「教室広げて」と文科省の無茶ぶり

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「教室広げて」と文科省の無茶ぶり

少子化で学校の生徒数が少なくなっている昨今だが、教室は手狭になっているという。
一見、矛盾しているようだが、国のGIGAスクール構想が背景にあるらしい。

「教室広げて」文科省通知へ 学校の姿を変える理由は:朝日新聞デジタル

文部科学省は、全国の国公私立学校で普通教室の面積を広げるよう、設置者である市町村教育委員会などに促す方針を固めた。少子化で使わない教室もある半面、学級に使う普通教室が手狭になっているのだという。なぜなのか。

(中略)

国のGIGAスクール構想により、今春から多くの小中学校でパソコンやタブレット端末が1人1台配備されたが、いま使われている机の半数ほどを占める旧規格の机(60センチ×40センチ)では教科書と端末を同時に扱いにくい。今後、より大きな新規格の机(65センチ×45センチ)を増やし、対応する電子黒板や保管庫も置くと、子どもの使えるスペースが狭くなる懸念があった。

私の子供時代は人口が急激に増加する時代だったため、生徒数が多いマンモス校がいくつもあった。
増えすぎた生徒数を分散させるために、新しい学校を作ったりした。
小学6年生のときに、そんな新設校に移転したのだが、私はその学校の第一期卒業生となった。

小学校は新設されたのだが、中学校の新設はされなかったので、複数の小学校から1つの中学校に生徒が集まり、中学校がマンモス校になった。
教室の数が足りないために、運動場にプレハブの教室が建てられた。
1学年が10クラスもあった。
1クラスの生徒数は40〜45人と、学校設置基準(40人以下)を超えていた。
たたでさえ狭い教室が、さらに狭くなるような状況だった。

小学生の頃は体は小さいので、机が狭いとは感じなかったが、中学生になり体が大きくなると、机と椅子が窮屈になった。
学校の机と椅子といえば、あれだ。(冒頭のイメージ図参照)

私は中学生になって身長が一気に伸びたので、あの机と椅子では体に合わなかった。
身長160cmの子と180cmの子が、同じ机と椅子というのが、そもそも無理がある。
高さ調整のできない固定式の机と椅子だったので、ずいぶんと窮屈な思いをした。

旧規格の机が60センチ×40センチだそうで、新規格の机は65センチ×45センチになるという。
え? たった5センチ広げるだけなのか?
なんかショボい変更だな。

「教室を広げろ」といっても、増築や改装には費用がかかるわけで、その金を国が出してくれるんだろうか?
といっても、国のお金は税金や借金なわけで、全国の学校に回せるほど予算はあるのだろうか?

政府や行政のデジタル化やFAX廃止学校でのPCやタブレットの配布などもそうだが、言うのは簡単だが現場は大変だ。
PCやタブレットを子供達に与えても、それでIT教育が浸透し向上するとも思えない。
若干の底上げにはなるかもしれないが、秀でた才能を発揮するのは、いつの時代でもほんの少数だよ。
学校で学んだことが、卒業して社会人になる頃には古くて使えないものになっている可能性もある。10年後に、10年前のPCを使っているなんてことになっているかもしれない。

会社で使うPC(Macを含む)も、数年おきにアップデートしないと使いものにならなくなる。機種が古くなると、最新のアプリケーションが使えなくなってしまうからだ。
学校でも同様の問題は起こるだろうから、毎年とはいわないまでも、新機種へのアップデートは定期的にする必要が生じる。そうじゃないと時代についていけない。

「教室を広げろ」問題も、対応できる学校の生徒は恵まれているが、対応できない学校の生徒は窮屈なままだ。
そういう格差が生じるだろうね。

教室が余っている学校なら、1クラスの人数を減らすことがベターな気がする。
私が通っていたかつてのマンモス校は、現在は校舎の数を減らしたようだ。子供が減ったから教室の数も減らしたのだろうが、ここに来て「教室を広げろ」とは無茶ぶりだよね。

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