての実績の評価だが、サッカーでは客観的な評価が難しい。どれだけ活躍したか、点を取ったか、アシストをしたかで印象は大きく変わるから、採点も流動的だ。特に、守備の選手はあまり目立たないから、評価は低めになる傾向がある。

日本のサッカーメディアは、イタリア式に習った採点方法をしているのだが、それが好ましいのかどうかを考えてもいいのではないだろうか?

最近のサッカーは、データを重視するようになり、走行距離、パス成功率、ポゼッション率、選手の走った軌跡などを始めとして、様々なデータが取られるようになっている。試合をデータ化するテクノロジーが発達してきたからでもあるが、選手の採点方法にも、主観的な評価だけでなく、客観的な評価が必要なのではないかと思う。

一例として……
(1)10満点として、基本的な選手の持ち点を5点とする。
(2)試合中の各選手のプレーについて、加点と減点を行う。

たとえば……
●得点→ 1点
●アシスト→ 0.5点
●パス成功率50%以下→ -0.5点
●パス成功率50~60%→ -0.2点
●パス成功率60~70%→ ±0点
●パス成功率70~80%→ 0.1点
●パス成功率80~90%→ 0.2点
●パス成功率90~100%→ 0.3点
●クロス供給→ 0.1点
●精度の高いクロス供給→ 0.2点
●キーパス(起点)→ 0.2点
●相手パスカット→ 0.1点
●致命的なパスミス→ -0.5点
●ボールロスト→ -0.5点
●ドリブル突破→ 0.2点
●裏への抜けだし→ 0.1点
●ファウル→ -0.2点
●イエローカード→ -0.5点
●レッドカード→ -2点
●シュート(枠外)→ 0.1点
●シュート(枠内)→ 0.2点
●フリーキック取得→ 0.2点
●PK付与→ -1点
●走行距離(6km以下)→ ±0点
●走行距離(6~9km)→ 0.1点
●走行距離(9~11km)→ 0.2点
●走行距離(11km以上)→ 0.3点
●相手シュートブロック→ 0.5点
●空中戦勝率(50%以下)→ -0.2点
●空中戦勝率(50~70%)→ 0.1点
●空中戦勝率(70%以上)→ 0.2点
●失点の起点→ -0.5点
●守備の対応遅れ→ -0.5点

……と、プレーのそれぞれについて加点と減点をする。減点となるミスは、試合の流れや勝敗にも結びつくので、減点を大きくしている。

数値化するというのは、客観的で公平な評価をするのには有効だと思う。こういう採点方法だと、守備選手の評価も妥当になるのではないだろうか。
録画を見ながら試しに採点してみたいものだが、時間がなくてそこまで手が回らなかった。

ちなみに、本田のプレーに対して、「遅い」とか「走れない」といった批判も少なくないのだが、記録されたデータでは、そうでもない。
日本対コロンビア、走行距離などのスタッツ: サッカーまとめ Footballの星

 選手スタッツでは香川がシュートを6本、キーパスを3本記録、本田はFKから4回シュートを放ち、アシストを1つキーパス3本を記録、長谷部は5本のキーパスを記録、両チームトップの走行距離を記録したのは長友で3試合連続で走行距離トップを記録した。
▼選手スタッツ(クリックで拡大表示)

選手スタッツ

選手スタッツ

走行距離で3番目、最高速度で2番目なのだ。目立っているから矢面に立たされるが、印象とは裏腹に走っているということ。そのへんも、客観的に評価する必要がある。

メンタルの強化が課題かも

初戦が大事であることは、どのチームにもいえることだが、日本は初戦がボロボロだった。
フィジカルやコンディションの調整は、最適ではないにしてもそれなりの対処をしていたようだ。気候的な暑さや高い湿度も一因だったとは思うが、一番の問題はメンタルだったと思う。

選手たちも語っていたが、「相手をリスペクトしすぎた」とか「勇気が足りなかった」など、気持ちの面で弱気になっていたようだ。

気後れしていると体も動かない。体が動かないと、さらに気後れしてしまう……という悪循環に陥る。動揺と焦りは、本来できるはずのことまでできなくしてしまう。これは選手だけでなく、監督まで巻き込んでしまった。一体感のあるチームというのが日本の特徴だが、調子のいいときは全員が連動するが、逆に苦境に陥るとチーム全体のパフォーマンスは著しく低下する。一体感の良し悪しは、表裏一体でもある。そういう意味では、日本人の国民性の悪い面が出てしまったともいえる。
外国人に対する苦手意識、強敵に対する萎縮、積極性に対する遠慮、自分で打開しようとする意識の低さ、仲間との同調意識……等々、好ましくない面が表に出てしまった印象だ。

海外クラブチームに所属する選手が増えているから、外国に対する苦手意識は克服されているかと思いきや、日本人だけのチームになるとなぜか、日本人らしさに回帰してしまう。あの本田ですら、仲間に対して遠慮しているように見受けられる。「王様」と揶揄され、出る杭のようにいわれる本田だが、彼のインタビューなどを見ると、仲間を思い、仲間を活かそうとしているのは、彼が一番なのではないかと思う。

彼らは、あまりにもナイーブでメンタルが弱かった。

悪質なファウルがほとんどなく、フェアプレーに徹する日本チームだが、そのやさしさが強豪国と戦うには不利になる。ファウルをしないでボールを奪うのもテクニックだが、ときにはイエローカード覚悟で削りに行くずる賢さも必要だ。他国の試合を見ていると、そこまでやるか、というシーンがよくある。噛みつくのは論外だが、強かにぶつかっていたのは長谷部くらいだった。

メンタルが強いと感じたのは、本田と内田だ。なんだかんだいって、本田のメンタルはずば抜けて強い。内田は本田とは対極にある性格だと思うが、ひょうひょうとしていてじつにクールだ。本田や長友は気負いすぎだし、長谷部は責任感を背負いすぎだが、内田は気負わないところが強い。

試合後のインタビューで、敗戦後のショックはあるだろうに、じつに冷静に自分たちのことを分析していた。もともとの性格だとしても、あの冷静さは見習うものがある。チャンピオンズリーグに最多出場した日本人という経験も糧になっているのだろう。「いつもと同じ」といってのける強かさが、他の選手にも必要だね。

体格の違い、フィジカルの弱さはいつもいわれることだが、日本の選手は線が細い。線が細くても内田のような強かさがあればまだいいのだが、パワーとスピードで劣るのはいかんともしがたい。

メキシコは身長的には日本と大差はないのだが、線が細いということはない。見た目でいえば、おそらく筋肉量の違いだ。ここぞというときの、瞬発力を出すための筋肉がある。日本人選手は、総じて華奢に見えるんだ。

もっと筋肉をつける……端的にいえば、「もっと肉を食え!」かな(笑)。
お米大好きの選手は多いそうだが、お米じゃ筋肉はつかないよ。

決定力不足は長年の課題だが、コロンビア戦でシュートを24本も打って、1本しか決まらないのは効率が悪すぎる。成功率が低いから、前線やサイドの選手は何度も走らなければならず、体力を消耗する。岡崎が何度も何度も裏に走っているのはスゴイが、数回の走り込みで決められれば、後半で足が止まることもなくなる。

コロンビアの選手は、けっこう守備をしなかったり、ボールを日本に保たせる時間もあるが、ここぞというカウンターを一発で決めていた。それができるのは、常に走るのではなく、てきとうにサボって体力を温存し、決定機に一気に全速力で走る瞬発力があるからだ。あの体格は伊達じゃない。

「相手に走り勝つ」ともいっていたが、走行距離で相手に勝っても意味はないわけで、走りの質を高める必要がある。日本人は生真面目だから、常に守備に奔走し、常にプレスをかけようとする。だから、無駄な走りも多くなる。しかし、肝心なところで走れなかったり追いつけなかったりする。ここは行くという「読み」と「判断力」が足りないのかな。

ドリブルで攻め上がるシーンが少ないのも、日本の特徴だね。斎藤の出番はなかったが、自陣から敵陣のゴール前まで、一気にドリブルで攻め上がる選手が日本にはいない。ボールを奪取して、相手の守備がスカスカでも、ひとりで攻め上がることをしない。オランダのロッベンがいい例だが、ひとりで攻め上がってひとりで決めてしまうような選手がいるのといないのとでは、大きな違いになる。

いい意味でエゴを表に出さないのが日本人だが、ひとりくらい「おれがひとりで決めてやる」というようなわがままなヤツがいてもいい。エゴが強すぎて空中分解してしまうチームもあるが、エゴがなさすぎて仲間に遠慮してしまうのも困る。ただ、本田のような自己主張の強い選手がいると、あの程度でも日本のメディアは叩くのだから、それも困ったものだ。

強いストライカーは、エゴも強い。それはおそらく相関関係にある。メディアが出る杭を打つようでは、強いストライカーは出てこないかもしれない。決定力のあるFWが必要だといいつつ、エゴの強い選手をバッシングするのでは矛盾している。おとなしくてお行儀のいいFWは、強いストライカーにはなれないのではないかと思う。

強いメンタル」といっても、そこには様々な要素が含まれる。

性格や考え方、国民性、強い肉体、食習慣、経験や度胸……等々、それぞれが関連している。一朝一夕に獲得できるものでもない。海外組は、所属クラブで各国選手たちに揉まれるが、国内組はJリーグでメンタルを鍛えていくしかない。いっそのこと、Jリーグの外国人枠を撤廃するか緩和して、半分くらい外国人であるような環境を作るのもいいかもしれない。優秀な外国人選手を獲得する資金がないという事情もあるだろうが、サッカー協会が援助するとか、totoの売上金を活用するとか、方法は考えてみる価値はある。

外国人が多くなれば、チーム内共通語として英語も必要になるだろうから、英語を習得する機会にもなりそうだ。いずれ海外移籍を目指しているのなら、英語は必須なのだし。

新しい監督が決まったら、新しい日本代表の切磋琢磨が始まる。
ファンは応援することしかできないが、4年後、一緒に歓喜の瞬間を迎えたいと願っている。

さぁ、歩き始めよう!

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