火星でロケット燃料を生成する方法の問題点

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私が生きている間に、人類が火星の大地に立つことは、おそらく無理だろう。
がしかし、いろいろと計画だけは立てられている。
その実現性には、決定的に足りないものがある。

近未来テクノロジー見聞録(61) 火星への片道キップ問題を解決? 火星でロケット燃料を生成する方法を開発 | TECH+

火星の話題は尽きない。例えば、イーロンマスクは、2026年までに人類を火星へ送り込む、そんな計画も報じられている。

しかし、火星へ到着したとしても片道切符。地球へと帰るための燃料がない、そんな話もある。

そこで解決策を提案するのがジョージア工科大学。今回は、そんなジョージア工科大学の火星でのロケット燃料の話題について紹介したいと思う。

(中略)

それは、バイオテクノロジーを活用した「bio-ISRU(biotechnology based in situ resource utilization)」という方法で、「2,3-ブタンジオール」を生成する方法。「2,3-ブタンジオール」は炭素数4の2価アルコールでロケット燃料として活用できるという。

まずシアノバクテリアを、光合成によりリアクター内で成長させる。別のリアクター内で酵素がシアノバクテリアを糖に分解。それを大腸菌に供することで、「2,3-ブタンジオール」が生成されるというもの。

火星でのbio-ISRUを活用したバイオリアクターのイメージ(出典:ジョージア工科大学)

火星でのbio-ISRUを活用したバイオリアクターのイメージ(出典:ジョージア工科大学)

机上の理論としてはわかる。
問題は、この大規模な設備を、ロボットだけで建設できるのか?……ということ。
現状のロボット技術では、ほぼ不可能。
自律的に状況を判断して行動するロボットは、実現できていない。

その実現性を検証するためには、火星環境に似た砂漠や荒地でロボットによる建設をやってみればいい。そのロボット技術の完成なくして、火星での建設は絵に描いた餅。そこまでのロボット技術を達成するのに、30〜50年はかかりそうだ。

それ以前の問題として、宇宙空間および火星での放射線(宇宙線)問題がある。
地球は磁場のお陰で、宇宙から降り注ぐ放射線の大部分を防御してくれている。しかし、火星の磁場はとても弱く、シールドの役割を果たしていない。

地球から火星までの旅程は、最短で8か月と見積もられているが、宇宙船のスピードしだいでは1年以上かかることも想定される。
その間、宇宙船に乗った人々は放射線の被曝をすることになる。
それに対する解決策は出ていない。

「火星移住」の問題点とは?』で触れたが……

キュリオシティが地球から打ち上げられ、火星に到着する253日の間に浴びた総放射線量は466ミリシーベルトなので往復では900~950ミリシーベルトになる。一般に医療的に危険とされる年間被ばく量が1000ミリシーベルト=1シーベルト以上なので、かなり危険な水域だ。ちなみに一般的に許される被ばく量は年間1ミリシーベルトである。

……と、このくらいの被爆をする。
火星に2年滞在するとなると、さらに被曝量は増える。
人間が火星に着いたはいいが、放射線被曝で死んでしまうのはほぼ確実。
この問題を解決しないと、行くこと自体が不可能だ。

片道切符でも火星へ行くのを是とするかどうか。
それでも行きたいというチャレンジャーはいるとは思うが、それを社会は受け入れるだろうか?

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